ついに日本国内でもモンスターマシンを買える時代が到来しました。
今回レビューするのはPROPEL ENDEAVOR S(プロペル エンデバー エス)という電動スケボーです。
電動スケボー界のモンスターマシンと言えば、世界的に有名な「BajaBoard」の名を挙げる人も少なくないでしょう。
性能はもちろん、本体価格だけで50万円を超えてくるような超高級マシンです(ENDEAVOR Sと似たスタイルのG4というモデル)。
実は今回乗ったENDEAVOR S、このBajaBoardに匹敵するほどの超本格派。
なんてったって、海外ユーザーからは「BajaBoard Clone(クローン)」だの、「BajaBoard Killer(キラー)」だのと言われるほど。
この時点でENDEAVOR Sが相当高く評価されていることがわかります。
そんな最新型のモンスターマシンが国内通販で買えると知って、即購入してしまいました。
久しぶりにワクワクしながらレビューを書いています(笑
購入を検討している方は是非参考にしてみてください。
超本格派電動スケボー「PROPEL ENDEAVOR S」のスペックと特徴
引用元:PROPEL ENDEAVOR S(Yahoo!ショッピング)
まずは基本的なスペック(公称値)をチェック!
- 最高速度:45km/h
- 航続可能距離:45km(体重75kg)
- 重量:17kg
- サイズ:1,120mm×W450mm×H230mm
- ウィール直径:203.2mm(8インチ)
- 登坂能力:30%(16.7度)
- 耐荷重:150kg
このほか実測で、ホイールベース(前後のタイヤの距離)は約925mm、トレッド(左右のタイヤの中心間距離)は約400mm。
個人的に気になったポイントを深堀してみたいと思います。
特徴1.ベルトドライブでとにかくパワフル!
引用元:PROPEL ENDEAVOR S(Yahoo!ショッピング)
最高速度は45km/h。
タイヤを空転させるとリモコン表示は驚異の52km/h。
この時点ですでに「これまで乗ってきたオフロードモデルとは何かが違う」と気付きます。
なぜなら、一般的なオフロードモデルは最高速を犠牲にしてトルク重視の設定がなされることが多いため。
しかし、ENDEAVOR Sは45km/hという最高速度を誇りながら、平均的なオフロードマシンを凌駕する加速力を持っています。
そして、ヘビーな車体に似合わずブレーキも超強力。
ゆえに、大雑把なリモコン操作をしないように注意する必要はありますが、注意したいのはそこだけ。
少し意識して操作をすればじわっと加減速してくれるので、十分安心して走れます。
それでいて、その気になればめちゃくちゃアクティブな走りが可能で、乗り手が望んだ分だけの刺激的な走りを楽しむことができます。
登坂力もかなりのもので、最大30%(約16.7度)の斜面を駆け上がることができます。
めちゃくちゃパワフルで、凹凸の多いオフロードでも余裕を持って前に進むことが可能です。
補足.電動スケボーのトレンドはATモデル + ベルトドライブ
ENDEAVOR Sは加速時に強大なトルクを体感できますが、この要因として挙げられるのが「ベルトドライブ」であるということ。
これまで当サイトで紹介してきた電動スケボーは、駆動輪の中にモーターが内蔵されたインウィールモーター、いわゆる「ハブモーター」を採用したモデルばかりでした。
ハブモーターはベルトドライブと比べて駆動音が少なかったり、構造がシンプルなため低コストで、かつメンテナンスフリーだったりというメリットがあるのですが、電動スケボーの駆動方式としては近年徐々にトレンドから姿を消しつつある方式でもあります。
2022年現在のトレンドは、AT(オールテレーン│全地形対応)仕様 + ベルトドライブ(orギアドライブ)。
ATモデルのようにウィールの径が大きくなるほど、加速の際に必要なトルクは大きくなります。
この点、ベルトドライブであればプーリーとベルトによって「ギヤ比」を設けることができ、モーターを大型化することなく更に大きなトルクを得ることが可能で、相性が良いんですよね(ギヤドライブも同様)。
もちろん、ENDEAVOR Sについてはモーター自体の性能も定格出力1500w×2基と高性能。
一方でハブモーターの場合は、ウィール内にモーターを収める必要があるため、サイズの制限も大きく、性能を上げれば上げるほど熱対策(モーターの冷却)も難しくなります。
もちろん、先述のとおりハブモーターにはハブモーターの良さがあります。
例えば過去に紹介したMaxfind FF PLUSなんかは、ハブモーター仕様にも関わらず強い加速感が味わえるので、コスパ的にはこちらもおすすめできます。
特徴2.ビッグパワーにもかかわらず長距離走行が可能
ENDEAVOR Sは、これだけのパワフルさを持ちながら、体重75kgの人が乗って45kmも走行することが可能です。
体重100kgの人が乗っても28kmも走れます。
従来の電動スケボーと比較してみると、例えば国内でも人気のオフロードモデル「WINboard Spark X」は、最高速度38km/h、航続可能距離は35km。
スノーボードをやったことがある人なら想像できるかもしれませんが、1日で45km/hも走ったら足が棒になります(笑
充電時間はたったの4時間というのも驚き。
というわけで、個人的にはバッテリー面には不満なし!
