最近はミニバン人気は下火になりつつあり、その代わりにSUVと呼ばれるジャンルの車が人気を集めています。
でも一口にSUVといっても実に多くの車種がラインナップされており、しかもその見た目はどれも個性的。
実際、どれがどのように優れているのかはイマイチわからないですよね。
そこで、今回は近年特に人気がある「コンパクトSUV(コンパクトクロスオーバーSUV)」と呼ばれるクラスの車たちから、国産6車種を取り上げて比較してみたいと思います。
是非車選びの参考にしてください♪
アイキャッチ画像引用元:ヴェゼル│Honda
コンパクトSUVとは?
SUVとは「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」の略です。
スポーツとつくため”スポーティーな要素を持つ車”と思う人もいるかもしれませんが、正しいニュアンスは「スポーツアクティビティのための実用的な車」です。
スポーツアクティビティとはスキーやスノーボード、サーフィン、キャンプなどを指し、アウトドアなイメージが強いのはそのためですね。
本来の用途からして、高い走破性と積載能力の高さを備えた車種と言えます。
もともとは最近国内ラインナップに復活した「トヨタ ハイラックス」のようなピックアップトラックをベースとし、屋根を取り付けて汎用性を持たせたものがSUVと呼ばれていました。
かつてハイラックスにルーフを設けた「ハイラックスサーフ」という車種がありましたが、イメージとしては元来のSUVにもっとも近いかもしれません。
その後「スズキ エスクード」や「トヨタ RAV4」など、舗装路におけるパフォーマンスに優れた乗用車ベースの「クロスオーバーSUV」が登場し、街乗りにもマッチすることから広く認知されるようになりました。
コンパクトSUVはなぜ人気?
近年登場したコンパクトクロスオーバーSUV(以下コンパクトSUV)と呼ばれるジャンルの車はなぜこんなに人気が出たのでしょうか。
従来のSUVは「大きくて高額で燃費が悪い趣味のための車」といったイメージを持たれることが多かったのですが、コンパクトSUVはこれらの悪いイメージを全て取り払ってしまいました。
車体をコンパクトにすることで、次のようなメリットが生まれたのです。
- 取り回しが容易となり、日本の狭い道路も気軽に走れるようになった。
- 燃費が向上し、普段から気兼ねなく乗れるようになった。
- 小型化した分コストダウンし、多くの人が手を出しやすくなった。
更に従来の無骨なイメージから一転、多用なデザインを取り入れたことで、今や男女問わず支持層を増やし、街乗り用のいわゆる「乗用車」として受け入れられています。
コンパクトカーよりも高級感があり、ちょっとしたこだわりが感じられる・・・。
管理人は、「コンパクトカーに付加価値を求めるニーズにマッチしたそのコストパフォーマンスの高さ」こそがコンパクトSUVの人気の理由だと考えています。
また、実際にオフロード性能を求めている人はそこまで多くなく、従来から人気のあった「スバル フォレスター」や「日産 エクストレイル」などと比べ、更にスポーツアクティビティ要素を排除したことがあまりマイナス要素にならなかったのも大きいかもしれません。
人気の国産コンパクトSUV 6車種を比較!おすすめは?
それでは国産メーカーの主力コンパクトSUV6車種を見ていきましょう♪
どれも個性的な見た目で好みが分かれそうですね。
トヨタ C-HR
人気のコンパクトSUVの中で、今もっとも勢いがあるのが「C-HR」です。
たまにCH-Rという表記を見かけますが、C-HRが正しく、その由来は
「Compact High Rider(コンパクトでリフトアップされた格好いいスタイル)」と、「Cross Hatch Run-about(ハッチバックのようにキビキビと気持ちよく走るクロスオーバー)」の両方の頭文字を取って命名しました。
とのこと。
発表当初は、まるでコンセプトカーがそのまま市販されたかのようなその独特のエクステリアが話題となりました。
インテリアに目を向けると、その”コックピット感”やホールド性の高いシートなど、内部までスポーティーな雰囲気に溢れています。
この辺りはライバルの「ホンダ ヴェゼル」を意識してのことでしょうね。
C-HRには大きく分けて「1.8Lハイブリッド×2WD」と「1.2L直噴ターボ×4WD」を採用した2種類のラインナップがあり、エンジンと駆動形式が明確に分けられているのが特徴的です。
こう見ると一見ハイブリットの方が”良い車”のように感じられますが、ターボモデルの方はいわゆるダウンサイジングターボ。
排気量だけで比べてしまうと見誤る可能性もあり、注意が必要です。
残念ながら管理人は乗り比べたことはありませんが、実際にネット上では「ターボモデルの方が走りが良い」という意見も散見されます。
