N-BOXを筆頭に今大人気の「軽ハイトールワゴン」。
軽ハイトールワゴンといえばスライドドアをはじめとして使い勝手のよい装備や広々とした室内空間が魅力で、子育て世代からシニア世代まで幅広い指示を集める軽自動車の“トレンド”とも言えるジャンルです。
しかし、人気が高いジャンルだけあって、各社競合車種を豊富にラインナップしていて、どれが“買い”なのかイマイチわかりにくいですよね。
そこで、今回は現行の軽ハイトールワゴン6車種の特徴をまとめ、一挙に比較していみたいと思います。
軽ハイトールワゴンの選択に迷った際は、是非参考にしてみてください!
アイキャッチ画像引用元:走行性能│安全・性能│N-BOX│Honda
おしゃれでかわいい!軽ハイトールワゴンの人気がすさまじい事実とその理由
まずは2018年上半期の軽自動車販売台数の順位を見てみましょう。
- 1位 ホンダ N-BOX
- 2位 スズキ スペーシア
- 3位 ダイハツ ムーヴ
- 4位 ダイハツ タント
- 5位 日産 デイズ
このうち3位の「ダイハツ ムーブ」には「ダイハツ ムーブキャンバス」が、5位の「日産 デイズ」には「日産 デイズルークス」が含まれます。
これが何を意味するかというと、売れている軽自動車の1位から5位にもれなく軽トールワゴンが絡んできているということです。
なぜ軽ハイトールワゴンはここまで高い人気があるのでしょうか。
おしゃれでかわいい・かっこいいというのは大前提として、ここではデザイン以外の要素について、人気の理由を考察してみたいと思います。
人気の理由1.高い目線で運転しやすく、走行性能も向上しているから
まず、軽ハイトールワゴンの特徴の一つが「目線が高い」ということ。
単純に遠くまで見渡せるというのはそれだけで大きなメリットですね。
一般的なミニバン並みにドライバーの着座位置が高いため、視覚から得られる情報が豊富で、これが運転のしやすさに貢献しています。
一般的な背の低い軽自動車やリッターコンパクトカーと比べると左右や後方の視界も良好と感じる人も多いのでは。
車体前方(ボンネット)が短いため、見通しの悪い交差点に進入する際も安心感があります(クーペやセダンのようにフロントが長いと結構気を遣うんですよね)。
それでいて普通車サイズのミニバンと比べれば車体が小さいため細い道も苦ではありませんし、小回りも抜群。
このように初心者でも運転しやすい点は、軽ハイトールワゴンの大きなメリットと言えます。
また軽自動車のパフォーマンスそのものが向上しているのも見逃せないポイント。
ターボがないモデルはやや高回転で走ることを強いられるものの、それでもアップダウンの少ない街中ではほとんど不満を感じることはないはずです。
特に昨今の「ダウンサイジングターボ」の恩恵は軽自動車業界にも追い風です。
この辺りは後ほど詳しく解説しますね。
人気の理由2.両側スライドドアが荷物や子供の乗り降りに超便利だから
引用元:スペーシア 快適装備│スズキ
小さな子供がいる場合、一度でもスライドドアを使うとなかなか普通の車には戻れません。
まずスライドドアだと開口部が広いので乗り降りが楽々。
軽ハイトールワゴンは後部座席の床が低いため、2~3歳の小さな子供でも自分で乗り降りできます。
チャイルドシートに登れるかどうかは別問題ですが(笑
そう、チャイルドシートとの相性も抜群なんですよね。
親がチャイルドシートのベルトを締めようとしたとき、普通の車だとどうしても親の背中とドアがぶつかって邪魔になります。
ところが、スライドドアであれば親も身体を乗り入れやすく、子供を着座させたりベルトを締めたりするのが簡単なんです。
身を屈めれば抱っこしたままでも後部座席に入り込めますからね。
また、スライドドアなら「子供が思いっきりドアを開けたせいで隣の車にぶつかってしまった・・・」なんてことも起こりません。
狭い駐車スペースでも安心して乗り降りできます。