特に日本国内においては公道を自由に走り回ることができないということもあり、同じように評価する方も多いのでは。
特徴3.独立懸架式の超本格サスペンション!
ENDEAVOR Sの最大の特徴と言えば、やはりその足回り。
実際に乗って驚きましたが、でこぼこ道を走っても衝撃を吸収しながら平然と前に進みます。
ポイントは「独立懸架式(Independent suspension)」のサスペンションであること。
これは、文字通り左右のウィールを独立して上下させることができる足回りのことで、路面の凹凸に対する追従性が高いのが特徴です。
反対に、一般的なスケボーのように左右が1本のトラックで接続されているタイプは、いわば車軸懸架式(固定車軸式)。
車軸懸架式の場合、地面の突起によって片方のウィールが持ち上げられた場合、もう片方のウィールが地面に押し付けられるため、トラクション(ウィールが地面を蹴る力)を伝えやすいというメリットがあります。
しかし、車体(デッキ)そのものが姿勢を崩しやすく、これは身体がホールドされていないスケートボードにおいては割と致命的。
その点、ENDEAVOR Sに採用される独立懸架式は、片方のウィールが持ち上げられても、もう片方のウィールは影響を受けません。
地面の起伏に沿ってそれぞれのウィールが独立して上下するため、デッキは水平を維持しやすく、圧倒的な安定感を感じられます。
実はこの独立懸架と車軸懸架の走破性、自動車では逆のことが言えます。
つまり、一般的に独立懸架より車軸懸架の方がオフロード向きとされるのです。
実際、ジムニーやランクル、ハイラックスなどの本格クロカンに挑めるような車種は、リアに車軸懸架を採用しています。
車体が傾こうがなんだろうが、とにかく深いストロークで、巨大な凹凸を乗り越えられるだけの余裕があることが第一。
ところが、自動車と違って身体が固定されていない電動スケボーにおいては、とにかくデッキが傾かないことが大切。
いくら険しい悪路に進入できたとしても、乗り手が振り落とされるようでは優れているとは言えないわけです。
電動スケボーにおいては、第一に荒れた路面でも姿勢を崩しにくいことが大切です。
これだけサスペンションが動いても、デッキは水平を維持しています。
よく見れば乗り上げた側のスプリングがしっかりと縮んでいるのがわかりますね。
突き上げ感はスプリングの効き具合を調節することで軽減することも可能ですし、一般的なトラックでは不可能なレベルの乗り心地と走行安定性を実現しています。
まさに別格。
ちなみに今も少し触れましたが、この独立懸架式のメリット(路面追従性の良さ)を最大限に活かすには、ある程度サスペンション自体を柔らかく設定しておく必要があります。
サスペンションを柔らかくするとオンロード(高速域)における安定性がやや犠牲にはなりますが、ENDEAVOR Sのサスペンションは割と簡単に調整することが可能です。
足回りのセッティング方法
先述の通り、悪路を走行する際はある程度足回りを柔らかくしておくのがおすすめです。
その方法は簡単で、写真の位置に付属の六角レンチを差し込んで、黒いリンクを回すだけ(レンチを回すのではなく、レンチをハンドル代わりにしてリンクを回す)。
黒いリンクを回せば感覚的にスプリングが伸びたり縮んだりするのがわかるので、簡単に調節することができます。
無荷重の状態でスプリングが伸びているほど柔らかく、縮んでいるほど固くなります。
スプリングの効き具合のほかに、一般的なスケートボードでいうところのキングピンナットの締め具合に該当する調節も可能です。
つまりデッキの傾けやすさの調節ですね。
調整位置はここ↓
付属のスパナと六角レンチを使い、根元のナットを緩めてからボルトを緩める(反時計回りに回す)と、スプリングの効きが弱まってデッキを傾けやすくなります。
個人的には初期設定ではかなり固く感じ、緩めた状態で乗っています。
このあたりの感じ方は乗り手の体重や筋力、技術によっても変わってきます。
調整方法としては、まずは大きく緩めてボルトを出し、あとは実際に走りながら徐々に締めていくのがおすすめです。
ENDEAVOR Sは見た目からもお分かりの通りコーナーリングマシンではないので、まずは自分のイメージ通りに曲がれるようにセッティングすることが大切。
そのためにはできるだけデッキを傾けやすい状態にしておき、そのうえで柔らかすぎて不安定さを感じたら締めていく。
