FR車の最大のメリットは操作性が良く、思い通りに動かすことができること。
また、そのため運転が楽しいということです。
ですがスポーツ走行をしていると、運転の楽しさだけじゃなく、絶対的な速さが欲しくなってくるものです。
そこで今回はFR車を速く走らせるためにはどうすればいいのかという点に着目し、3つのポイントについてまとめてみました。
アイキャッチ画像引用元:トヨタ 86│ギャラリー│トヨタ自動車WEBサイト
FR車で速く走るための3つのポイント
FR車の運転で一番気を付けたいのは、テールスライドによるスリップやスピンの危険性です。
これらはどのように速さに影響してくるのでしょうか。
また、これらの危険性をはらんだマシンをどうしたらうまくコントロールできるのでしょうか。
ポイントは次の3つ。
- 基本に忠実な走り
- 荷重移動とアクセルワーク
- グリップ走行
なお、以下の文中には”オーバーステア”、”アンダーステア”という単語が頻出しますが、 簡単に説明すると、
オーバーステアはハンドルを切った分より曲がりすぎてしまうこと、
アンダーステアはその逆で曲がりにくいことを意味します。
詳しくは以下の関連記事をどうぞ。
1.基本に忠実な走りを意識する
これに関してはどの駆動方式であっても当てはまることなのですが・・・。
よくFF車はアンダーステア、FR車はオーバーステアと単純に分けて考えているような意見を耳にしますが、こう思い込むことは危険です。
確かにFF車はフロントヘビーで前輪駆動なのでアンダーステアが生じやすいですし、FR車はアクセルを踏み込むとすぐにオーバーステアの特性が顕著に表れます。
しかし、FR車もエンジンが前方に搭載されているという点ではFF車と同じですし、減速が足りないと旋回のためのグリップが不足してアンダーステアが出てしまうことはよくあります。
またブレーキを終えるのが速すぎてアクセルを継ぎ足した場合も、フロント荷重が抜けることで同じようにアンダーステアが発生し、曲がりにくくなります。
そのため、まずはスローインファストアウトや適切なライン取りなど、基本に忠実な走りを心掛ける必要があります。
またFR車に限ったことではありませんが、慣れないうちはブレーキを踏む時間を長めに取ると安定しやすく、スムーズかつスポーティーなコーナリングが可能になります。
もちろん、絶対的な速さを追い求めた場合はなるべく短時間で減速することが必要になりますが、個人的にはまずはスムースなコーナリングを意識することがFRを運転する上では”コツ”と言えると考えています。
2.荷重移動とアクセルワークを意識する
FR車のコーナリングにおいては、荷重移動とアクセルワークを意識することがとても大切です。
具体的には、コーナー進入時はブレーキングでフロントに荷重をかけることでアンダーステアを抑制し、車の向きが変わったら繊細なアクセルワークでオーバーステアにならないように調整しながら加速、コーナーを脱出する必要があります。
繊細なアクセルワークについては別記事も合わせて読んでいただくと、より理解が深まると思います。
3.グリップ走行を意識する
FR車と言えば派手にテールをスライドさせながら走行するイメージが強い方も多いと思いますが、実際に速さを求めた場合はテールスライドは極力起こさない方が良いでしょう。
このスライドを生じさせない走り方を一般的にグリップ走行と言います。
ドリフト走行の対比として使われることが多いですね。
なぜスライドさせない方が良いのでしょうか。
テールスライドが始まっているということは、すでにタイヤのグリップの限界を超えた走行をしているということです。
少し簡略化して説明すれば、コーナリング中は遠心力(G)で車が飛ばされないよう、タイヤが横方向に踏ん張っている状態ですね。
このとき、スライドしてしまうほど横方向のGが大きくなると、タイヤは横方向に踏ん張るのに精いっぱいとなり、縦方向の力(駆動力)を100%路面に伝えることができなくなります。
この状態で乱暴にアクセルを踏み込めば、簡単にグリップの限界を超えてスピンしてしまいますし、そうならないように当てるカウンター(スピンを防止するための逆ハンドル)も車の前進を阻害することになります。
こうならないよう、慎重なアクセルワークでグリップ走行を意識してやる必要があるのです。
とは言え慎重になりすぎてアクセルを踏めないのもロスですよね。
目安としては、大きくスライドはしていないがタイヤがキーキーと鳴るくらいのコーナリングが良いと思います。
これならタイヤのグリップもほぼ使い切れていて、スライドによるロスも最小限になるはずです(初心者のうちは“音”という情報も助けになります)。
慣れてきたらハンドルを切る量を少なくしたり、コーナー出口で早めにハンドルを戻すことを意識してみましょう。
こうすることで不要なスライドを抑制できますし、特に後者は実に驚くほどタイムに影響します。
運転が上手い人はこの辺りがわかっていて必要最小限の操作しかしないので、はたから見るととてもスローに操作しているように見えるほどです。
これが実践できるとライバルに差をつけることができるかもしれません。
まとめ│無理をしない運転がFR車を速く走らせる
FR車を速く走らせるためのポイントは次の3つ。
- 基本に忠実な走りを意識すること
- 荷重移動とアクセルワークを意識すること
- グリップ走行を意識すること
特に荷重移動とアクセルワークによるアンダーステア、オーバーステアの仕組みについてしっかりと理解しておくことが技術向上の近道だと思います。
というわけで、今回はFR車で速さを追求する場合のポイントを管理人なりにまとめてみましたが、個人的にはFR車は絶対的な速さを追い求めるものではなく、車との一体感を楽しむ乗り物だと思っています。
とはいえ、管理人も昔はコーナリングの理論やテクニックについて毎日のように“考えては試して”を繰り返していました。
FR車の場合は速く走ろうとする行為自体がそれだけで非常にエキサイティングで奥が深いため、実際に速く走れるかどうかはともかく、結局その楽しさに多くの人が魅了されるのではないでしょうか。
オーバーステアにならないように、つまりテールスライドをねじ伏せながら前に進むことで本来の速さを見せるFR車は、実は玄人好みな駆動方式と言えるかもしれませんね。
更にFR車の特徴を詳しく知りたい方はこちらもどうぞ
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