とは言え燃費面ではやはりハイブリッドがかなり有利ですし、価格差も13万円ほどと小さいため、多くの人はハイブリッドを選ぶことでしょう。
ざっくりですが、恐らく3万km程度も走れば燃費で元を取れるはずです。
ただ本来のSUVとしての用途を考えると、ターボモデルにしかない”4WD”も魅力的ですね。
最近「カスタムカー「C-HR Rチューンド」が「日産 GT-R ニスモ」より速い!?」なんてニュースも話題になりました。
現行モデルはCVT車のみですが、MT車がラインナップされたらスポーツ走行が好きな人にも需要がありそう。
ホンダ ヴェゼル
引用元:ヴェゼル│Honda
C-HR登場まで、2年連続で販売台数首位を走っていたのがこの「ヴェゼル」です。
街中でヴェゼルを見るとコンパクトという感じはしないのですが、実はそのベースはコンパクトカーとして有名な「フィット」。
フィットと同じく燃料タンクを前席下に置く独特の「センタータンクレイアウト」を採用し、外見以上に広い室内と荷室を実現しています。
特に後部座席はライバルより余裕が感じられるはず。
C-HRとよく比較されるヴェゼルですが、外観はC-HRほど尖ったイメージはなく、やや大人びた雰囲気も感じられますよね。
また、C-HRに対しては価格面で大きなアドバンテージがあります。
ハイブリッドのトップグレードこそC-HRと同じ価格帯ですが、ガソリンモデルのベースグレードはなんと200万円を切る価格設定です。
今どきコンパクトカーや軽自動車ですら欲張れば200万を超えてしまいますから、コストパフォーマンスはかなり高いと言えます。
その人気の高さもうなずけますね。
ハイブリッドモデルとガソリンモデルの差額はおよそ35万~38万円と大きく、ガソリンモデルの燃費はAWDでも19.0km/ℓと悪くはないので、ヴェゼルにおいてはガソリンモデルがお買い得。
また登場から年数が経過しているため、中古車が豊富なのも特徴です。
安く”イマ風”の車に乗りたい人にとっては、失敗しにくい選択肢となるでしょう。
ちなみにモデル初期のヴェゼルはその乗り心地の悪さを嫌う人が多かったそう。
2015年のマイナーチェンジにて「振幅感応型ダンパー」を採用したことで乗心地を向上させているので、中古車を狙う方はこの辺りをチェックしてみると良いかもしれません。
マツダ CX-3
引用元:【MAZDA】 CX-3 │クロスオーバー SUV - マツダ
「CX-3」は、近年のマツダの代名詞とも言える「魂動デザイン」が採用されたコンパクトSUVです。
ベースは「デミオ」なので、かつてラインナップされていた「ベリーサ」に近しい存在と言えそうです。
ベリーサは比較的マイナーな車種でしたが、内外ともにおしゃれでスペック以上に鋭い加速を見せるコスパに優れた車種でした。
デミオと同格のフィットをベースとしたヴェゼルは「センタータンクレイアウト」のおかげで広々とした室内を実現しているのですが、比べるとCX-3は少し狭く感じてしまうかもしれません。
CX-3には先の2車種と異なりハイブリッドの設定はありませんが、代わりにマツダお得意のクリーンディーゼル(SKYACTIV-D)の設定があります。
より低回転で太いトルクを発生するため、街乗りではディーゼルモデルの方が数段快適かもしれません。
ディーゼルエンジン搭載のコンパクトSUVを選びたければ、現状CX-3しか選択肢はありません。
またディーゼルモデルにはMTの設定もあり、コンパクトSUVにおける運転の楽しさを思う存分味わうことが可能です。
ところで、魂動デザインは確かに格好良いのですが、見る人が見ないと車種がわからないという欠点(?)も。
多くの日本人がベンツやBMWの細かなグレードを知らないように、車に興味がない人からは「マツダの車」として良くも悪くも一緒くたに見られてしまう可能性があります。
上位の「CX-5」のような印象で見られるか、下位の「デミオ」のような印象で見られるか・・・。
まぁCX-3は比較的安価なので、”マツダブランドの車”として多少お得感があるかもしれませんね。
日産 ジューク
引用元:日産:ジューク [ JUKE ] ] コンパクトカー Webカタログ トップ
「ジューク」はその奇抜な外観から登場時に大きく話題となった車種です。
管理人の周りでも、「車には詳しくないけどジュークならわかる」という人が多いですね。
ジュークは2010年に登場していますので、かなりのロングランモデルと言えます。
しかし初登場時こそ大きな話題となりましたが、ヴェゼルやC-HRの登場によって販売台数の面では長らく表舞台から遠ざかっているようにも見えます。
最新のライバル勢と比べると室内空間の広さや装備面で見劣りするのも事実・・・。
しかし、ジュークにはちょっと特殊な「NISMO」及び「NISMO RS」という”走りを意識した”グレードがあります。
