最新ビッグスクーターの特徴と現行新型モデルの比較!(126~250cc)

ホンダ フォルツァ 02 タイプ別バイク比較

2018年7月には250ccビッグスクーター「ホンダ フォルツァ」が約11ヶ月ぶりに復活しました。

「今さらビッグスクーターなんて」と思う人も多いかもしれませんが、実は現行のビッグスクーターに目を向けるとブームの頃と比べてかなり進化、洗練されていることがわかるんですよね。

どのように進化しているのか、今回は現行のビッグスクーター各車についてまとめ、その特徴を比較してみたいと思います。

アイキャッチ画像引用元:デザイン│FORZA│Honda

 

前半は現在のビッグスクーターの特徴についてまとめていますので、「最新型ビッグスクーターの比較」から見たい人は↓をクリックするか、目次からジャンプしてください。

2019年現在のビッグスクーターの特徴

ビッグスクーターは次のような特徴を持ちます。

  • 余裕のあるポジション
  • 大きくゆったりと座れるシート
  • タンデムが得意
  • 膨大な積載能力
  • 街乗りに特化した最適の性能
  • AT限定免許で乗れる

何と言ってもスクータータイプなので楽に乗れるのが最大の魅力。

“無段変速機”による無駄のない鋭い加速が持ち味で、クラッチ操作も不要なため、渋滞に巻き込まれてもストレスなく走ることが可能です。

シートはゆったりとしていて座り心地がよく、荷物もたくさん積めるうえ、カウルによって風防性も高いため、実は遠出にも向いています。

乗り味は、どちらかと言えば車体を傾けて曲がるというよりはハンドルを切って曲がるという感覚に近く、鋭いコーナリングは苦手です。

現行のビッグスクーターはこの辺りが見直されてはいますが、「純粋な運動性能はMTバイクに及ばない」と割り切った考え方をした方が幸せになれますね。

街乗りに必要十分な運動性能と多くの付加価値を持つビッグスクーターは、優雅に、それでいて時にキビキビと、常に快適に乗りこなすのに適した選択肢と言えます。

 

’00年代、「ヤマハ マジェスティ」のヒットを皮切りに「ビッグスクーター」は一大ブームを巻き起こしました。

ところが2017年9月の生産終了ラッシュを受けて生き残ったのは、250ccの「ヤマハ XMAX」と150cc前後の数台のみ。

そのため今後は150㏄前後や125㏄クラスに主戦場を移すと思った人も多かったのではないでしょうか。

ところが、先述の通りホンダより250㏄の「フォルツァ」が復活することになりました。

フォルツァと言えば「ヤマハ マジェスティ」や「スズキ スカイウェイブ」などとともにかつての大ブームをけん引した一台。

特に早くから“モード選択機能”を取り入れるなど、「付加価値が多く運動性能にも優れるビッグスクーター」という印象が強いモデルでした。

そして先に触れたもう一台の現役、「ヤマハ XMAX」。

こちらは運動性能が高そうな洗練された外観を持ち、まさに新時代のビッグスクーターと呼ぶにふさわしいスタイルです。

わずか2車種とはいえ、250㏄ビッグスクーターを“選択”できるというのはうれしいですね。

 

加えて今回は150cc前後のコンパクトなモデルたちにも注目。

コンパクトなだけに“ビッグスクーター”と呼ぶかどうかは意見の分かれるところかもしれませんが、そのスタイルや特徴は250㏄ビッグスクーターと比べても遜色ありません(少なくともヤマハは公式でビッグスクーターと呼んでいるようです)。

何より価格が250㏄モデルのおよそ6割未満と、かなりお手軽に乗ることができるのも魅力的ですね。

 

コンパクトなビッグスクーター?150㏄クラスと125㏄クラスの違い

後述する「ホンダ PCX150」や「ヤマハ NMAX155」は、125㏄に兄弟車を持ちます。

いずれも車体は共通で、異なるのはエンジン(排気量)と多少変速比が異なるくらい。

しかも排気量の差はわずかで、PCXで25㏄、NMAXで30㏄だけ・・・。

 

なぜこのようにラインナップが細分化されているかというと、国内外の免許事情が関係しています。

国内に限って言えば、125㏄は小型限定免許で乗れますが、126㏄以上のバイクに乗るには普通自動二輪免許(いわゆる中免)が必要です。

免許以外にも税金の大小やファミリーバイク特約の使用能否などの相違がありますが、最も大きな違いと言えば“自動車専用道路を走れるかどうか”

小型限定免許で乗れる、いわゆる原付2種と呼ばれるバイクは自動車専用道路を走ることが禁じられています。

また、駐車スペースの問題も大きいかもしれませんね。

一般的な駐輪場は原付1種(~50㏄)までしか停められませんが、場所によっては原付2種(~125cc)まで許可されているところがあります。

ところが150㏄になると同じ大きさのバイクでも停めることができないわけです。

このため、125㏄にするか、150㏄(155cc)にするかは、自信のライフスタイルに合わせた選択するべきと言えます。

 

