単気筒エンジンの特徴とシングルスポーツのメリット・デメリット!

カワサキ Ninja250SL 02 ジャンル

昨今の250ccクラスはスポーツモデルの人気が高く、最新モデルの発売や開発のウワサも後を絶ちません。

どうもカワサキは四気筒の250ccを開発中なんだとか・・・。

現行モデルを見ても、スポーツ要素を持つ250ccバイクは二気筒エンジンを搭載したものばかり。

こうなると「二気筒エンジンは単気筒エンジンより優れるエンジンだ」と考える人も少なくないでしょう。

実際、最高出力や最高速度という“わかりやすいスペック”は多気筒エンジンの方が優れる傾向にありますから、間違ってはいません。

が、単気筒バイクには単気筒バイクならではの良さがあるのをご存知でしょうか。

ステージ次第では「二気筒バイクに走りで勝つ」なんてことも不可能ではないかも・・・?

 

というわけで、今回は単気筒バイクのメリットデメリットと、おすすめの単気筒バイクをピックアップしてみたいと思います。

アイキャッチ画像引用元:Ninja 250SL Special SIte

 

単気筒スポーツバイクのメリット・デメリット

ホンダ CB250R 水冷4ストロークDOHC単気筒エンジン

引用元:パワーユニット | 走行性能 | CB250R | Honda

単気筒バイクと二気筒バイクにはどのような違いがあるのでしょうか。

今回は同じ「Ninja」の名を冠する二台、単気筒モデルのNinja250SL(2016年モデル)と二気筒モデルのNinja250(2019年モデル)のスペックを比較してみたいと思います。
(Ninja250SLが現役だった頃はまだ先代Ninja250が販売されていましたが、今回はあえて、更にスポーツ指向にシフトした現行Ninja250と比較してみます)

メーカー及び車名気筒数最高出力最大トルク車両重量全長×全幅×全高軸間距離シート高燃料タンク容量定地燃費値(60km/h 2名乗車時)WMTCモード値(クラス3-2 1名乗車時)エンジンオイル容量参考価格外観
Ninja250SL(2016)単気筒21kW(29PS)/9,700rpm22N・m(2.2kgf・m)/8,200rpm151kg(149kg)1,935mm×685mm×1,075mm1,330mm780mm11 L43.0km/L31.3㎞/L1.3 L523,800円~(459,00円~)Ninja250SL ABS KRT Edhition
Ninja250(2019)二気筒27kW(37PS)/12,500rpm23N・m(2.3kgf・m)/10,000rpm166kg1,990mm×710mm×1,125mm1,370mm795mm14 L37.0km/L26.2㎞/L2.0 L629,640円~Ninja250

※()内はABSなしモデルの数値

いずれもスポーツモデルですが、最高出力の差は8馬力と大きいですね。

  • Ninja250SL : 21kW(29PS)/9,700rpm
  • Ninja250   : 27kW(37PS)/12,500rpm

発生する回転数に2,800回転のずれがありますが、シンプルに考えれば二気筒のNinja250の方が限界が高いと言えそうです。

 

一方で最大トルクはほぼ同じ値を異なる回転数で発生します。

  • Ninja250SL : 22N・m(2.2kgf・m)/8,200rpm
  • Ninja250   : 23N・m(2.3kgf・m)/10,000rpm

これを見ると、単気筒のNinja250SLの方が低回転におけるトルクに優れることが容易に想像できます。

要するに、単気筒モデルは最高出力(最高速度)に劣る代わりに低回転におけるトルク(加速)に優れるということ。

具体的には、発進や上り坂に強く、かつある程度ギヤと回転数を選ばずにどこからでも力強く加速する感覚が味わえます。

その分、単気筒バイクは二気筒バイクよりも繊細なアクセルワークを要求されることがあります。

それほど大げさなものではありませんが、乱暴にアクセルをひねるとグイッと押し出されるような加速をするんですよね。

このじゃじゃ馬っぷりと街乗りでもおいしいところを使い切れる味付けが、単気筒バイクが日常使いでも飽きにくい最大の理由でもあります。

 

また、飽きにくさに貢献するもう一つの要素が、単気筒ならではの“鼓動感”