自動スライドドアなら荷物を持っていても簡単に開け閉めできますし、運転席付近にあるボタンを押せば、送り迎えの際などにドライバーは座りながらスライドドアを開閉させることが可能です。
子供がいなくても、荷物を大量に運ぶ場合はスライドドアは大きなメリットとなります。
人気の理由3.室内空間が広く、各種レジャーにもマッチしやすいから
軽ハイトールワゴンは運転席&助手席と後部座席の間隔を広く取りやすく、後部座席はフラットに収納できるため、見た目以上にたくさんの荷物を積むことが可能です。
先のスライドドアの説明でも少し触れましたが、子供が中に立てるのはもちろん、大人だって屈めば座らずに車内に入ることが可能です。
今アウトドアブームが叫ばれていますが、軽ハイトールワゴンでキャンプへ行く人も多いみたいですね↓
他にも後部座席を片側だけ倒せば大人3人でスキーやスノーボードにも行けますし、後部座席を倒せば自転車だって積むことが可能で、レジャーにおける使い勝手はかなり良好です。
軽ハイトールワゴンのデメリット
大人気で実用性に優れた軽ハイトールワゴンですが、次のような気になるポイントもあります。
車重が大きいことによる燃費や運動性能への影響
軽ハイトールワゴンは大きな室内空間、大きなスライドドアと利便性は抜群ですが、その分車重が大きい点がネックとなります。
このため、従来のコンパクトな軽自動車と比べて燃費や運動性能の面で劣るのが一般的です。
しかしターボが搭載されたグレードであれば運動性能は大幅にカバーされ、実用性がアップします。
後ほど詳しく解説しますが、軽ハイトールワゴンは“ターボ”と相性が抜群です。
背が高いため横風の影響を受けやすい
軽ハイトールワゴンは軽自動車の幅に一般的な普通乗用車を上回る全高を持つわけですから、安定感が低いのは致し方ないところではあります。
特に海沿いの風の強い道路などにおいては、時速80km程度でも強い恐怖心を覚えることがあります。
タイヤを良いものに変えればほんの少しくらいは改善するかもしれませんが・・・。
個人的には風が強い日の首都高速湾岸線や伊勢湾岸自動車道なんかは、軽ハイトールワゴンでは絶対に走りたくないですね。
台風の日も時速60km以上は出したくありません。
余談ですが、「そんなの慣れたよ!」なんていう人がいたら気を付けてくださいね。
運転中の怖さに敏感なことは良いドライバーの必須条件です。
2018年9月の台風21号関連のニュースでは、風にあおられた車が横転したり、片輪走行するような映像が大量に流れましたね。
よほどの風でない限り即横転とはならないでしょうが、風に弱いのは“軽ハイトールワゴンの宿命”と言えます。
強い台風が上陸した際は運転を控えるという決断も必要になるかもしれません(できればどんな車でも外出は控えたいですが)。
豪華装備満載な分、高額になりやすい。
ハッキリ言いますが、軽ハイトールワゴンは高いです。
現行モデルの車両価格で比較すると、「ホンダ N-BOX」が1,385,640円~2,274,480円、これに対して最安の「ダイハツ ミライース」が842,400円~1,347,840円と、同じ軽自動車でも大きな価格差があることがわかります。
今や排気量1.0~1.3Lクラスのコンパクトカーよりも車体価格が高いことなどザラで、「軽自動車で200万円を超えた」なんていう話も珍しくなくなってしまいましたね。
現行の「ホンダ フィット」の最も高額なグレード(1.5L、ハイブリッド、4WD、Modulo style)が2,419,200円ですから、以下に軽ハイトールワゴンが高額かがわかります。
それでも売れるのは、やはり使い勝手の良さに加えて、軽自動車ゆえの維持費の安さも影響しているかもしれませんね。
先述の通り、室内空間は最近流行のコンパクトSUVなどと比べても広々していますし、スライドドアも便利。
価格に見合うだけの価値はありますが、その分賢く買いたいところです。
軽ハイトールワゴンを買うならターボモデルがおすすめ!
