間違ったドライビングポジションを排除すれば自然と運転しやすくなる

正しいドライビングポジション、間違ったドライビングポジション 安全運転

あなたは適切なドライビングポジションを取れていますか?

こう聞かれて即座に「問題ない」と答えられる人はどれだけいるでしょうか。

正直に言えば、管理人はあまり自信がありません。

なぜなら、正しいドライビングポジションについて意見を求めると、みんな少しずつ違うことを言うからです。

しかし良く考えてみれば、これは当たり前なのかもしれません。

耐久レースのように、ドライバー交代の度にシートの一部を交換できるのであれば話は違うかもしれませんが、市販のハンドルやシートの位置を動かすだけではドライビングポジションの調整に限界があります。

ハンドルの位置を調整できない車なんて更に顕著ですね。

となると、様々な要素がある中で何を重視するかで意見の相違が生まれるのは致し方ないのでしょう。

とはいえ、いろいろな意見があると混乱してしまうのも事実。

 

しかし、そもそもドライビングポジションとはその人が安全に、正確に、操作しやすい姿勢であればそれで十分なはずです。

私は「正しいドライビングポジション」は一つではないと思っています。

ただ、「明らかに正しくないドライビングポジション」は確かに存在しますよね。

逆に言えば、これらを避ければ自然と安全に、正確に、操作しやすい姿勢になると言えるのではないでしょうか。

そこで、今回は「正しくないドライビングポジション」に焦点を当て、最低限押さえておきたいポイントをまとめてみたいと思います。

 

絶対にNG!間違ったドライビングポジション

今回挙げる間違ったドライビングポジションは次の5つ。

  1. シートと腰の間に隙間があるのはNG!
  2. 背中がシートから浮いているのはNG!
  3. ペダルを踏み込んだ際に膝が伸びるのはNG!
  4. ハンドルを回したときにシートから肩が離れるのはNG!
  5. シートとハンドルを近づけ過ぎるのもNG!

心当たりはありませんか?

 

1.シートと腰の間に隙間があるのはNG!

シートに深く腰掛けるのはドライビングポジションの基本です。

これができていないと、せっかくシート位置などを調整しても台無しになってしまうので、まずはここを抑えておく必要があります。

そもそも深く腰掛けないのは何がいけないのでしょうか。

一番は大きな力でペダルを踏み込むことができないという点です。

シートに深く腰掛けないと、腰とシートの間に隙間ができてしまいますよね。

各種ペダルをしっかりと踏み込もうとしたとき、どうしてもその隙間のぶん力が抜けてしまいます。

キャスター付きのイスがあれば、深く腰掛けた場合と浅く腰掛けた場合でどちらが足の力で後ろに下がりやすいか確認してみてください。

 

とはいえ、いざスポーツ走行をするとなればどうしてもしっかりとペダルを踏み込む必要に迫られ、加えて緊張で構えることもあって、ほとんどの人は自然と深く腰掛けるはずです。

しかし普段からこの姿勢ができていないと、いざ深く腰掛けたときに足が届きにくかったり、ミラーが合わなかったりといった不具合に直面することになります。

公道においても、いくら安全運転に気を付けていても急ブレーキを求められる可能性はゼロではありません。

いざブレーキペダルを踏み込もうとしたとき、万が一でも体重をかけられなかったり反応が遅れたりする事態は避けたいですよね。

 

2.背中がシートから浮いているのはNG!

せっかく深く腰掛けていてもシートを寝かしすぎていると本末転倒です。

フルバケットシートなどを見てもらえばわかるように、スポーツ走行におけるシートはほとんど寝ておらず、それどころかものによっては猫背を強要するかのうような形状になっています。

一般的なシートではここまですっぽり収まるようなドライビングポジションは実現できませんが、できるだけ「身体全体をシートで固定する」ということを意識してみましょう。

 

たまに、シートから完全に背中を離して前傾姿勢になって運転している人がいます。

これは目線の高いバンに乗っている人やおばちゃんドライバーなどに多い気がしますが、恐らくその車や運転自体に慣れていないのでしょう。

マンガやドラマなどでも、運転に不慣れな人の描写はほぼこの姿勢ですね。

この姿勢を維持するにはハンドルに体重を預ける必要がありますが、その分ハンドルを操作しにくく反応も遅れるため、かなり危険なドライビングポジションであると言えます。

乗り慣れない車(特にフロントの短いバンなど)に乗った際は是非注意してください。

 

たまにシートを必要以上に傾けて半身になって運転している人がいますが、これも危険です。

いちいち交差点で身体を前に乗り出す様子もカッコ悪いですよね。

ATになって片手を使わずに済むようになった弊害と言えますが、当然とっさの操作には向かないので、絶対にやめましょう。

 

3.ペダルを踏み込んだ際に膝が伸びるのはNG!