これはSR400などのビッグシングルなどを語るうえでも欠かせない要素ですが、250ccでも単気筒と二気筒ではやはり振動に差があります。

これを鼓動感と捉えるかノイズと捉えるかは人によって異なるでしょうが、少なくとも管理人が乗ったことがある範囲では、250cc以下の単気筒で振動が辛すぎて乗れないと感じたバイクはありません。

むしろ、どちらかといえば単気筒独特のトコトコ走る感覚や、いざアクセルをひねったときのダイレクト感、レスポンスの良さは好み。

ただ、最高速度が伸び悩む特性も相まって、頻繁に高速道路を走るような用途にはあまり向いていませんね。

 

更に注目したいのが車重の差。

同じABS搭載モデルで比較したとき、単気筒のNinja250SLは最新モデルのNinja250より15kgも軽量です。

わずか15kgと感じるかもしれませんが、車重の1割強にも相当する数値ですから、実はかなり大きな差と言えます。

軽量であることの恩恵は数多く、例えば次のような効果が期待できます。

  • 加速力の向上
  • 制動距離の短縮
  • コーナリング速度の向上
  • 車体コントロール性の向上
  • 足つき時、降車時の取り回しの改善
  • 燃費の改善

 

先の低回転時の力強さも相まって、最高速を必要としない低中速コーナー中心のミニサーキットや峠道などであれば、二気筒エンジンと十分に勝負できる可能性があると言えます。

特に今回比較に用いたNinja250SLは、発売当時はそのスパルタンな性格が評価され、管理人の周りにはサーキット走行用に購入した人もいるほど。

 

二気筒モデルと比べて圧倒的な低価格が実現されているところも、単気筒モデルならではのメリットですね。

初期投資が少なくて済むのはもちろん大きいのですが、単気筒モデルの場合はランニングコストの低さも注目に値します。

まず、多気筒モデルと比べて圧倒的な燃費の良さを誇ります(後述のWR250Xのように一部例外は存在します)

加えて、構造がシンプルな単気筒エンジンは二気筒エンジンと比べてメンテナンス性が良いという点も、長い目で見るとランニングコストに大きく影響してきます。

また、気筒数が一つしかないので当然プラグも1本で済みますし、エンジンオイルの容量も少ないという特徴を持ちます。

 

また、エンジンが小さい分車体もコンパクトであることが多く、足つきが良かったり、車重の軽さと相まって性別、体型を問わず安心して取り回すことが可能です。

 

単気筒バイクのメリット・デメリットまとめ

まとめるとこんな感じ↓

  • 低回転でのトルクに優れる
  • 鼓動感があって飽きにくい
  • 街中でもキビキビとした走りが楽しめる
  • 軽量コンパクトで取り回しに優れる
  • 車両価格が安い傾向にある
  • 燃費等、ランニングコストに優れる
  • メンテナンス性に優れる

 

  • 最高出力、最高速度は多気筒に及ばない
  • 多気筒と比べると振動が強い
  • エンジン音が大きい

 

ただし、例えば先に挙げたシングルスポーツのNinja250SLと、同じく単気筒のエストレヤであれば、その性格が大きく異なることは誰が見ても明らかですよね。

そのため、これらはあくまでバイクを見る際の「一つの目安」として考えてください。

実は今の市販車においては、多気筒だから発進加速が悪くて街乗りが苦手だとか、単気筒だから長距離走行がしんどいだとか、そういったデメリットはほとんど感じられません。

同排気量で比較すれば差が感じられるのは確かですが、街乗りでひどく苦労するようなデメリットはないと考えて良いと思います。

要するに何が言いたいかというと、「デメリットを避けるよりも、それぞれのメリットや個性をチェックして、自分が求める要素を持つバイクを選ぶと良いよ」ってこと。

 

おすすめ250㏄シングルスポーツ!単気筒バイク3選+α!

