ホイールのインチアップといえば愛車のドレスアップの基本。
しかし、インチアップのためには高額な大径ホイールを購入する必要があるわけで、後で失敗したらと思うとなかなか思い切れないものですよね。
実際、ホイールのインチアップにはデメリットがあるので、注意が必要なのは間違いありません。
しかし、実はインチアップにはドレスアップ以外にも様々なメリットが存在します。
そこで、今回はホイールのインチアップによるメリットとデメリットを簡単にまとめてみました。
インチアップを検討する際は是非参考にしてみてください。
ホイールのインチアップによるメリット
インチアップによる代表的なメリットは次の3つ。
- タイヤ周りが引き締まって見える
- 低扁平化によりキビキビ走れるようになる
- 大径ブレーキを装着できる
ドレスアップ効果以外にも意外と大きなメリットが隠れています。
メリット1.タイヤ周りが引き締まって見える
自動車においてどうしても必要な「タイヤ」という存在は、車のデザインに大きな制約を与えています。
ホイールのインチアップをすればこのタイヤが占めるデザインの割合を小さくすることができますし、足元に重厚感が生まれて見た目が引き締まって見えます。
何より、ホイールが大きい方が迫力がありますよね。
ついでに自分好みのデザインのホイールに変えられるという点がプラスに働くのも間違いありません。
比較的お手軽に車の印象を変えることができるということもあり、ドレスアップの入門としてもおすすめのインチアップ。
ですが、後述のデメリットには必ず目を通しておいてくださいね。
メリット2.低扁平化によりキビキビ走れるようになる
通常、ホイールのインチアップを行うと扁平率の低いタイヤ(薄いタイヤ)を装着することになります。
なぜなら、インチアップに合わせてタイヤの外径まで大きくすることはできないから。
タイヤの外径が大きくなるとスピードメーターの表示が狂ったり、タイヤハウスのカバーとタイヤが干渉したりする恐れがありますからね。
ホイールをインチアップすればどうしてもタイヤは低扁平化するわけですが、実はこの低扁平化がもたらすメリットが存在します。
低扁平化による主なメリットは次の3つ。
- ハンドルレスポンスが向上する
- コーナリング時に車体が安定しやすい
- ブレーキング時に車体が安定しやすい
言い換えれば、インチアップをすることで全体的に反応が鋭くなり、かつタイヤ自体の変形が少なくなるため、コーナリング時やブレーキング時の安定感が増すという効果が狙えるわけです。
これはタイヤの剛性が向上したためとも言えますね。
特にスポーツ走行をするうえではタイムに影響してくる大切な要素なので、十分に検討するだけの価値があります(デメリットもあるのでやれば速くなるというものではありませんが・・・)。
メリット3.大径ブレーキを装着できる
ホイールを大きくすると、ホイール内側のスペースにも余裕が生まれます。
すると、大径のブレーキローターや大型キャリパーを装着することが可能となり、制動力を向上させることができます。
逆にホイールが小さいと大型キャリパーはホイールの内側に干渉してしまい、ブレーキ性能を向上させることができないわけです。
実は、このブレーキの強化こそがインチアップの本来の目的であり、そもそもインチアップは大きいブレーキを装着するために仕方なくするものだという意見もあるほど。
ブレーキ性能は何もスポーツ走行に限って必要なものではありません。
特に昨今の車はミニバンブームやSUVブームを経てどんどん車重が大きくなっているので、ブレーキをカスタムすることは安全性向上という面でも大きなメリットがあります。
重い車はそれだけで止まりにくいですからね。
もちろん、一昔前と比べればブレーキ関連の技術自体が進歩しているため、普通に運転する分には純正だから危険ということはありません。
しかし、それでも昨今の大型SUVが大径ホイールを履いて大きなブレーキシステムを搭載しているところを見ると、やはりその必要性は間違いないようです。
思い返せばS13シルビアや180SXなどは200PS超にも関わらず純正ホイールのサイズは15インチと小さかったんですよね。
当然搭載されるブレーキも小型で、これが馬力を上げてスポーツ走行をするうえではどうしても能力不足だったため、大径ホイールに交換してスカイラインなどのフロントブレーキを流用するのが定番メニューだったように思います。
昨今の車でも、極端に馬力を上げるようなチューニングを施す場合はブレーキをないがしろにしないように注意する必要があります。
ホイールのインチアップによるデメリット
一方、ホイールのインチアップには見逃せないデメリットも存在するので注意が必要です。
主なデメリットは次のとおり。
- 乗り心地が悪化する
- 重量増の可能性がある
- タイヤ代が高くなる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
デメリット1.乗り心地が悪化する
先ほど「ホイールのインチアップをすると低扁平タイヤを装着する必要がある」とお伝えしました。
タイヤの低扁平化にはスポーツ性能を向上するメリットがありましたが、実はデメリットも存在します。
