オートマ車で信号待ちや駐車をするときの正しいシフト位置まとめ!

オートマ車で信号待ちや駐車をするときの正しいシフト位置まとめ! AT車

日本の道路は信号が多く、ストップ&ゴーが多いですよね。

中には2~3分に及ぶ長い信号があったり、踏切待ちのように長時間停車するシーンも少なくありません。

そんな長時間の停車の際、シフトノブの位置がDレンジのままで良いのか疑問に感じたことはありませんか?

 

実は停車の方法には様々なパターンが考えられます。

Dレンジのままフットブレーキorパーキングブレーキ。

Nレンジに入れてフットブレーキorパーキングブレーキ。

はたまたPレンジに入れるという人もいるかもしれませんね。

 

これらにはどのような違いがあって、どの選択が最も適しているのでしょうか。

今回は信号待ち等の停車時におけるシフトチョイスについてまとめてみたいと思います。

実は中には「避けたい選択肢」もあるので、あやふやな人は要チェックです。

 

信号待ちはD?N?P?どれに入れておけばいいの?

Dはドライブ、Nはニュートラル、Pはパーキングのポジションのこと。

 

結論から言えば、AT車で信号待ちをする場合はDに入れたままブレーキを踏み続けていればOKです。

理由は次の通り。

  • Dに入れっぱなしでも大きなデメリットがない
  • Dに入れっぱなしなら余計な操作が増えない
  • Dに入れっぱなしならすぐに発進できる

 

何より、Dに入れっぱなしにした場合のデメリットがほとんどないということ。

強いて言えば「車種によっては振動が気になること」や「クリープ現象を抑えるためにブレーキ踏力が必要なこと」、「気を抜くと(ブレーキを弱めると)車が前に進んでしまうこと」などが挙げられますが、恐らく気にしたこともないという人がほとんどだと思います。

となれば、わざわざ余計な操作を増やす必要はありませんよね。

一度D以外に入れてしまうと発進の際にも余計なひと手間が必要になりますし。

 

ただし、渋滞や踏切などで長時間停車するとなると、Dレンジ以外の選択肢も出てきます。

NかPに入れればブレーキを踏む力を弱めることができますし、そもそもパーキングブレーキ(サイドブレーキ)を使えばブレーキペダルから足を離すこともできるんですよね。

つまり、Dに入れっぱなしでブレーキペダルを踏み続けるより少しだけ楽をできるわけです。

では、そのような場面ではNとP、どちらを使うのが良いのでしょうか。

 

Nを使うのはどんなとき?

Nに入れるとエンジン側とタイヤ側の回転が完全に切り離された状態になります。

一方一般的なトルコンATであれば、Dに入れたままだとエンジン側とタイヤ側はトルクコンバーターという機構でつながった状態なので、ブレーキで抑え込んでおかないと徐々に前進を始めます。

これが俗にいうクリープ現象ですね。

つまり、特別な機構がない限りはタイヤ側の抵抗が常にエンジンへの負荷となっている状態にあります。

このため、特に古く排気量の小さい車ではエンジンへの負担が大きく、停車時に振動が大きくなるというデメリットが現れることも。

こういった場合、Nに入れればエンジンとタイヤ側の同期が解除(エンジンにかかる負荷が軽減)されるため、振動が小さくなることがあります。

となれば、あまりに長時間の信号待ちや踏切待ち、渋滞の際など、長時間の振動が不快と感じられるようであれば、Nを選択する価値はありますね。

ただし、最新の車の中には燃費向上のために「Dレンジ+停車+フットブレーキ」でエンジン側とタイヤ側の同期を解除する機構が備わっている場合があります。

こういった車の場合はNに入れても振動の大きさは変わりません・・・というか、Dのままでも振動は大きくなりません。

しかし、そういった最新の車でも「N+パーキングブレーキ」の場合は先ほどの条件(Dレンジ+停車+フットブレーキ)と異なるため、振動が大きくなる可能性がある点に注意が必要です。

これは実際に車ごとに試してみないとわかりません。

 

振動の軽減以外にも、Nに入れるとクリープ現象がなくなるため、フットブレーキを踏む力が少なくて済むのは大きなメリットですね。

これは普段MT車に乗っている人は感じやすいのではないかと思いますが、Dに入れっぱなしだと結構強い力でブレーキペダルを踏んでいないといけない(と感じる)んですよね。

少なくともMT車よりは大きな踏力が必要です。

というわけで、個人的には分単位の停車になると感じた際にはNに入れ、軽くブレーキペダルを踏むようにしています。

 