では、単気筒バイクでスポーツ走行をするなら具体的にどのバイクを選べば良いのでしょうか。

ここから先は管理人の独断と偏見を基に、二気筒と単気筒が混在する250ccクラスの中からおすすめのシングルスポーツをご紹介します。

 

1.フルカウル&セパハン「カワサキ Ninja250SL」

カワサキ Ninja250SL

引用元:Ninja 250SL・Ninja 250SL ABS KRT Edition | 株式会社カワサキモータースジャパン

先の比較にも挙げたNinja250SL。

発売当時は「フルカウルなのに安い」という点が注目されがちでしたが、実は見た目通りの超本格派シングルスポーツバイクです。

スポーツ性能とコスパを高い次元で両立しており、エッジの効いた見た目とセパハンもその気にさせてくれます。

 

単気筒ゆえの軽量&スリムなボディに加え、軸間距離1,330mmはトリッカーと同じ数値。

高速域を捨てる代わりに低速域の加速と高い旋回性に加え、日常の扱いやすさにも特化した1台・・・と言ったら言い過ぎかもしれませんが、二気筒バイクが最高速に到達できないようなミニサーキットであれば、Ninja250SLの方が良いタイムを刻む可能性は十二分にあります。

街中でもキビキビした走りが楽しめるので、サーキット派じゃない人にもおすすめ。

単気筒ゆえに初期投資もランニングコストも少なくて済みますし、それでいてスパルタンな走りが楽しめるわけで、こんなにお買い得なスポーツバイクって実はなかなかないと思います。

 

2.ネオレトロカフェ「ホンダ CB250R」

ホンダ CB250R

引用元:デザイン | CB250R | Honda

Ninja250SLも良いのですが、現行の250ccシングルスポーツといえばこれ。

ホンダのCB250R。

実はCB250Rは弟分のCB125Rよりもわずかにコンパクトな車体を持ち、車重はABSモデルでも144kgと超軽量。

エンジンスペックも単気筒にしてはかなりスポーティーです↓

最高出力

  • Ninja250SL 21kW(29PS)/9,700rpm
  • CB250R    20kW(27PS)/9,000rpm

最大トルク

  • Ninja250SL 22N・m(2.2kgf・m)/8,200rpm
  • CB250R    23N・m(2.3kgf・m)/8,000rpm

 

よくCB250Rは街乗り用バイクと評されることがありますが、実際はとんでもないオールラウンダー。

CB400SFやVTR250の流れを汲む新時代のスタンダードって感じです。

当然純粋な速さを求めるのであれば、CBR250RR等の最新の二気筒スポーツを選んだ方が無難ではあります。

が、単気筒かつネイキッドのCB250Rはもっともっと気軽に乗れるバイク。

その軽量さと低速トルクによってお手軽にクイックな走りを楽しむことが可能です。

気を張らずにスポーツ走行が楽しめ、かつ街中でもキビキビ走れて楽しい。

見た目もおしゃれで万人受けするタイプですし、フルカウルに抵抗がある人にもおすすめしやすい1台ですね。

 

3.最強のシングルスポーツ「ヤマハ WR250X」

ヤマハ WR250X

引用元:バイク・スクーター | ヤマハ発動機

WR250Xはオフロードマシン「WR250R」をベースとするモタードバイクですが、その性能はそんじょそこらの二気筒スポーツバイクを凌駕します。

それもそのはず、ベースのWR250Rのコンセプトは「オフロード版YZF-R1」。

250ccでありながらヤマハのフラッグシップモデルYZF-R1と同列に語られているわけです。

WR250Xのエンジンスペックは次の通り。

  • 最高出力  23kW(31PS)/10,000rpm
  • 最大トルク 24N・m(2.4kgf・m)/8,000rpm

単気筒にもかかわらず最高出力を発生する回転数が10,000rpmという超高回転っぷり。

11.8:1という高圧縮エンジンのためハイオク指定という特徴も持ちます。

車重は134kgと先の2台より更に軽量ですが、870mmものシート高があるため、更に数値以上の軽快さを体感できます。

倒しやすく良く曲がるので、タイトなコーナーが続くような峠道ではフルカウルスポーツをリードした走りも可能です。

何よりアップライトなポジションなので、肩ひじ張らずにスポーツ走行が楽しめるのもメリット。

 

他にもアルミフレームの採用や高性能なφ46倒立フロントフォーク、軽量アルミスイングアームなどなど、細部までプレミアム感あふれるこだわりが感じられます。

もはや管理人がとやかく言うまでもなくすごいバイクなのですが、その分お値段もお高め。

もともとメーカー希望小売価格が753,840円 [消費税8%含む](本体価格 698,000円)と高額なのですが、生産終了後は中古車価格が高騰しており、ファイナルエディションや低走行車は総額100万円を超えることも・・・。

これだけでも人気の髙さが伺えますね。

 