「排気量660cc」という縛りのある軽自動車ですが、ターボを搭載することでリッタークラス(排気量1000㏄以上)のコンパクトカー(NA:ノンターボ)を凌駕するトルクを発揮することが可能。
トルクが大きければ加速がするどくなります。
一例として、ホンダのN-BOXとトヨタのヴィッツを比べてみましょう(現行フィットに1.0Lモデルがないため)。
- ホンダ N-BOXターボ(660cc):104[10.6]/2,600(N・m[kgf・m]/rpm)
- トヨタ ヴィッツ(1.0L) : 92[94.0]/4,300(N・m[kgf・m]/rpm)
トルクの数値そのものの他に回転数にも注目すべきで、N-BOXターボの方がより低い回転数で最大トルクを発生できるということがわかります。
車重はほぼ同等ですが、「トルクが太い分(ターボが搭載された分)N-BOXの方が加速が良い」と言えますね。
このようにターボの恩恵は大きいのですが、加えて「ダウンサイジングターボ」が浸透したおかげで、一昔前のように「ターボ=燃費が悪い」というイメージを持たれることも少なくなってきたことも追い風。
実際、N-BOXの燃費はNA(自然吸気)が27.0km/lなのに対し、ターボモデルが25.6km/lと大健闘しています。
車重が重くなりがちな軽ハイトールワゴンはターボとの相性が抜群なんですよね。
逆にターボがないと普通のコンパクトな軽自動車より重い分、なかなか加速しないと感じることもあるかもしれません。
一般的にターボモデルとNAモデルの間には15万~20万円程度の価格差がありますが、売却時の“リセールバリュー”も高くなりやすいので、ターボモデルにしたからと言って大きく損をするということはほとんどないはずです。
最近の軽自動車はエクステリアをガラリと変えた「カスタムモデル」が設定されていることがほとんどですが、同様に15万~20万円高く支払って外装を変えるより、ノーマルの見た目のままターボを搭載したモデルの方が圧倒的に実用的。
もちろん、車やバイクにとって見た目はとても重要ですが、「カスタムモデル」はノーマルの見た目とまるっきり異なることが多いため、“必ずしも上位互換とは言えない”と思うんですよね。
そんな管理人が所有する初代N-BOXも、ノーマルモデルのターボ搭載車です(正確には2013年のSSパッケージ)。
特に坂道の多い地域に住む人や大きな道路を走る機会が多い人、荷物をたくさん乗せて走る人、ファミリーカーとして使いたいという人には、ターボモデルを選ぶことを強くおすすめします。
逆にセカンドカーや通勤・通学の足とするならばノンターボでも良いかもしれませんが、そもそもそういった使い方をするなら重いハイトールワゴンよりも軽くて燃費の良い他の軽自動車を選択した方が良いかもしれませんね・・・。
おしゃれで便利!人気の軽ハイトールワゴン6車種を比較!
いよいよ人気6車種の比較と、それぞれの特徴に触れていきましょう。
まずは外観。
ホンダ N-BOX | |
ホンダ N-BOX カスタム | |
ダイハツ ムーブキャンバス | |
ダイハツ タント | |
ダイハツ タント カスタム | |
ダイハツ ウェイク | |
スズキ スペーシア | |
スズキ スペーシア カスタム | |
日産 デイズルークス | |
日産 デイズルークス ハイウェイスター |
お次はスペック。
メーカー及び車名 | 全長×全幅×全高 | ホイールベース | トレッド 前/後 | タイヤサイズ 前│後 | 車両重量 | 最高出力 | 最大トルク | 燃費参考値(JC08モード) | 燃料タンク容量 | メーカー希望小売価格(税込) |
ホンダ N-BOX NA | 3,395×1,475×1,790(mm) | 2,520(mm) | 1,305 / 1,305(mm) | 155/65R14│155/65R14 | 890~(kg) (900~) | 43[58]/7,300(kW[PS]/rpm) | 65[6.6]/4,800(N・m[kgf・m]/rpm) | 27.0(km/L) | 27(L) | 1,384,650~(円) (1,698,840~) |
