みなさん「電動スケボー」に乗ったことはありますか?
リモコンで加速できる電動スケボーは、スケボー経験者でも最初はその使い勝手の違いに驚くこともあるかもしれません。
そこで、この記事では
- 「電動スケボーに興味はあるけど、スケボーに触ったことすらなくてちょっと怖い」
- 「電動スケボーを買ったは良いけど全然乗りこなせない」
といった人たちでも電動スケボーを安全かつ本気で楽しめるように、必要最低限のポイントを抑えていきます。
管理人は2018年に初の電動スケボーを購入し、2021年時点で20台近い電動スケボーを購入、30種を超える電動スケボーに乗ってきました。
数多くのモデルに乗る中で、ある程度共通する”コツ”をつかんだので、覚書も兼ねて“電動スケボーの乗り方”をまとめてみたいと思います。
特に加速時の姿勢と減速時の姿勢は電動スケボーならではのもの。
要チェックです!
電動スケボーへの乗り方と“スタンス”
まずは基本中の基本、どうやってデッキ(板)に乗ったら良いのか、どこへ足を置けば良いのか、といったところからチェックしてみましょう。
ぶっちゃけると、実際は“乗れればOK、走れればOK”なのですが、そうはいっても目安くらいは欲しいですよね(普通のスケボーに乗れるという人は読み飛ばしてもOKです)。
初めに前方にどちらの足が来るのがしっくりくるか、そこから確認しましょう。
この足の置く位置、置き方のことを“スタンス”と呼びます。
基本的には右利きの人は左足が前(レギュラースタンス)、左利きの人は右足が前(グーフィースタンス)であることが多いです。
ダメだったら後で変えてもいいので、はじめは感覚でなんとなくしっくりくる方を選んでみましょう。
次に走行中の足の位置ですが、管理人の場合は前足を前輪のビスの上にやや斜めに、後足は後輪のビスの上に、ほぼ進行方向と直角に置きます。
あくまで一例ですから、自分が走りやすい、曲がりやすいスタンスを探してみてください。
基本的にスタンスを広めに取った方がスピードが出ても安定します。
慣れてきたら走行中に足を置きかえるのだってアリです。
デッキに上がる方法は主に二つ。
1つはボードを身体の正面に横向きに置き、段差を上るように乗る方法(前後どちらの足からでもOK)。
もう一つは、ボードを身体の正面に縦向きに置き、前足だけを乗せる方法。
いずれの方法も、乗る際に斜めに体重をかけるとボードが動き出してしまうので注意が必要です。
ポイントは先に乗せた足の膝から下に“まっすぐ体重をかける”ということ。
こうすればボードが前後に働く力は生じず、安定してもう一つの足を地面から離すことができるようになります。
このときの足の位置ですが、ウィールを留めるビスの上か少し内側を踏むようにするとバランスが取りやすいです。
また、後者の乗り方は後ほど紹介する“プッシュ”と呼ばれる基本テクニックにも繋がります。
まずは自分がレギュラースタンスかグーフィースタンスかをチェックし、この2通りの方法で安定してデッキへ乗り降りできるようになりましょう。
ただ立つことすら危ういようでは走っても危険なだけですからね。
電動スケボーで「加速」する際の姿勢と乗り方
いよいよ「電動スケボーの乗り方」について解説します。
まず最初は加速時の姿勢について。
電動スケボーはその名の通り電動モーターの駆動力で進みますが、モーターの特徴の一つに“極小回転から大きなトルクを発生できる”というものがあります。
つまり、「モーターを利用するとスタートから爆発的な加速を得やすい」というわけです。
ある程度高品質な電動スケボーであれば出だしはマイルドに加速するように設定されていますが、それでも動き出しはどうしてもバランスを崩しがちです。
電車が発車するときの不安定さを想像してもらえばわかりやすいでしょうか。
これに耐えるには“適切な姿勢”を意識することが大切。
具体的には、前足の膝を軽く曲げ、膝から真下へ体重をかけます。
同時に後足は膝を少し内側に入れることで踏ん張る準備をします。
このとき、足が前を向きすぎると曲がりにくくなってしまうので気を付けてください。
イメージはこんな感じ↓(笑
後足は真っ直ぐ突っ張るように伸ばすことでも同じように踏ん張ることが可能です。
膝を真っ直ぐ伸ばしてしまうと柔軟性に欠けてしまいますが、加速Gに耐えるという感覚はつかみやすいため最初はこの方法でも良いかもしれません。
電動スケボーで「減速」する際の姿勢と乗り方
反対に減速時は減速Gに耐えられる姿勢を意識する必要があります。
具体的には、前足はまっすぐ伸ばし、後足に体重をかけた姿勢を取ります。
減速時はこの伸ばした前足で踏ん張るわけです。
重心が前寄りだと減速の瞬間前方に放り出されるリスクがあるので注意が必要です。
ものによっては急制動がかかり危険を感じることもありますので、必ず重心を後ろにずらし、前足でブレーキをかけるイメージで減速を開始するようにしてください。