こういった兼ね合いもあり、150㏄前後のビッグスクーターを検討するにあたっては、250㏄と比べるより125ccと比べる人の方が多いかもしれませんね。

125ccバイク一覧!国内メーカーの最新モデルをタイプ別にまとめ!2020年最新版
バイクの購入を検討するうえで切っても切り離せないのが排気量による違い。 当然大排気量車の方が余裕のある走りが楽しめますが、排気量が大きくなるにつれて日常の使い勝手は悪くなりがち。 250ccを超えると車検も必要です。 しかし、逆に50ccの...

 

なお、150㏄(普通自動二輪)は白いナンバー、125㏄(原付2種)ピンク色のナンバーを取り付けて走ることになります。

 

現行ビッグスクーターのトレンド【2019】

現行のビッグスクーターからは次のようなトレンドが見て取れます。

  • シートが高い
  • スマートキー搭載
  • メーターの多機能化
  • エッジの効いたシャープなデザイン
  • 150㏄前後のラインナップが豊富(前項参照)

 

まず、一世代前のビッグスクーターと比べると圧倒的にシートが高いです。

ヤマハの車種で比較すると、現行の「XMAX」と生産終了した「マジェスティ」のシート高の差はなんと95mm!

「XMAX」の方が約10cmも高いのです。

これによって重心が高くなり、「走行時の操作性が向上してよりキビキビ走れる」ということが第一のトレンドと言えるでしょう。

 

次にスマートキー。

これによってカギをポケットから出す必要がなく、より気軽に乗ることができます。

自動車ではすでに一般的ですが、バイクにおいてはまだまだセールスポイントの一つ。

ビッグスクーターはこういった利便性にもかなり力を入れられていますね。

 

近年はメーターの多機能化も目立ちます。

もともとビッグスクーターのメーターは同クラスのMTバイクと比べれば多機能でしたが、今や外気温、電圧、燃費に関する表示など、どんどん表示できる情報が増えているのが特徴的です。

特に250㏄ビッグスクーターのメーターはスポーツバイクと比べても遜色がないほどスポーティーな印象を受けます。

 

最後に外観的なトレンドですが、全体的に高さ方向に大きくなり、シャープでスタイリッシュな印象を受けます。

かつてのビッグスクーターのようなロー&ロングといったスタイルではないんですよね。

“スポーツスクーター”として人気のある「TMAX」が古くからこういったスタイルでしたが、ということは「よりスポーティーなモデルがトレンド」と言い換えることもできそうです。

 

ビッグスクーターでツーリングはできる?

ビッグスクーターを検討するときにネックとなりやすいのが、“運動性能”や“運転の楽しさ”という面で満足できないのではないかという懸念。

特に「ビッグスクーターでツーリングを楽しめるか」という疑問を持つ人は多いかもしれません。

 

結論から言えば、ビッグスクーターでもツーリングを楽しむことは十分に可能です。

管理人は10年間「ヤマハ MAXAM」を所有していましたが、ハッキリ言えば純粋な運動性能や単純に走る楽しさはMTバイクの方が上です。

ですが、スクーターにはスクーターの良さがあります。

例えば発進加速では同クラスのMTバイクには負けませんし、タンデムした際の運動性能の低下が少ないこともシーンによっては大きなメリットです。

いくら坂道やワインディングが苦手とはいえ、周りが法定速度を守る限りは(或いは多少オーバーしたとしても)全く問題ありません。

もちろん周りのMTバイクよりは多少頑張る必要はあるかもしれませんが、実はそこが面白いところ。

ライン取りクリッピングポイントを意識したり、ブレーキを残した走法やスロットルを開けるタイミングを研究したり、管理人はマグザムで走るワインディングが大好きでした。

マグザムはビッグスクーターの中でも1,2を争うくらい“倒せない”モデルでしたから、現行ビッグスクーターであればもっと良い走りが楽しめるのは間違いありません。

何より豊富なラゲッジスペースは雨具やお土産を積むのにも最適ですし、ゆったりとしたシートのお蔭で長時間走ってもお尻が痛くなりにくい点も、ツーリングに向いている要素と言えます。

 

最新型ビッグスクーターの比較【126~250㏄】

さて、まずは簡単にスペックから比較してみましょう。

通常なら「250㏄ビッグスクーター」として比較したいところですが、先述の通り250㏄の現行ビッグスクーターはわずか2車種しかないため、126㏄以上250㏄以下まで範囲を拡大して一覧にしてみました。