しかし実際は停車時にNを選択するのは少数派だと思います。

では「Nはどんな場面で使うのか」ですが、例えばレッカーなどでけん引される場合。

タイヤの回転をフリーにすることで、駆動輪側を浮かせなくてもスムーズなけん引が可能となります。

また欧州の一部地域では縦列駐車の際にNに入れておくことがある(あった?)そうです。

これは他の車が出し入れする際に前後の車を押してスペースを作るためなんだとか。

坂の多い日本では考えられませんね・・・。

 

ちなみに、古いトルコンATではシフトノブを動かすたびに油圧クラッチが摩耗すると言われていましたが、昨今ではパドルシフトを搭載したAT車もごく一般的になってきましたし、日常の操作程度で壊れることはほぼないと思われます。

その点は心配ご無用。

 

走行中にNを使うのは避けた方が良い!

ちょっと脱線しますが、車が動いている最中にNに入れた場合を考えてみたいと思います。

 

たまに「ニュートラルで走るとエコドライブになる」といった意見を耳にすることがあります。

しかし実はそうでもないんですよ。

もちろんエンジンブレーキが効きすぎてみるみる車速が落ちるようでは効率が良くありませんが、昨今の車は一部のスポーツカーを除いてほとんどが燃費を重視した設計がなされているため、エンジンブレーキの効きはどれも弱めなのが一般的です。

そして、エンブレによる減速が最小限なのであれば、エンブレは効かせておいた方がお得です。

なぜならエンブレが効いている間は燃料がカットされるから。

一方、ニュートラルに入れているときは仮に車が動いていてもエンジン単体で見ればアイドリングの状態と同じで、実はエンジンが止まらないように燃料を消費しているんです。

エンブレ状態は燃料を消費する代わりにタイヤの回転でエンジンを無理やり回す、と考えるとわかりやすいかもしれません。

そしてエンジンが無理やり回されたときに生じる抵抗で減速していく・・・

これがエンジンブレーキです。

 

というわけで、燃料がカットされるエンブレの方がエコなのは明白ですよね。

もちろんシーンによっては減速の少ないニュートラル走行の方が効率的なこともあり得ますが、少なくとも長く緩やかな下り坂などではエンブレを効かせていた方が圧倒的にエコですし、かつ安全です。

 

更に余談ですが、「AT車の方がMT車よりエンジンブレーキが弱い」というのは同車種で比較すればその通りかもしれませんが、例えばスポーティーなAT車の方がSUVタイプのMT車よりエンブレが強いのは一般的なことです。

要は車種ごとの特性の方が大きいわけですね。

 

もちろん走行中にNに入れない方が良いのはエコじゃないからだけではありません。

何より大きな理由が「走行中にNを使うのは危険」だから。

まず加速によるトラクションやエンジンブレーキがない状態は車が非常に不安定になることが一つ。

これはちょっとしたカーブで試してみるとすぐにわかると思います。

同じ速度でDのまま急旋回した場合と、Nに入れて急旋回した場合、アクセルのオンオフを問わず、Nに入れた方が圧倒的に不安定に感じるはずです(試す場合は必ず他の交通のない安全な場所で極低速から試してみてください)

それから先ほども少し触れましたが、下り坂ではエンジンブレーキを効かせていた方が安全なのは言うまでもありませんね。

 

また、最近の車は賢いので、Dに入れた状態でブレーキを効かせると勝手にシフトダウンしてエンジンブレーキを併用してくれることがあります。

一方、Nに入れた状態ではエンジンブレーキは当然効きません。

また細かい点を挙げれば、Nに入れているといざと言うときの操作がワンテンポ遅れる可能性もあります。

可能性で言えば加速することで回避できる事故もあるかもしれませんからね。

 

というわけで、走行中にNを使うのは極力避けましょう。

安全第一。

 

Pを使うのはどんなとき?

その名のとおり、Pはパーキング、つまり駐車のときに使うもの。

基本的に信号待ちなどの一時的な停車の際に使うのは避けた方が無難です。

そもそも停車中にPを使うメリットがほとんどありません。

ペダルから足を離して休ませたい?