電動スケボーで「曲がる」際の体重移動と乗り方
曲がる際は、“つま先側”か“かかと側”に体重をかけることでそれぞれの方向に曲がります。
どの程度曲がれるかは、主に「スケボーのサイズ」、「デッキの高さ」、「キングピンナットの締め具合」、「スピード」、「体重のかけ方」などによって異なります(これ以外にもトラックの細かなセッティングやデッキの固さ、乗り手の体型や体重なども影響)。
それぞれの要素と曲がりやすさの関係を簡単にまとめると次の通り。
スケボーのサイズ | デッキの高さ | キングナットの締め具合 | スピード | 体重のかけ方 | |
曲がりやすい | 小さい | 高い | 緩い | 遅い | 強い |
曲がりにくい | 大きい | 低い | 硬い | 速い | 弱い |
このうち、乗り手によって差が出る要素として大きいものが「体重のかけ方」、すなわち“体重移動”です。
通常は膝を柔らかく、じわっと体重をかければスムーズに曲がりますが、小回りしたい場合は若干コツが要ります。
管理人が考えるトラックの固い電動スケボーで曲がる際の体重移動のコツは次の通り。
- 前足で曲がることを意識する
- 大きく曲がりたいときは一瞬“フェイント”をかけるのも手
電動スケボーはそのスピードから直進安定性を高めるためにトラックを固くすることが多く、そういった場合もこれらのコツは活きてきます。
それぞれ詳しく解説してみます。
体重移動のコツ1.前足を意識しよう
大きく曲がろうとして体重をかけるとき、初心者が失敗しがちなのが“前足と後足両方に大きく体重をかけようとしてしまうこと”です。
もちろん、前足側も後足側も内側に切れ込んだ方が小回りできるのですが、あまり意識しすぎてしまうとバランスを崩しやすく、結果曲がれなくなってしまいます。
体重をかけるのは前足で、「前足で左右の荷重をコントロールする」といったイメージを持つと格段に操作性が向上します。
むしろ、デッキやトラックが硬く曲がりにくいボードの場合は、後足を外側に押し出すように、前足と後足でねじるような動きをイメージするとスムースに旋回できたりもします。
体重移動のコツ2.フェイントモーション
フェイントモーションとは、主に自動車において用いられるコーナリングテクニックの一つで、一度外側に荷重をかけてから内側に切り込む動作のことです。
電動スケボーにおいては曲がる前にこのフェイントモーションを入れることで、単純に体重をかけた場合より勢いをつけて内側に切り込むことが可能となります。
とはいえ、あまりにも大きくフェイントをかけると曲がるタイミングが難しくなってしまいますし、結果大回りになったり、コーナーRが小さくなって曲り切れなくなってしまうことも・・・。
「デッキにかかる体重(荷重)をほんの一瞬、ごくわずかだけ外側に置く」というイメージで左右の荷重をコントロールしてみましょう。
ポイントは「今どこに体重をかけているかを把握すること」。
一瞬左右に体重をかけてボードへの体重のかかり方を把握するという意味でも、フェイント動作は有効です。
電動スケボーを乗りこなすために意識したい“コツ”は3つ!
上記以外にも電動スケボーを上手に乗りこなすために意識したいコツが3つあります。
それがこちら↓
- 目線【重要】
- 上半身の姿勢や動き
- 発進時に“プッシュ”すること
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.最も大切なのは目線!
様々なスポーツにおいて、目線は上達するためにとても大切な要素と言えます。
これは目線を変えることで姿勢が変わったり、それによって不要な筋肉の緊張(負荷)が和らいだり手足の可動範囲が広がったりするためです。
例えば、管理人が個人的に最も視線の重要性を感じたのは、スノーボードで“バックサイド180”と呼ばれるグランドトリックの練習をしていたとき。
バックサイド180とはレギュラースタンスであれば時計回りに半回転するというトリックですが、最初は自分が思っている以上に回り過ぎてしまい困っていました。
ところが、「目線を山側(反進行方向)に残す」という、たったそれだけのことで余計な回転を抑制することができたのです。
車やバイクにおいてもコーナーの先に視線を送ると良いと言われますよね。
これは理屈で考える以上に目線によって得られる”イメージ”が効果的だから。
スケボーに乗る際も同じで、進行方向や曲がりたい方向(しかもなるべく遠く)へ目線を向けることで「どう身体を動かせば良いのか」を考えなくても、勝手にイメージをトレースするように身体が動いてくれるのです。
体重移動だけで曲がれないと感じたら一度だまされたと思って目線を意識してみてください。
自然と姿勢が改善されて乗りやすさを実感できるはずです。
2.上半身を意識せよ!