特に「NISMO RS」は専用のメーカーチューンが施されたグレードで、最高出力「157kW(214PS)/6000rpm」、最大トルク「250N・m(25.5kgf・m)/2400-6000rpm」という、コンパクトカーとは思えないほどのハイスペックを誇ります。
このスペックでCVTのハイレスポンスなパドルシフト・・・絶対楽しい。
もちろん価格もワンランク上ですが・・・。
1.6Lエンジンモデル(いわゆる「ジューク ターボ」)はNISOMOとつかなくても、最高出力「140kW(190PS)/5600rpm」、最大トルク「240N・m(24.5kgf・m)/1600-5200rpm」と十分に強力ですし、価格も2,426,760~円と現実的なので、「パワーや走りにもこだわりたい」と言う人は選択肢に入れても良いかもしれませんね。
実は「2017年の東京モーターショーにて次期モデルが発表されるのでは?」なんていう噂もありましたが、結局実現しませんでした。
ただ、フルモデルチェンジがあるとすればそう遠くない未来に発表されるはずですので、新型に興味がある人は様子を見るのも一手です。
スズキ クロスビー
「クロスビー(XBEE)」はスズキの人気軽自動車「ハスラー」の大きい版とでも言うべき新型のSUVです。
プラットフォームは「イグニス」と共用ですが、コンパクトな外観に似合わず室内は広々としています。
特に後部座席は左右独立して前後に動かすことができ、後部座席にもゆったりと座ることが可能です。
こちらのブログ↓を読むと積載能力も高そう。
外部リンク:【ハスラーの大きい版「スズキ XBEE(クロスビー)」を見てきたよ♪】
このクロスビー、先日の東京モーターショー2017で初お披露目されたばかりで、まだ発売はしていません。
近く詳細が発表される見込みですので、続報を待ちましょう。
2017.12.25追記
本日ついに発売されました。
価格は1,765,800円~2,189,160円!
動力性能は最高出力がネット値で73kW(99PS)/5,500rpm、最大トルクが150N・m(15.3kg・m)/1,700-4,000rpmにマイルドハイブリッドの組み合わせ。
ライバルと比べるとやや控えめに感じますが、車重が1t以下というのがポイントです。
4WD車には「スポーツモード」に加え、滑りやすい路面での発進をサポートする「スノーモード」と「グリップコントロール」を搭載。
また急な下り坂でも車速を7km/hに維持することが可能な「ヒルディセントコントロール」を標準装備していて豪華な印象!
まさにアウトドア向けと言えそうです。
(2018年発売)
スズキ ジムニーシエラ(2018年発売)
2018年7月、待望の新型ジムニーが発売されました!
その人気はすさまじく、発売開始から2ヶ月が経っても納車は半年~1年待ちの状態と言われています。
ルックスは原点回帰といった感じで、よりワイルドな装いとなり、海外ではベンツGクラスになぞらえて「ベビーG」なんて呼ばれているようです。
個人的には生産終了したトヨタの「FJクルーザー」にも似た雰囲気を感じます。
ここで紹介する「ジムニーシエラ」は、そんな新型ジムニーの普通車バージョンといったポジション。
普通車サイズになって幅が増したことで、よりガッシリとした印象を受けます。
当然、エンジンが大きくなった分パワーにはゆとりが生まれ、室内空間も広く、装備も豪華です。
先のクロスビーと比べるとこちらの方がよりワイルドな1台と言えそうですね。
もちろんMTの設定もあり、全車4WDではあるもののベースがFRですから、街中でも思う存分、運転を楽しむことができるでしょう。
ただし普通車サイズでも2ドアな点は変わらず、ここで挙げているライバルたちと比べると、特に後部座席の使用を想定した日常の使い勝手はやや劣ります。
やはり趣味性の高い車として考えておく必要はありますが、4WDでありながら比較的手が出しやすい価格設定なため、使い方さえマッチすればかなり良い選択肢となるのではないでしょうか。
国産コンパクトSUV 5車種のスペック一覧
簡単なスペック一覧表を作ってみました。
各車ラインナップが豊富で、今回はエンジン別にベースとなるグレードのみを記載しています。
各種スペック、価格等は変更される可能性がありますので、最新のデータは各社ホームページにてご確認ください。
メーカー及び車名 (グレード) | エンジン | 最高出力(kW[PS]/rpm) | 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 車両重量(kg) | 全長×全幅×全高(mm) | ホイールベース(mm) | 燃費JC08モード(km/ℓ) | メーカー希望小売価格(円) |
トヨタ C-HR (S) | 1.8L+モーター | 72[98]/5,200+53[72] | 142[14.5]/3,600+163[16.6] | 1,440 | 4,360×1,795×1,550 | 2,640 | 30.2 | 2,646,000~ |