ホンダ N-BOX ターボ | 3,395×1,475×1,790(mm) | 2,520(mm) | 1,305 / 1,305(mm) | 155/65R14│155/65R14 | 910~(kg) (930~) | 47[64]/6,000(kW[PS]/rpm) | 104[10.6]/2,600(N・m[kgf・m]/rpm) | 25.6(km/L) (25.0) | 27(L) | 1,695,600~(円) (1,895,400~) |
ダイハツ ムーブキャンバス NA | 3,395×1,475×1,655(mm) | 2,455(mm) | 1,305 / 1,295(mm) | 155/65R14│155/65R14 | 910~(kg) | 38[52]/6,800(kW[PS]/rpm) | 60[6.1]/5,200(N・m[kgf・m]/rpm) | 28.6(km/L) | 30(L) | 1,252,800~(円) |
ダイハツ タント NA | 3,395×1,475×1,750(mm) | 2,455(mm) | 1,300 / 1,295(mm) | 155/65R14│155/65R14 | 920~(kg) (940~) | 38[52]/6,800(kW[PS]/rpm) | 60[6.1]/5,200(N・m[kgf・m]/rpm) | 28.0(km/L) | 30(L) | 1,220,400~(円) (1,528,200~) |
ダイハツ タント ターボ | 3,395×1,475×1,750(mm) | 2,455(mm) | 1,300 / 1,295(mm) | 155/65R14│155/65R14 (165/55R15│165/55R15) | 940~(kg) (960~) | 47[64]/6,400(kW[PS]/rpm) | 92[9.4]/3,200(N・m[kgf・m]/rpm) | 26.0(km/L) | 30(L) | 1,501,200~(円) (1,706,400~) |
ダイハツ ウェイク NA | 3,395×1,475×1,835(mm) | 2,455(mm) | 1,305 / 1,295(mm) | 155/65R14│155/65R14 | 990~(kg) | 38[52]/6,800(kW[PS]/rpm) | 60[6.1]/5,200(N・m[kgf・m]/rpm) | 25.4(km/L) | 36(L) | 1,350,000~(円) |
ダイハツ ウェイク ターボ | 3,395×1,475×1,835(mm) | 2,455(mm) | 1,305 / 1,295(mm) | 155/65R14│155/65R14 | 1,020~(kg) | 47[64]/6,400(kW[PS]/rpm) | 92[9.4]/3,200(N・m[kgf・m]/rpm) | 23.8(km/L) | 36(L) | 1,674,000~(円) |
スズキ スペーシア NA | 3,395×1,475×1,785(mm) | 2,460(mm) | 1,305 / 1,290(mm) | 155/65R14│155/65R14 | 850~(kg) (880~) | 38[52]/6,500 +2.3[3.1]/1,000(kW[PS]/rpm) | 60[6.1]/4,000 +50[5.1]/1,00(N・m[kgf・m]/rpm) | 30.0(km/L) (28.2) | 27(L) | 1,274,400~(円) (1,517,400~) |
スズキ スペーシア ターボ (カスタムのみ) | 3,395×1,475×1,785(mm) | 2,460(mm) | 1,305 / 1,290(mm) | 165/55R15│165/55R15 | 900~(kg) | 47[64]/6,000 +2.3[3.1]/1,000(kW[PS]/rpm) | 98[10.0]/3,000 +50[5.1]/1,00(N・m[kgf・m]/rpm) | 25.6(km/L) | 27(L) | 1,728,000~(円) |
日産 デイズルークス NA | 3,395×1,475×1,775(mm) | 2,430(mm) | 1,305 / 1,290(mm) | 155/65R14│155/65R14 | 920~(kg) | 36[49]/6,500(kW[PS]/rpm) | 59[6.0]/5,000(N・m[kgf・m]/rpm) | 22.0(km/L) | 30(L) | 1,317,600~(円) |