スケボーは下半身で操作しがちですが、実は上半身を意識することもとても大切。
特に猫背になるとバランスが悪くなってしまいます。
この点でも目線を意識することがとても大切で、目線を先に送る(目線を上げる)ことで自然と上体が起きて、イメージ通りの荷重移動ができるようになります。
また、手を広げて重心をコントロールすることでもバランスが取りやすくなります。
綱渡りをする人が長い棒を持っているのを見たことがある人も多いと思いますが、これは水平方向に長さがある方が中央付近の重心が安定しやすいことと、棒を持つことで重心の変化を小さくすることができるからです(棒の先端をゆっくりと上下させたとき、腕の動きは更にスローになりますね)。
同じ理屈で、手を広げると重心がブレにくくなり、重心がズレてもその補正が楽になります。
3.発進時はプッシュを使おう!
「電動スケボーならプッシュは不要なのでは?」と思われる人もいるかもしれませんね。
確かにプッシュができなくても電動スケボーを楽しむことはできますが、個人的には電動スケボーでも発進時はプッシュを使った方が良いと考えています。
その理由は2つ。
1つ目は、静止状態から発進する際は大きなトルク(ウィールの回転力)が必要なため。
この大きなトルクをモーターによって発生させると、ウィールの空転による摩耗やモーターへの過負荷に繋がる恐れがあるのです。
実際、高性能な電動スケボーでも「急坂でのゼロスタート」が禁じられているモデルは意外と多いです。
この発進時の負担を軽減させる意味でプッシュが有効、というかプッシュ以外にほぼ選択肢がありません。
2つ目は、発進をよりスムースなものとするため。
みなさん、電車の中で何にもつかまらずに立った自分を想像してみてください。
この状態で電車が動き出すとバランスを崩してしまいますよね。
これは乗っている人に“静止し続けようとする慣性”が働くためですが、電動スケボーの発進時も同様で、静止状態からモーターの力で加速しようとするとどうしてもバランスを崩しやすくなってしまうのです。
ところが、プッシュによって動き出してからモーターの出力で加速すれば、静止状態から加速し出すよりも多少は慣性の影響を軽減することが可能となるわけです。
もちろんモーターの加速が加わった瞬間に姿勢を崩す恐れもありますから、慣れないうちは前述の加速時の姿勢を意識することがとても大切と言えます。
プッシュとは、片足で地面を蹴って進むスケボーの基本テクニックです。
前足をデッキに残して後足でプッシュするのが基本ですが、後足を残して前足でプッシュする“アメリカンプッシュ”(モンゴープッシュ)と呼ばれるやり方も存在します。
電動スケボーに限って言えば、どちらか一方ができればOKです。
アメリカンプッシュはバランスを取るのがやや難しいため、まずは後足で蹴る基本のプッシュを練習してみましょう。
前足に体重をかけ、後足を前方に大きく振りかぶって蹴るのがコツです。
電動スケボーの場合はプッシュで速度を出せなくても全く問題ないので、気軽にチャレンジしてみましょう。
上達の近道!電動スケボーに乗っている様子を動画でチェック!
ある程度スピードを出して走れるようになったら、一度動画を撮影して自分の動きをチェックしてみるのも良い方法です。
恐らく、多くの人はビデオを観て「あれ?イメージと全然違うぞ?」と感じるはず。
実は自分の身体をイメージ通りに動かすということはとても難しいのです。
試しに鏡の前で目をつぶって両手を大きく水平に広げてみましょう。
目を開けたとき、両手はしっかり真横に伸びていますか?
イメージよりも少し上がっていたり、下がっていたりしませんか?
もしイメージとずれていたら、真横に伸ばした感覚をしっかりと覚えて再度挑戦してみましょう。
これを何回か繰り返せばイメージと実際の動きのズレを補正することができるはずです。
電動スケボーの操作もこれと同じで、ビデオを観ることで「イメージと実際の身体の動きを同期させる」ことができれば、そこから先は驚くほどあっという間に上達しますよ(たまに「運動神経バツグンで何をやらせても上手な人」がいますが、恐らく元々イメージ通りに身体を動かすのが得意なんだと思います)。
何のスポーツにおいてもそうですが、自分の動きを客観的に観察することはものすごく大切。
がむしゃらに練習するよりも何倍も効果があり、個人練習においては“唯一の近道”と言っても過言ではありません。
是非お試しあれ。
乗り味に大きな影響!キングピンナットの調整について
スケボーの操作性は“トラック”を調整することでも変えることができます。
特に「キングピンナット」を緩めたり締めたりすると曲がりやすさは大きく変化します。
具体的にはキングピンナットを締めると直進安定性が増す代わりに曲がりにくくなり、逆に緩めると曲がりやすくなる代わりに直進安定性がなくなります。
最適な締め具合は乗り手の体重や技量、好みによって異なりますが、速度の出やすい電動スケボーの場合はやや硬めのセッティングがマッチしやすいと言えます。
初心者も硬めの方がバランスを取りやすく、安定感、安心感を得られるはずです。
そのため、デフォルトの設定で乗りにくい場合はキングピンナットを締めたところから練習し、徐々に緩めて「このくらいならスピードを出しても怖くないな」というポイントを探してみましょう。
初心者でも乗りやすい電動スケボーは・・・?
