かつてはMT車をカスタムしてスポーツ走行を楽しんでいた管理人も、現在の愛車はAT車。
そして、実際にMT車からAT車に乗り換えることで感じたことがいくつかあります。
中には乗り換え前には想像できなかったような細かな不満も・・・。
そこで、今回は今MT車に乗っている人に向けて、「AT車に乗り換えるとしたらこんなところは覚悟しておいた方がいいよ」という点をいくつかお話ししてみたいと思います。
アイキャッチ画像引用元:トヨタ 86 | トヨタ自動車WEBサイト
MT車からAT車へ乗り換えるときに覚悟すべきこと
- 運転が簡単で刺激が少なくなる
- クラッチを使った遊びができなくなる
- シフトアップのタイミングが不自由
- 意図せぬシフトダウンが不快
- 交差点でブレーキをしっかり踏まないといけない
- CVTに乗り換えると回転数に違和感
- パーキングブレーキが脚踏み式の車種は要注意
1.運転が簡単で刺激が少なくなる
まずはわかりやすいところから。
MT車も慣れれば難しいと感じることはなくなりますが、やはりどちらかと言えば間違いなくAT車の方が運転が簡単ですよね。
「それの何が問題なの?」と思った人は心配要りません。
しかし、MT車を操作する「難しさ」や「忙しさ」に刺激を求めていた人にとっては大きな問題になり得ます。
例えば、これまではヒールアンドトウでバッチリ回転数を合わせたうえで気持ち良くカーブを立ち上がっていたのが、すべて車に任せっきりになります。
操作するのはアクセルとブレーキだけ。
ラクと取るかつまらないと取るかは人それぞれですが、もともとMT車に乗っていたのであれば、例えラクさを求めてATに乗り換えるとしても、ある程度覚悟はしておいた方がいいと思います。
・・・ここで「AT車だってMTモードでそれっぽく走れるんじゃないの?」と思った人は、たぶん次もMT車を選んだ方が幸せになれます。
(もともとAT車に乗っている人がMT気分を味わいたいときには便利ですが、もともとMT車に乗っていた場合はMTモードに過度な期待は禁物。)
2.クラッチを使った遊びができなくなる
例えば回転数を上げた状態でクラッチをつなぐバーンアウトやアクセルターン、ドリフトのきっかけにもなるクラッチ蹴り。
いずれも公道では危険なのでやってはいけませんが、サーキットのようなクローズドな場所を走るとなると話は別。
最近はAT車でジムカーナを走る人もいるので、昔のように「サーキットといえばMT車」という感じは少なくなりました。
しかし、やはり幅広く遊べるのはMT車かなと思います。
3.シフトアップのタイミングが不自由
昨今のATはオートブリッピング等が備わったMTモードを持つことが珍しくなく、そういった車種であればシフトダウンについては割と思った通りにコントロールすることが可能です。
しかし、シフトアップについてはなかなか思うようなタイミングで行うことができません。
例えば、感覚的にはもうシフトアップしたいのに、なぜかコンピュータが中途半端に高い回転数で低いギアを引っ張ろうとする・・・。
逆に高回転を楽しみたいのに、少しアクセルを抜いただけでシフトアップしてしまう・・・。
道や速度、車のギヤ比と乗り手の相性などもある問題で、一度不快に感じることがあると度々気になったりします。
エコモードやスポーツモードなど、アクセルレスポンスを変更する機能が備わった車であれば、この問題を解消できる可能性はありますが・・・。
シフトアップ自体のショックが大きく感じた場合も、AT車では軽減する手段がほとんどありません。
やはり一度気になってしまうと非常にやっかい。
ちなみに、先ほどの「少しアクセルを抜いただけでシフトアップしてしまう」という現象は、AT車で意図的にシフトアップさせるテクニックとして活用することも可能です。
もちろんMTと比べると使えるシーンは限定的ですけどね。
4.意図せぬシフトダウンが不快
そうそう多くはありませんが、ドライバーがこのままのギアで十分走れると判断しても、ちょっとした踏み具合の変化などで不意にシフトダウンをする場合があります。
踏み込んで意図的にシフトダウンをするキックダウンと異なり、「そんなつもりないのに」というシフトダウンは結構不快なんですよね。
よくあるのが長い直線などでアクセルを抜き、そのまま惰性(最小限のエンジンブレーキ)で進みたい場合。
コンピューターが「アクセルを抜いたということは減速の意志あり」と判断し、より強いエンジンブレーキを効かせるために勝手にシフトダウンをすることがあります(特に下り坂において多い気が)。