最も大きなデメリットが「乗り心地の悪化」。
低扁平化とは、言い換えればタイヤが薄くなるということです。
自動車におけるタイヤはわずかながらクッションの役割も持っていますが、タイヤが薄くなるということはクッションが薄くなるということ。
例えば小石などのギャップを踏んだときの突き上げ感は、扁平率の高いタイヤ(分厚いタイヤ)よりどうしても強くなってしまいます。
また、スポーツ走行においてはタイヤが横方向の力に対して“粘らなく”なるため、良くも悪くもクイックなハンドリングとなります。
ホイールが小さい方が(タイヤが厚い方が)しっとりとした乗り味でビギナー向け。
インチアップするとタイヤの低扁平化によって横剛性が向上し、確かに限界は高くなりますが、限界を超えたあとの動きがクイックでピーキーです(語彙力・・・)。
特にFRにおいてはインチアップによって後輪がブレイクしたあとの対処が難しくなることもあり、相応のテクニックを要求される可能性がある点には注意が必要です。
デメリット2.重量増の可能性がある
先ほども少し触れましたが、ホイールをインチアップさせてもタイヤの外径が変わることはありません。
つまり、ホイールをインチアップするということは、「タイヤ+ホイール」におけるホイールの割合が大きくなるということです。
このとき、「タイヤの重さ < ホイールの重さ」なので、インチアップをすると「タイヤ+ホイール」の総重量が増えることになります。
よく車の運動性能を語る際に「バネ下重量の影響は大きい」と言われますが、インチアップをするとこのバネ下重量が増えてしまうわけですね。
簡単に考えてみましょう。
重い円盤と軽い円盤、どちらの方が簡単に回せて、どちらの方が簡単に止められるでしょうか。
いずれも軽い円盤の方が簡単ということは直感的にわかりますよね。
「タイヤ+ホイール」も同じで、重量が大きい方が「止まり続けようとする力」や「動き続けようとする力」(いわゆる慣性)が大きく働きます。
このため、インチアップをすると運動性能の低下に加えて燃費が悪化する傾向にもあると言えます。
ただし、ホイールは製品によって重量が様々ですので、例えば17インチの純正ホイールより18インチの社外軽量鍛造ホイールの方が軽い、なんてことも十分にあり得ます。
このような高性能ホイールを用意できれば、重量増によるデメリットなしでインチアップすることも可能です。
しかし、中にはデザインだけで必要以上に重いホイールも存在しますので、交換するホイールは慎重に選択したいところですね。
デメリット3.タイヤ代が高くなる
基本的にタイヤの価格はホイールのサイズに比例します。
年間走行距離が多いと数年でかなりの差額になる可能性もありますので、たくさん走るという人は気を付けたいポイントですね。
まぁそもそもインチアップのためのホイール代も高いわけですが・・・。
ドリフトを練習したい人も小径ホイールから始めた方が良いかもしれません。
タイヤが厚い方が滑り始めの挙動が滑らかで感覚もつかみやすいですし。
車種によってはインチダウンを検討するのもアリかも・・・。
中古車を買う際もインチアップされている車両を選ぶとランニングコストが高くなる可能性があるので注意が必要です。
まとめ│見た目で決める前にインチアップのデメリットをおさらいしよう!
昨今の市販車は純正でアルミホイールを装着した車種もかなり増えましたし、デザインのレベルも高くなっているため、個人的には見た目だけのためにインチアップするのはリスクが高いかなと感じています。
特にカスタムカーはリセールバリュー(買取価格)が下がる傾向にある点に注意が必要で、社外品のホイールでインチアップした場合、純正ホイールは取っておいた方が無難です。
まとめると、ホイールのインチアップによるメリットは次のとおり。
- ドレスアップ効果が得られる
- ハンドルレスポンスが向上する
- コーナリングやブレーキング時に車体が安定しやすい
- ブレーキ性能を強化できる(要カスタム)
低扁平化によるメリットを細分化してまとめてみました。
デメリットは次のとおりです。
- 乗り心地が悪化する
- 重量増の可能性がある
- タイヤ代が高くなる
総じて、ホイールをインチアップするとハンドリングや安定性などの走行性能の向上が期待できますが、乗り心地や燃費をはじめとする快適性や経済性の面で負担が増えることがほとんど。
この辺りを天秤にかけて判断したいところですね。
ちなみに、今回メリットとして挙げたハンドリングや安定性の向上はタイヤの質でも改善できますし、ブレーキ性能もサイズを変えずにローターやパッドの材質を変えるという手で向上させることが可能です。
ただし、純正同等品より音(ロードノイズやブレーキ音)が大きかったり、寿命が短かかったりといった点に注意する必要があります。
逆に重量増や乗り心地の悪化といったデメリットも、ホイールやタイヤの質にこだわればある程度軽減させることが可能です。
何も考えずに見た目だけで決めるのはリスクがありますが、メリット・デメリットを把握していれば良い選択肢が浮かんでくるかもしれません。
是非参考にしてみてください。