おまけ1.軽快さ重視「ヤマハ トリッカー」

ヤマハ トリッカー

引用元:フォトライブラリー:トリッカー – バイク・スクーター | ヤマハ発動機

「シングルスポーツ」と言うとちょっと違いますが、単気筒ゆえの「軽快さ」を第一に求めるなら、避けて通れないのがヤマハのトリッカーです。

車重はわずか127kgと超々軽量で、取り回しも楽々。

それでいて250ccという排気量は伊達じゃなく、当然走りの快適さは原付などとは比べ物になりません。

取り回しの良さと太い低速トルクのおかげで、ストップアンドゴーの多い街中でも軽快かつダイレクト感あふれる走りを楽しむことができます。

軸間距離1,330mmも250ccクラスとしてはかなり短い方で、これはオフロードにおける扱いやすさにも直結します。

とはいえ、トリッカーを買ったからといってオフロードを走らないともったいない、なんてことはありません。

個人的にはそれこそ自転車感覚で気軽に乗るのに最適な1台だと思いますし。

もちろん、軽いこと、足つきが良いこと、低速トルクがあることから、オンオフ問わず扱いやすさに優れ、日常的に乗るだけでバイクの扱いが上達するんじゃないかと思えるほど。

なんといえば良いのか、バイクの動きを体感しやすいんですよね。

「いずれオフロードにもチャレンジをしてみたいけど当面は街乗りメインになりそう」という人にもおすすめできる1台です。

 

おまけ2.スタートダッシュを極めろ!「ビッグスクーター」

ヤマハ XMAX

引用元:フォトライブラリー:XMAX – バイク・スクーター | ヤマハ発動機

スクーターって意外とスポーティーな走りができるのをご存知ですか?

もちろんサーキットや峠のようなタイトなコーナーが続くようなステージは苦手ですが、ストップアンドゴーの多い街中では無類のスタートダッシュと軽快さを発揮します。

 

そもそも、もともと発進加速に優れる単気筒エンジンはCVT(無段変速機)との相性が良いんですよね。

まず、CVTによって常に効率よく最大トルクを出せることが最も大きなメリット。

車重のあるビッグスクーターが同排気量のMTバイクを寄せ付けないロケットスタートを決められるのはこのためです。

しかも無段変速のおかげで必要以上に高回転になることがないため、よほど低年式でない限り振動もほとんど気になりません。

乗り味にMTバイクほどのダイレクト感はなく、その名の通りボディが大きいため、単気筒の持ち味の一つでもある「軽さ」もありませんが、街中でその運動性能に不満を覚えることはなかなかないはず。

まさに用途と単気筒エンジンがマッチした最高の例だと思います。

 

250ccにおけるスクーターは現在ホンダのフォルツァとヤマハのXMAXの2台のみ。

いずれも前世代のビッグスクーターよりもスポーティーな味付けが特徴的です。

150cc付近まで視野を広げれば良質なスクーターが豊富にラインナップされているので、街中を快適に走ることを第一とする場合は一度スクーターも検討してみることを強くおすすめします。

 

まとめ│シングルスポーツはスペック以上に軽快かつパワフル!

単気筒のバイクはスペックを見比べるとどうしても二気筒バイクに見劣りしてしまいますが、実際に乗ってみると思っていた以上にパワフルな印象を持つ人も多いと思います。

それもそのはず、実際に低回転域では単気筒エンジンの方がパワフルですし、それでいて軽量なので、街中やタイトなワインディングをきびきびと走るのが得意なんです。

特にフルカウル&セパハンの本格派「Ninja250SL」と、おしゃれさの中にも隠れたスポーツ性を持つ「CB250R」、この2台であれば間違いなく単気筒スポーツを満喫することができますし、それでいてコスパもバツグン。

WR250Xも間違いなく名機ですが、お値段はお高めですね。

 

何度も言いますが、二気筒バイクには二気筒バイクの、単気筒バイクには単気筒バイクの良さがあります。

それぞれ得意なステージが違うだけ。

それは「スポーツバイク」という枠組みの中でも言えることです。

 

何より単気筒バイクはコスパが良いので、気に入ったバイクがあればラッキー!

お気に入りのシングルスポーツをゲットして軽快かつパワフルな走りを堪能しちゃいましょう♪