日産 デイズルークス ターボ | 3,395×1,475×1,775(mm) | 2,430(mm) | 1,305 / 1,290(mm) | 155/65R14│155/65R14 | 960~(kg) | 47[64]/6,000(kW[PS]/rpm) | 98[10.0]/3,000(N・m[kgf・m]/rpm) | 22.2(km/L) | 30(L) | 1,671,840~(円) |
※()内はN-BOX,タント,スペーシアにおける“カスタム”グレードの数値を記載。
※全て2WDかつ最もリーズナブルなグレードの数値を記載。
一覧だけ見るとNAとターボの価格差が大きいように見えますが、ターボ搭載グレードはその他の装備も充実しており、過給器を除いた装備が同等のグレードと比較した場合は先述の通り15~20万程度の価格差に収まります。
ここからは個別にその特徴を見てみましょう。
ホンダ N-BOX
引用元:デザイン・カラー│スタイリング│N-BOX│Honda
まずは圧倒的な人気を誇る「ホンダ N-BOX」から。
先ほどの「2018年上半期 軽自動車販売台数」の順位ですが、1位のN-BOXの販売台数はおよそ12万7千台超。
それ以外(2位~5位)の4車種はいずれも7万台代ですので、いかにN-BOXが売れているかがわかりますね。
人気が高い車種を選ぶメリットの一つに「リセールバリュー」が大きいことが挙げられます。
当然中古車人気も高いため、手放すときにも得をしやすい車種と言えるわけです。
そうでなくても人気車種というのは“選ばれるワケ”があるわけで、例えば充実の安全装備や昨今流行の流れるウインカーをはじめとする豊富なオプション装備も現行N-BOXのウリの一つ。
サイド&カーテンエアバッグや先行車追従式のクルーズコントロールまでもが標準装備となっているグレードも存在します。
見た目もノーマルモデルはパッチリおめめでかわいらしく、一方で新型の「カスタム」は単に男らしいデザインからおしゃれ感の増した近未来的なデザインに変更されました。
ノーマル・カスタム、どちらの外観も乗る人を選ばず、この辺りがN-BOXが売れる理由の一つではないかと感じずにはいられません。
また現行のN-BOXは予防安全性能が大きく進化しており、様々な機能で安全や快適な運転をサポートしてくれます。
ちなみに管理人は初代N-BOX(ノーマル・ターボ)に乗っていますが、安全機能面は圧倒的に新型に劣るものの、走りの面では結構満足しています。
もちろん現行モデルは更に走りも磨かれており、普通に街中を走っていて動力性能に不満を感じるという人はほとんどいないのではないかと思います。
そんなわけで、当然現行モデルが最高ですが、個人的にはこれまた人気の高かった先代のN-BOXも結構おすすめできます。
もしお買い得な中古車を求めて旧N-BOXを狙うのであれば、圧倒的に「ターボ付きモデル」を選ぶことをおすすめします。
スズキ スペーシア(OEM│マツダ フレアワゴン)
引用元:スペーシア スタイリング│スズキ
新型スペーシアのノーマルモデルは、前から見ても横から見てもかなり個性的な外観になったように感じます。
個人的には嫌いではないですが、万人受けするとは言い難く、かなり好みが分かれそう。
N-BOXに真正面からぶつかって勝つことは諦めてしまったのでしょうか・・・。
カスタムは十二分にカッコイイです。
カッコイイのですが、あまり個性は感じられず(やはりサイドビューはやや個性的ですが)。
スペーシアのウリは、何と言ってもコンパクトでありながらハイブリッドエンジンを搭載していること。
モーターは回り始め(極低回転)からピークトルクを発生することが可能なので、軽ハイトールワゴンの鈍い出足を効率的にアシストしてくれます。
信号ではモーターのみで発進すること(モーターによるクリープ走行)ができたりと、軽自動車でありながらしっかりと“ハイブリッド車”。
・・・ですが、走りの性能という意味では“i-VTECエンジン”を搭載したライバルのN-BOXが強すぎるので、あまり期待しすぎない方がいいかもしれません。
先代に引き続き小物の収納スペースが豊富な点も見逃せないポイントですね。
この辺りの使い勝手はさすがです。
引用元:スペーシア 収納スペース│スズキ
気になるのは、「ターボ付きを選ぼうとするとグレードの選択肢がない」という点。
現行のスペーシアはノーマルモデルがせっかく個性的な外観をしているのに、ターボが設定されたグレードがありません。