まずはこれで良いと思います。
スピードを出せるようになってきたり、体重をうまくかけられるようになってきたりしたら、また少しずつ締めてベストなポイントを探してみてください。
特徴4.とにかく大きい
ENDEAVOR Sは電動スケボーの中でもかなり大柄なモデルです。
手持ちのオフロードモデルと並べてみましたが、かなり大きいですよね。
重さは約17kg。
以前レビューした電動キックボードが約18kgで、一般的なママチャリと同じくらいでした。
これと大差ないと考えると相当ですよね。
なので、正直な話、持ち運びは結構大変。
maxfind FF Plus(右から2番目)のようなグリップ部もないため、キャリーケースのように引いて歩くこともできません。
車に乗せるにも、多くの車で後部座席やトランクを占有することになるはず。
しかし、いざ走り出してしまえばその重さを感じることはほとんどありません。
オフロードモデルであれば比較的軽量なBackfire Ranger X1(右から3番目)でも11kg(最新のX3は13kg)。
一見6kgの差は大きく感じられますが、人が乗るとどうでしょうか。
例えば75kgの人が乗ったとすると、17kgであろうが11kgであろうが、総重量からしてみれば7%程度の違いしかありません。
そして、ENDEAVOR Sはその差を埋めて余りあるほどの加速力と制動力を持っています。
当然ウィールはラバー製なので十分なグリップがあり、一般的なPUウィールと比べて安全性にも優れます。
また、ホイールベースが長いためスピードを出してもぶれにくく、走り出してしまえばその大きさは安定感に寄与するため、オフロードはもちろん、どっしりと構えて高速クルージングを楽しみたいという場合も良い選択肢となります。
実際、海外ではこのENDEAVORシリーズや先のBajaboardなどのハイエンドのATマシンは、クルージングマシンとして高く評価されています。
PROPEL ENDEAVOR Sの操作方法
引用元:PROPEL ENDEAVOR S(Yahoo!ショッピング)
操作方法は一般的な電動スケボーと同様、リモコンのダイヤルを上に回せば前進、後ろに回せばブレーキがかかります。
初めて乗る際は加減がわからないと思うので、じわっと操作することを心掛けてください。
うまく乗れないという人はこちらの記事をチェック↓
ENDEAVOR Sのリモコンはモニター付きで、ボード本体とリモコンのバッテリー残量、走行距離、速度、走行モードなどを確認できます。
走行モードは全部で4種類。
- LO:<8km/h
- MI:<15km/h
- HI:≦45km/h
- Pro:≦45km/h(ハイトルクモード)
走行モードの切り換えはReverseボタンで。
前進・後退の切り替えはPowerボタンを2回タップ。
ボタンの名称と機能が一致していませんが、いずれかのボタンを押せばバイブレーションと共に画面の表示が切り替わるので、迷うことはないはず。
オーソドックスな形状的で、それでいて多機能な使いやすいリモコンだと思います。
補足.速度表示単位の変更方法
管理人が購入した個体はデフォルトの速度表示がMPH(マイル)に設定されていたので、購入後にKM/H(キロメートル)表示に変更しました。
その方法ですが、まずリモコンの電源を入れる際、Reverseボタンを押しながらPowerボタンを長押しして起動します。
いくつかパラメーターを書き換えられる項目が表示されますが、その中に速度単位の項目(UNIT)がありますので、ダイヤルを回してKM/Hに変更。
再度Powerボタンを長押しして電源を落とせば、次に電源を入れたときからKM/H表示に変わっています。
PROPEL ENDEAVOR Sの購入後のメンテナンスについて
メンテナンスといっても、専門的な知識を要する難しい手順、面倒くさい作業などはないので安心してください。
最低限チェックしておきたいのは たったの3つ。
- バッテリー残量の管理
- ベルトドライブの清掃
- 空気圧の管理
1.バッテリー残量の管理
最も気をつけたいのは、バッテリーの残量が100%や0%の状態で長期間放置してしまうこと。
特にバッテリーの容量がゼロになった状態で放置すると過放電が起こり、最悪再充電ができなくなってしまいます。