電動スケボーはまだまだ歴史の浅いガジェットです。
2014年頃から「Boosted board」や「STARY BOARD」などの高性能電動スケボーが人気を集めはじめ、そこから3年も経つと、同等かそれ以上の性能を持つ電動スケボーをより安価に、かつ簡単に手に入れることができるようになりました。
管理人が最初に購入したのは「KOOWHEEL D3M 2G」という電動スケボー。
最大のライバルは有名な「Backfire G2」で、その後継機にあたる「Backfire G2s」も所有していました。
いずれも大手通販サイトから購入することが可能で、最高速度は時速40kmに達します。
国内サイトで簡単に入手でき、アフターサービスも日本語で対応してもらえるこれらのボードは初心者には打ってつけです。
「Backfire G2s」と「KOOWHEEL D3M 2G」との比較はこちら↓
現在は既にこれらの販売は終了しています。最新のおすすめモデルはこちら↓
実は電動スケボーの多くは「ロングスケートボードタイプ」なんですよね。
通常のスケートボードでは普通の人がどんなに頑張ってプッシュしても時速40kmなんて速度は出せませんが、電動スケートボードであれば比較的簡単に時速40kmでクルージングが可能です。
こうなったときに重要なのが、ボードの「直進安定性」。
速い速度でクルージングしたとき、“怖さ”ではなく“楽しさ”を感じるためには、この「直進安定性」は絶対に必要な要素です。
となると、一般的なデッキの短いスケートボードより、車軸間距離が大きく直進安定性に優れる「ロングスケートボード」の方が電動スケボーには適していると言えるわけです。
中でも10万円未満で購入できるミドルクラスの電動スケボーは初心者にも最適。
自分の実力に合わせてロースピードモードとハイスピードモードを選択できるモデルも多く、初心者でも安心して乗ることができます。
注意したいのは低価格帯の電動スケボー。
使い方にもよるかもしれませんが、最高速度が20km/h程度ではひと月もすれば飽きますし、バッテリーの持ちや操作性も良くありません。
まぁサイズ小さい電動スケボーだと直進安定性も走破性も悪くて「時速20kmで十分」なんて錯覚したりするのですが・・・。
特に初心者はヒヤヒヤしながら乗ることになるはず・・・。
安価でなくても、約8万円のショートデッキタイプのBackfire Miniという電動スケボーを購入したことがあります。
が、やはり乗り味はハードで、正直な話 初心者におすすめできるものではありませんでした。
まずはロングボードタイプを選ぶこと。これはマストです。
初心者は加減速がマイルドな電動スケボーを選ぶべし!
電動スケボーの中には急加速や急ブレーキになりやすいモデルや、逆にマイルドに加減速が可能なモデルが存在します。
初心者でなくとも、圧倒的に後者の方がおすすめです。
この辺りはスペックからは見えない部分なので、レビューや口コミを参考に情報収集するしかないので難しいのですが・・・。
当サイトではいろいろな電動スケボーの実走レビューを掲載していますので、是非参考にしてみてください↓
まとめ│電動スケボーを乗りこなすためには加速時と減速時の姿勢が大切!
電動スケボーに乗る上で注意すべきは加速時の姿勢と減速時の姿勢。
それ以外はほとんど通常のスケボーと同じです。
電動スケボーならではポイントをまとめると・・・
- スタンスはできるだけ幅広く
- 発進時はプッシュを使い滑らかに
- 加速時は重心を前に寄せて後足でふんばる
- 減速時は重心を後ろに寄せて前足でふんばる
- 高速クルージングを楽しむならトラックはやや硬く設定する(キングピンナットを締める)
スピードが出るため「難しそう、危険そう」と思われがちな電動スケボーですが、足を使わずに減速ができる分、むしろ簡単かつ安全な乗り物と言えるかもしれません。
ただし、読んでいただいて気づいたかもしれませんが、加減速でふんばるため、急加速・急減速を繰り返すと意外と足が疲れます。
普段運動不足の人にとっては楽しみながら運動にもなって一石二鳥かも?
是非乗りこなして気持ちの良いクルージングを楽しんでください♪