それどころか、カスタムモデルの中でも「HYBRID XSターボ」というグレードしかターボを搭載しておらず、その価格は1,728,000円からとライバルの中では最も高額です。うーん。
ダイハツ ムーブキャンバス
先の2018年上半期の軽自動車販売台数ランキング、3位の「ダイハツ ムーブ」には「ムーブキャンバス」が含まれます。
ムーブキャンバスは丸みを帯びたかわいらしくおしゃれな外観と豊富なカラーリングが特徴的で、特に女性から高い支持を集めているようです。
ムーブキャンバスのメーカー公式ページを見ても女性をターゲットとしていることがひしひしと伝わってきますね。
初めて見たときは「和製ワーゲンバス」かとも思いましたが、人気が高く街中でも多く見かけるので、既に良い意味で見慣れた感があります。
引用元:【公式】ムーブ キャンバスの室内空間と荷室│ダイハツ
収納スペースの豊富さはかなりのもので、特に後部座席下の“置きラクボックス”(お気楽?)はなかなか使い勝手が良さそうです(「X “SA Ⅲ”」及び「L “SA Ⅲ”」の両グレード“以外”で標準装備)。
先のスペック表を見ると「1,252,800円~」と一見安価に見えますが、ムーブキャンバスのアイデンティティとも呼べる特徴的なツートンカラーは、最もリーズナブルなグレード「L “SA Ⅲ”」では選択できないので注意。
ツートンカラーが選べるのは「X “SA Ⅲ”」(1,404,000円~)以上のグレードとなります。
ツートンカラーを含めたカラーリングはライバルと比べても豊富な方なので、実際は老若男女を問わず自分に合った1台を見つけることができるはず。
唯一の残念なのは、ターボモデルの設定がないところ。
平坦な街中をのんびりと走る分には何の問題もありませんが、高速道路や坂道ではかなり頑張って走ることになります。
特に注意が必要なのは人や荷物をたくさん積んだ場合で、軽ハイトールワゴンはどれも元々車重があるということもあり、坂道で法定速度が出せないといったことも十分にあり得ます。
それでも昨今のCVTは優れているので、一昔前の軽自動車と比べれば圧倒的に走ってくれますが・・・。
ダイハツ タント
タントは軽ハイトールワゴンブームの火付け役とも言える存在で、初代は2003年にデビュー。
「しあわせ家族空間」をコンセプトとしており、家族でゆったりと乗れる広々とした室内空間は、当時としてはとても画期的なものでした。
2代目からは「センターピラーレス」の大開口スライドドア(ミラクルオープンドア)の採用により乗降性が飛躍的に向上。
子供が立ったまま乗り降りするCMが強く印象に残っている人も多いのではないでしょうか。
実際に試してみるとわかりますが、かなり乗り降りはしやすいですね。
ライバル車種にはピラーにグリップがある車種も多いですが、ピラーレスでも助手席の“肩”の部分にグリップが設けられており、全く問題ないどころか更に使いやすい印象。
しかし、実際は軽ハイトールワゴンやミニバンに乗っていて「センターピラー邪魔だなぁ」と感じたことがある人はあまりいないのでは・・・。
大々的にアピールしているポイントではありますが、「実際に使ってみないとよくわからないメリット」と言えるかもしれません。
ちなみにこのセンターピラーレス構造を採用している軽自動車は、2019年現在このタントと新型の「ホンダ N-VAN」のみ。
N-VANは助手席を格納可能なためセンターピラーレスの旨みを存分に引き出せていますが・・・。
センターピラーレスは側面の衝突安全性が指摘されることもありますが、タントはその点もしっかり考えられて作られています。
この衝突安全性を確保するために莫大なコストがかかっているはずですが、価格はライバルと比べるとややリーズナブル。
特に最も低コストでターボモデルに乗ろうと思ったら、タントの安さはかなり魅力的です。
ターボモデルの最低価格一覧
- タント 1,501,200~(円)
- デイズルークス 1,671,840~(円)
- ウェイク 1,674,000~(円)
- N-BOX 1,695,600~(円)
- スペーシア 1,728,000~(円)
現行モデルで3代目となるタントはそろそろモデルチェンジの時期。
近いうちに4代目がデビューするとウワサされていますので、新型に興味がある人は様子を見るのも一手です。