めったに感じることではありませんが、もともとMT車に乗り慣れていると「なんでやねん」と突っ込みたくなるシチュエーションです。
5.交差点でブレーキをしっかり踏まないといけない
MT車で交差点などに停止するとき、少しの停止ならクラッチペダルを踏み込むか、長ければニュートラル入れてしまうのが一般的ですよね。
しかし、AT車にはクリープ現象があります。
Dレンジに入れると、アクセルを踏まなくても車がゆっくりと前に進むアレです。
このクリープによる誤発進を防ぐため、しっかりとブレーキペダルを踏んでおく必要があります。
AT車しか乗らない人はそんなの当たり前だと思うかもしれませんが、先の通り、MT車はニュートラルで停止するのが一般的。
そのため、ブレーキをそれほど強く踏まなくても、平地で車が動いてしまうことはほとんどありません。
ブレーキにそっと足を添えるだけで十分なんです。
そんな感覚のままAT車に乗ると、「クリープを抑え込むのに力が必要」と感じてしまうわけです。
管理人なんかは、ブレーキを踏む右足首の上に左足首を乗せて体重をかけることがあるほど。
とはいえ、これは慣れの問題なのでAT車に乗り換えてしばらく経てば大きな問題ではなくなります。
しかし、特に乗り換えた直後は「ブレーキの踏み込みが甘いせいで前に進んでしまい、前の車に追突してしまった」なんてことにならないように注意したいですね。
6.CVTに乗り換えると回転数に違和感
CVTとは無段変速機のこと。
その名の通り、1速や2速のようなギヤを持たず、無段階の変速が可能という点が最大の特徴です。
これによるメリットは非常に大きく、よく「エンジンの回転数の一番おいしいところをキープして走ることができる」と言われます。
端的にわかりやすく言えば、より素早い加速や燃費を重視した加速を追求することが可能ということ。
しかしそれゆえ、速度に応じて徐々にエンジンの回転数が上昇するMT車とはエンジンフィールが大きく異なります。
中には一般的なトルコンATのような感覚で加速ができる「ステップアップ制御のCVT」も増えているので、気になる人は乗り換え前にチェックしてみるといいかもしれません。
とはいえ、実は個人的にはCVTとスポーツ走行は意外と相性が良いのではないかと感じています。
特にパドルシフトを用いた疑似的なシフトチェンジは変速ショックが少なく、非常にリニアなので、その気になって走りを楽しむことが可能です。
7.パーキングブレーキが脚踏み式の車種は要注意
MT車に乗り慣れると、交差点などで速度が落ちたとき(回転数が急激に落ちたとき)にクラッチを踏み込むことが習慣化されます。
この習慣がある人が足踏み式のパーキングブレーキを採用したAT車に乗り換えた場合、クラッチと間違えてパーキングブレーキを踏んでしまう可能性があります。
仮に交差点で速度が落ちたときに踏み込めば、いくらパーキングブレーキといえど急停車する恐れがあり非常に危険(電動パーキングブレーキの中には走行中にONにすると全輪フルブレーキが効くものもあるようです。こわい)。
しかも、解除するには「一度足を上げ直して、もう一度踏み込む必要がある」ため、とっさに状況を理解して解除するのはほぼ不可能です。
そもそも間違えて踏んでいる時点で混乱するはずですし、急減速で身体が前のめりになると足を上げるのは難しくなりますよね。
昔はパーキングブレーキといえば手で引く「サイドブレーキ」が一般的でしたが、昨今では省スペース化のために足踏み式のパーキングブレーキを採用する車も珍しくありません。
乗り換えの際は十分に注意したいポイントですね。
まとめ│MT車からAT車への乗り換えは楽しさと便利さのトレードオフだけじゃない!
MT車は不便だけど運転が楽しい、AT車は便利だけど運転がつまらない。
これだけではなく、AT車に乗り換えるとシフトチェンジのタイミングやショックなどにも不満を感じる可能性があります。
こういったことは一度気になりだすとかなり厄介なので、乗り換える予定の車に実際に乗ってみて、しっかりとチェックしておきたいですね。
試乗時にチェックしておきたいのがこちら↓
- シフトアップのタイミングとショック
- アクセルオフ時のシフトダウンの有無
- 停車時のブレーキ踏力
- パーキングブレーキの位置
この辺りまで忘れずにチェックしたいですね。
あとはMTモードのレスポンス辺りもチェックしておきたいところですが・・・
一昔前と比べて昨今のMTモードが非常に優秀ということは理解していますが、MT車からの乗り換えであれば、やはり過度な期待はしない方がいいかも・・・?