これも当たり前のことですが、アクセルやブレーキ、クラッチといったペダルを踏み込めないようなドライビングポジションは危険です。

というか間違いなく運転しにくいですよね。

にもかかわらず、たまにものすごくシートを引いて(離して)運転している人がいますが、恐らく腰や背中がシートと密着できていないのでしょう。

先述の通り、大前提として腰と背中はシートに密着している必要があります。

そのうえで十分にペダルを踏み込めること。

踏み込めると言っても、膝がまっすぐ伸びきってしまうようではダメです。

アクセルやクラッチを一番奥まで踏み切っても膝が少し曲がり、+αで押し込む余裕があるくらいの位置が望ましいですね。

奥まで踏み込めてもつま先立ちのような感覚ではダメですよ。

あくまで余裕を持って踏み込める(押し込める)こと!

 

こうなると思っていた以上にシートが近く感じられるかもしれませんが、しっかりと深く座っていればかなり操作しやすく感じられるはずです。

このとき、シートを前後に動かすだけでなく、可能であればシートの高さも見直してみると良いかもしれません。

スポーツ走行においては視線が低い方が、重心が低い方が有利ですが、速く走るためには運転しやすいことの方がもっと重要です。

深く腰掛けた状態でペダル操作をしやすいシートの位置を見つけてみてください。

 

4.ハンドルを回したときにシートから肩が離れるのはNG!

常にシートに肩がついていれば、それだけで姿勢が安定し、小さな力で繊細な操作をすることが可能となります。

仮に右、左とカーブが続く道を走ったとしましょう。

ハンドルを操作した際に肩がシートから離れてしまう場合、右に曲がる際は左肩が、左に曲がる際は右肩が浮き、身体全体の動きが大きくなってしまいます。

こうなると大きな力が必要なだけでなく、正確な操作も難しくなります。

特にスポーツ走行においてハンドルを回すときは、同時に強い横Gがかかるのが一般的です。

こういった状況下で肩が浮いているのは致命的。

ハンドル操作ができたとしても、身体が安定しない分、今度はペダル操作がおぼつかなくなるはずです。

 

とはいえ、ここまでで適切な着座姿勢とペダルを踏み込んだときの膝の余裕が確保できていれば、恐らくハンドルが遠すぎて届かないということはあまりないでしょう。

もしハンドルが遠く感じたら、可能であればハンドルを近付け、ハンドルが前後に動かない場合はシートを起こすなどして常に肩がシートから離れないようなドライビングポジションを意識しましょう。

 

5.シートとハンドルを近づけ過ぎるのもNG!

ハンドルが離れすぎているのは先述の通り問題ですが、逆に近すぎるのも問題です。

例えばハンドルを回した際に肘と胴(腹部)が干渉してしまう場合。

頭で思い描いていた通りの操作ができず、思わぬ危険に直面する可能性があります。

特に素早い操作が求められるスポーツ走行においてはチェックしておきたいポイントです。

これを解消するには、やはりハンドルを前後に動かすかシートのリクライニングを調節するか、又はハンドルを上下に動かすだけでもある程度改善できる可能性があります。

ただし、このためにシートを離してしまうと本末転倒なので、体型と車種によってはある程度妥協する必要が出てくるかもしれませんね。

 

正しいドライビングポジションに調節するためのステップとは?

ここまでの内容をまとめると、正しいドライビングポジションを取るには次のことを意識する必要があることがわかります。

  1. シートに深く腰掛ける
  2. シートを倒し過ぎず、背中とシートを密着させる
  3. 余裕を持ってアクセルやクラッチを踏み込めるよう、シートを前後に調整する
  4. ハンドルを回した際に肩がシートから離れないよう、ハンドルの位置やリクライニングを調整する
  5. ハンドルが近すぎて腕と胴が干渉しないように微調整する

まずはきちんとした姿勢でシートに座ること。

次にペダルの位置を規準にシートの位置や高さを調整し、最後にハンドルの位置やシートの背もたれを調整して適切な操作ができることを確認しましょう。

この手順で調節すれば、プロに見てもらわなくても、ある程度は運転しやすいドライビングポジションにたどり着けるはずです。

万が一「足の操作性を取るか手の操作性を取るか」というくらいポジションが決まらなければ、履いている靴を見直してみるのもおすすめです。

 

しかし、厳密にはレーシングカーでもない限り、真に満足の出来るドライビングポジションとはならない可能性もあります。

場合によっては何かしらの妥協が必要なケースもあり得ますが、大切なのは操作ミスをするリスクをなくすこと。

ドライビングポジションは奥が深く、先述の通り同じ車でも靴が変わっただけで違和感を覚えることもありますし、最終的には走りこむことで新たに見えてくる部分もあります。

しかし、いずれにしろ本記事で描いたような誤ったドライビングポジションを取らないよう注意したいですね。

 

余談ですが、最後にシートベルトを後ろに引いて、ややキツめに固定することを心がけてみてください。

これも身体を固定するのに意外なほど効果がありますよ。

あ、ミラー類の調整も忘れずに!