その分、モデル末期の3代目(現行)は値引きもされやすく、また中古車も豊富ですね。
特に登録済み未使用車(新古車)などの程度の良い車体を見つけることができれば、検討する価値は十分にあります。
日産 デイズ ルークス(三菱 eKスペース)
引用元:日産:デイズ ルークス [ DAYS ROOX ] 軽自動車 WEBカタログ トップ
「日産 デイズルークス」は、日産と三菱の合併会社「NMKV」が開発した軽自動車で、三菱版の呼び名は「eKスペース」。
デイズルークスはかつてラインナップされていた「日産 ルークス」の後継車種にもあたります。
個人的には初代ルークスのデザイン(特にリア)も好みでしたが、デイズルークスもよく見ると個性的な“顔立ち”をしていますね。
外観はライバルと比べてややスポーティーな印象。
軽自動車でありながら日産お得意の「アラウンドビューモニター」が搭載されているのも特徴の一つです。
またこのデイズルークス、なかなか内装の質感が高いように感じられます。
下手なコンパクトカーより良いという意見が多いですが、完全に同意ですね。
引用元:日産:デイズ ルークス [ DAYS ROOX ] 軽自動車│外観・内装
その他これと言って目立った個性はありませんが、逆を言えば特筆するような悪い部分がないということでもあります。
今回紹介した車種の中ではスペックや装備も十分に充実しており、全てが平均点越えの優等生といった印象で、誰が選んでも失敗しにくいのではないでしょうか。
デイズルークスは既に最新型と呼ぶことはできませんが、総合的なバランスで見ると唯一現行N-BOXといい勝負ができる車種と言えるかもしれません。
カラーも豊富なので、もし気に入ったカラーリングがあれば“買い”です。
ダイハツ ウェイク(OEM│トヨタ ピクシス メガ)
残念ながら販売台数トップ5には入らなかった「ダイハツ ウェイク」ですが、その使い勝手の高さからアクティブな若者を中心に強く支持されています。
ウェイクの特徴といえば、やはり車体の“高さ”ですね。
今回挙げた車種の中で全高が1,800mmを超えるのはウェイクのみ。
1,835mmという数値は次点のN-BOXと比べても45mmも高い数値です。
その分、室内空間は更に広々と感じられ、荷物の出し入れが楽だったり、よりたくさんの荷物を積めたりと、活用方法の幅も広がります。
しかし、車体が大きい分車重も大きく、そのため同じダイハツの兄弟車と比べても燃費はやや悪いですね。
ただ燃料タンク容量は36Lと昨今の軽自動車にしては余裕がある方なので、長距離も怖くはありません。
ウェイクは多彩なレジャー・アクティビティーにマッチする車種で、いろいろな用途ごとの専用のオプション装備も豊富です。
またシートアレンジの豊富さも魅力的で、「長旅で車中泊」なんてことも他の車より容易にチャレンジできちゃいます。
実はこの辺りは先の「ムーブキャンバス」も似たことが可能ですが、ウェイクの方がアウトドア派な人に向いていると言えそうですね。
あとがき│軽ハイトールワゴンを選ぶなら車種よりターボの有無で考えたい。安全装備にこだわらなければ中古車もあり!
やはり現行の軽ハイトールワゴンの中ではN-BOXが頭一つ抜けている感があります。
しかし、他の車種も人気があるわけで好みで選んでもそこまで大きな失敗はしないかもしれませんね。
スペックを比較しておいてこんなこと言うのもなんですが、車種の差よりもやはり「ターボ付きかどうか」の方が乗り味に与える影響は大きいですね。
この違いと比べたら車種ごとの差なんてあってないようなもの。
どれも売れているだけあって悪い車ではありませんから、見た目やフィーリングで選んでも良いかもしれません。
今回紹介した6車種はどれも販売台数が好調・・・ということは、程度の良い中古車も豊富ということです。
実際に管理人は初代N-BOXを新車で買って5年間所有していますが、ホンダセンシング(安全運転支援システム)がない点だけ目をつぶれば、あとは何の不満もありません。
ターボ付きですから、加速だって下手なコンパクトカーより鋭いですし、スペック的にはこれで十分なんですよね。
というわけで、実際は型落ちの中古車、現行モデルの新古車を狙ってみるというのもかなりおすすめです。
軽ハイトールワゴンは軽にあって軽にあらず。
所有するとちょっとリッチな気分にさせてくれる車でもあります。
是非自分にぴったりの軽ハイトールワゴンをゲットして、日常生活に快適さをプラスしてみてください♪