これだけは絶対に注意が必要です(実は管理人も過放電でバッテリーをダメにしたことがあります。バッテリー交換が簡単なモデル(FF PLUS)だったのが不幸中の幸いでしたが)。
一般的にリチウムイオンバッテリーは残量40%程度で放置しておくのが最も劣化しにくいと言われるようですが、一般的なバッテリーはおよそ1年で40%程度自然放電されるということなので、長期間放置する場合は60~80%の間くらいで、できれば1ヶ月に1回バッテリー残量をチェックしておくと安心です。
ENDEAVOR Sのが、とにかく過放電は絶対に避けましょう。
2.ベルトドライブの清掃
ハブモーター仕様の電動スケボーと異なり、ベルトドライブは駆動部分に異物を巻き込むリスクがあります。
もちろん、ちょっとやそっとでは壊れないので過剰に心配する必要はありませんが、やはりベルトの劣化を防ぐという意味で、意識してチェックと掃除をしておきたいところです。
実際オフロードを走っていると、いつの間にかこんなことになっていることがあります↓
枯草を巻き込んだ状態。
もちろん推奨はされないでしょうが、こんな状態でも支障なく走破することができます。
ただし、例えば釣り糸などの紐状のものは巻き込むことがないように注意したいですね。
ウィールが大きいので、その心配はあまりないとは思いますが。
3.空気圧の管理
ENDEAVOR Sのウィールは空気圧式のラバータイヤです。
このため、自動車やバイクと同様、空気圧を適切に管理することで初めて本来の性能を発揮することができます。
ENDEAVOR Sの推奨空気圧は2BAR(25PSI)とのこと。
空気圧が下がると加速が鈍くなり、またブレーキ時にタイヤが故障する可能性もあるので、特に久しぶりに遊ぶという際は忘れずにチェックしたいですね。
バルブ形状は一般的な自動車やママチャリなどと同じ(米式)です。
PROPEL ENDEAVOR Sの購入方法
2021年末より、ENDEVOR Sは国内の代理店から購入することが可能となりました。
実はENDEVOR Sは海外から直接購入することも可能ですが、のちの安心感とサポートを考えると国内で購入するのがおすすめです。
なんて言ったって僕自身海外から購入して何度も失敗していますからね・・・笑
まず連絡がこない、そして発送が遅い。もちろん例外はあると思いますが・・・。
ちなみに海外から直接購入した場合は日本への送料を含めると実質20万円ほど(送料税込み$1,538.90、1ドル130円で計算)。
納期は航空便でも数週間かかることがあるようです。
対して国内代理店はYahoo!ショッピングでの購入が可能なので、表示価格以外に10,000~20,000円も狙えるポイントがついて、実質21万円~といったところでしょうか。
こうなってくると安心感や確実性を取って国内販売店から買った方がお得に感じられますよね。
もちろん在庫があればすぐに発送してもらえます。
販売しているショップは管理人も何度か利用したことがありますが、充電ケーブルのリコールがあった際は自発的に改善品を送ってくれたこともあるくらい、とても良心的なショップです。
性能もショップも、十分安心してトライできる1台だと思います。
まとめ│電動スケボー PROPEL ENDEAVOR Sの評価
さすがモンスターマシン、さすがベルトドライブという加速と走破性が体験できます。
めちゃくちゃ楽しい。
大きなウィールで安定感もあり、オフロードはもちろん、舗装路であれば路面の亀裂や段差などはものともしないため、存分にその加速と気持ちの良いクルージングを楽しむことができます。
加速が良いと言っても、「暴れ馬すぎて誰も乗りこなせない」なんてことはないのでご心配なく。当たり前ですが。
初心者の場合は機種を問わず姿勢や荷重のかけ方などに注意を払う必要はあると思いますが、コツを意識すればすぐに鋭い加速を楽しめるようになると思います。
心配な方、よりアクティブに乗りこなしたい方はこちらもチェック↓
ざっくり説明すれば、加速のときに後ろ足を延ばし気味にして踏ん張ることで、加速Gに耐えやすくなります。ブレーキの際はその逆。
現状、ここまでパワフルな電動スケボーは国内販売店からはなかなか買えないので、よりハイスペックなモデルが欲しいという人はぜひチェックしてみてください。
あなたもモンスターマシンを手に入れて、ワイルドな走破性と快適なクルージングを体感してみませんか?