それならよほどの激坂でもない限り、「N+パーキングブレーキ」で事足ります。

もちろんその状態で車から離れるのは論外ですし、すぐにブレーキを踏めない状況もアウトです。

例えば信号待ちで靴を履き替えるだとか、後部座席の荷物を取るために後ろに身を乗り出すだとか、Pじゃないとダメな理由があるのであれば、おとなしく安全な場所に駐車してから「P+サイドブレーキ」を使うべきでしょう。

 

また、多くの車種ではPに入れるためにRを経由することになりますが、その際一瞬ですがバックランプが点灯することがあるのをご存知でしょうか。

一瞬のことですが、発進の際にもまたRを経由することになりますし、後続車が不快に感じる可能性も考えられます。

加えて極わずかではありますが操作ミスのリスクも考慮した方が良いかもしれませんね。

ありがちなのが、PからDに戻す際に誤ってNに入れてしまい、アクセルをあおりながらDに入れ直して急発進してしまうパターン。

まぁ「N+パーキングブレーキ」の場合も同様に、Nに入れたままアクセルをあおってしまう可能性はありますが・・・。

 

基本的にPを使うのは、車を降りてその場を離れるような場合のみと考えていいと思います。

逆に駐車時はより安全なP以外に選択肢はないと考えてOKです。

 

・・・ちょっと特殊な例ですが、エンストをした場合はPに入っているか要チェックです。

実はAT車でも極稀にエンストを起こすことがあります。

滅多にないとは思いますが、いざエンストしたらパニックになってエンジンをかけられなくなってしまうかも。

実際、管理人はこの5年ほどでエンストで立ち往生したAT車を2回も補助(?)したことがあります。

エンストの理由はわかりませんでしたが、エンジンが再始動しない理由はいずれも「Dに入れっぱなしだったから」でした。

昨今はシフトノブをPやNに入れ、ブレーキを踏みながらでないとエンジンがかからないといった車種がほとんどなんですよね。

Nでエンジンがかかるかどうかは車種によりますが、Pならほぼ全ての車種で問題がないはず。

エンストした場合は落ち着いてPに入れることを意識する必要があります(もちろんエンストの原因は別途診断する必要がありますね)

 

プリウス等「パーキングスイッチ」搭載車はちょっと特殊

例外として、プリウスのようにPがスイッチになっている一部車種は、わざわざNに入れるよりもPスイッチを押した方が簡単で間違いがないと言えます。

Rを経由しないのでバックランプが点灯しないので、そうなればPを避ける理由もありません。

逆にプリウスだとどのタイミングでNを使えばいいのかが、いまいちわかりませんね・・・。

それこそけん引されるときくらいでしょうか・・・。

 

まとめ│パーキングブレーキで停車するならD?N?P?

ここまでのおさらいです。

ちょっと長い停車の際にパーキングブレーキ(サイドブレーキ)を使って楽をしたい場合、シフトノブはD、N、Pのどれを選択していれば良いのでしょうか。

 

Dのままでも車はしっかりと静止してくれますが、クリープ現象を抑え込む必要があるため、パーキングブレーキのみではちょっと不安が残るのが正直なところ。

中にはブレーキを踏んで静止した際に伝達をカットする機構を搭載した車種もあるため、フットブレーキを踏んだ場合より振動が強くなる可能性もあります。

 

Nの場合はクリープ現象がないためパーキングブレーキで十分静止できますが、傾斜のキツイ道ではまだ心許ないと感じる人もいるかもしれません。

いつでもブレーキペダルを踏み込める心構えが必要ですね。

ただ、個人的には大きなデメリットはないと感じます。

 

Pに入れていればちょっとやそっとじゃ車が動くことはありませんが、先述のとおり「Pを使う必要があるような場合は素直に安全な場所に駐車した方が良い」と思います。

いちいちバックランプが点灯するのもかっこ悪いですし、後続車にも迷惑というもの。

ただし、プリウスのようにスイッチでパーキング状態をオンオフできる車種であれば、「N+パーキングブレーキ」よりお手軽に使えますし、デメリットもほとんどありません。

 

総じてどうしてもパーキングブレーキを使って楽をしたいならNとの組み合わせが良いと思います。

が、Pを駐車時にしか使わないという理屈と同様、“パーキング”ブレーキも基本は駐車の際に用いられるものです。

結局、信号待ちや停車の際はDに入れてフットブレーキを踏んでいるのが一番安全で、かつ操作性に優れていると言えるのではないでしょうか。

もちろん、普段MT車に乗っている人が好むように、Nに入れてフットブレーキを踏むのもアリだと思います。

よりMT車に近い操作と言えますし。

 

一方で、駐車の際はDやNではなく確実にPを選択したいところ。

それぞれの役割をしっかりと把握して、快適かつ安全な運転を心がけたいですね。