トヨタ C-HR (S-T) | 1.2L直噴ターボ | 85[116]/5,200~5,600 | 85[18.9]/1,500~4,000 | 1,470 | 4,360×1,795×1,565 | 2,640 | 15.4 | 2,516,400~ |
ホンダ ヴェゼル (HYBRID) | 1.5L+モーター | 97[132]/6,600+22[29.5]/1,313~2,000 | 156[15.9]/4,600+160[16.3]/0~1,313 | 1,270 | 4.295×1.770×1.605 | 2,610 | 27.0 | 2,270,000~ |
ホンダ ヴェゼル (G) | 1.5L | 96[131]/6,600 | 155[15.8]/4,600 | 1,180 | 4.295×1.770×1.605 | 2,610 | 20.6 | 1,920,000~ |
マツダ CX-3 (XD) | 1.5L直噴ターボ(ディーゼル) | 77[105]/4,000 | 270[27.5]/1,600~2,500 | 1,270 | 4,275×1,765×1,550 | 2,570 | 23.0 | 2,408,400~ |
マツダ CX-3 (20S) | 2.0L | 109[148]/6,000 | 192[19.6]/2,800 | 1,240 | 4,275×1,765×1,550 | 2,570 | 17.0 | 2,106,000~ |
日産 ジューク (16GT) | 1.6Lターボ | 140[190]/5,600 | 240[24.5]/1,600~5,200 | 1,300 | 4,175×1,765×1,565 | 2,530 | 13.4 | 2,426,760~ |
日産 ジューク (15RX) | 1.5L | 84[114]/6,000 | 150[15.3]/4,000 | 1,200 | 4,175×1,765×1,565 | 2,530 | 18.0 | 1,975,320~ |
スズキ クロスビー(HYBRID MX 2WD) | 1.0L直噴ターボ+モーター | 73[99]/5,500+2.3[3.1]/1,000 | 150[15.3]/1,700~4,000+50[5.1]/100 | 960 | 3,760×1,670×1,705 | 2,435 | 22.0 | 1,765,800~ |
スズキ クロスビー(HYBRID MZ 4WD) | 1.0L直噴ターボ+モーター | 73[99]/5,500+2.3[3.1]/1,000 | 150[15.3]/1,700~4,000+50[5.1]/100 | 1,000 | 3,760×1,670×1,705 | 2,435 | 20.6 | 2,189,160~ |
スズキ ジムニーシエラ | 1.5L | 75[102]/6,000 | 130[13.3]/4,000 | 1,090 | 3,550×1,645×1,730 | 2,250 | - | 1,760,400~ |
やはりこうやって見るとヴェゼルのコストパフォーマンスの高さが目立ちますね。
必要十分なスペックに200万を切る価格設定。
スペック上ではわかりにくいですが、C-HRは他車と比べるとモーター出力が大きいようですね。
燃費も見た目以上に良い。
リッター30km走る車なんて一昔前に大騒ぎした記憶がありますが、なんだか当たり前のように書かれていてびっくりしてしまいますね(笑
まとめ│コンパクトSUVはどれも個性的で選択肢が豊富!
SUVはミニバンと違い、大小問わず個性的な見た目の車が多いのが特徴です。
今回比較したコンパクトSUV 6車種もそれぞれ個性的な見た目をしていますよね。
そのため、結局外観で選ぶ人が多いのもうなずけます。
また、個人的にはやはりヴェゼルのコスパの高さに注目してしまいます。
フィットをベースにしているとは微塵も感じさせないほど後部座席や荷室が広く、見た目も古臭さを感じさせませんよね。
ただ、ヴェゼルやジュークはそろそろモデルチェンジが来てもおかしくありませんし、クロスビーの詳細なスペックや価格も気になるところ2017.12.25 発売に合わせて各項に追記しました。
国産SUVには「日産 エクストレイル」や「トヨタ ハリアー」、「マツダ CX-5」、「三菱 アウトランダー」、「スバル フォレスター」など多くの車種がラインナップされていますが、これらは今回紹介したコンパクトSUVの一つ上、ミドルクラスのSUVにあたります。
ハリアーは少し都会派ですが、本来の”スポーツアクティビティ”を思いっきり楽しみたい方は、これらミドルサイズSUVも選択肢に加えた方が良いかもしれませんね。
当然やや価格帯は上がりますが、豊富な中古車から自分に合った一台を探してみるのもアリですね♪