外観ホンダ フォルツァヤマハヤマハ XMAX XMAXスズキ バーグマン200ホンダ PCX1ホンダ PCX15050ホンダ ADV150(2020)マットメテオライトブラウンメタリック 120ヤマハ NMAX155ヤマハ マジェスティSヤマハ トリシティ155 2019 10ホンダ フォルツァSi(2017生産終了)ヤマハ マジェスティ(2017生産終了)ヤマハ マグザム
メーカー及び車名ホンダ フォルツァヤマハ XMAXスズキ バーグマン200ホンダ PCX150ホンダ ADV150ヤマハ NMAX155ヤマハ マジェスティSヤマハ トリシティ155ホンダ フォルツァSi(2017生産終了)ヤマハ マジェスティ(2017生産終了)ヤマハ マグザム(2017生産終了)
気筒数単気筒単気筒単気筒単気筒単気筒単気筒単気筒単気筒単気筒単気筒単気筒
最高出力17[23]/7,500
(kW[PS]/rpm)
17[23]/7,000
kW[PS]/rpm)
13[18]/8,000
(kW[PS]/rpm)
11[15]/8,500
(kW[PS]/rpm)
11[15]/8,500
(kW[PS]/rpm)
11[15]/8,000
(kW[PS]/rpm)
11[15]/7,500
(kW[PS]/rpm)
11[15]/7,500
(kW[PS]/rpm)
17[23]/7,500
(kW[PS]/rpm)
14[19]/6,500
(kW[PS]/rpm)
15[20]/7,500
(kW[PS]/rpm)
最大トルク24[2.4]/6,250
(N・m[kgf・m]/rpm)
24[2.4]/5,500
(N・m[kgf・m]/rpm)
16[1.6]/6,000
(N・m[kgf・m]/rpm)
14[1.4]/6,500
(N・m[kgf・m]/rpm)
14[1.4]/6,500
(N・m[kgf・m]/rpm)
14[1.4]/6,000
(N・m[kgf・m]/rpm)
14[1.4]/6,000
(N・m[kgf・m]/rpm)
14[1.4]/6,000
(N・m[kgf・m]/rpm)
23[2.3]/6,000
(N・m[kgf・m]/rpm)
22[2.2]/5,000
(N・m[kgf・m]/rpm)
22[2.2]/5,500
(N・m[kgf・m]/rpm)
車両重量有184(kg)有179(kg)無163(kg)有131,無131(kg)有134(kg)有128(kg)無145(kg)有165(kg)有194,無192(kg)無188(kg)無201(kg)
全長×全幅×全高2,140×750×1,355
(mm)
2,185×775×1,415
(mm)
2,055×740×1,355
(mm)
1,925×745×1,105
(mm)
1,960×760×1,150
(mm)
1,955×740×1,115
(mm)
2,030×715×1,115
(mm)
1,980×750×1,210
(mm)
2,165×755×1,185
(mm)
2,175×770×1,185
(mm)
2,365×820×1,060
(mm)
軸間距離1,510(mm)1,540(mm)1,465(mm)1,315(mm)1,3215(mm)1,350(mm)1,405(mm)1,350(mm)1,545(mm)1,550(mm)1,615(mm)
シート高780(mm)795(mm)735(mm)764(mm)795(mm)765(mm)795(mm)765(mm)715(mm)700(mm)655(mm)
定地燃費値(60km/h 2名乗車時)41.0(km/L)40.7(km/L)36.0(km/L)52.9(km/L)54.5(km/L)49.9(km/L)40.0(km/L)41.7(km/L)41.0(km/L)38.0(km/L)37.0(km/L)
燃料タンク容量11(L)13(L)10(L)8.0(L)8.0(L)6.6(L)7.4(L)7.2(L)11(L)12(L)14(L)
メーカー希望小売価格
 
658,900~(円)
 
654,500~(円)
 
533,500~(円)
 
有402,600~(円)
無380,600~(円)
451,000~(円)385,000~(円)
 
379,500~(円)
 
484,000~(円)有605,880~(円)
無555,120~(円)
722,520~(円)
 
702,000~(円)
 

(※比較のため一部生産終了モデルの情報も残してあります)

やはりかつてと比べるとラインナップが少なく、寂しく感じますね。

ですが現行のビッグスクーターはどれも優秀な車種ばかり。

数字だけを見ても、現行250㏄の2台は少し前のモデルと比べてスペックが向上していることがわかります。

ではそれぞれの特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。

 

【250cc】ホンダ フォルツァ

ホンダ フォルツァ 01

引用元:デザイン│FORZAさ│Honda

冒頭にお伝えしたとおり、2018年には「ホンダ フォルツァ」が復活しました。

思い返せば、かつて管理人がマグザムを買った頃(2006年)にはすでに、フォルツァは「走りの面で最もバランスの取れたビッグスクーター」としてその地位を確立していたように思います。

新型は従来モデル(フォルツァSi ABS)と比べて10kgも軽量化しており、その走りは一層ブラッシュアップ!

加えてホイールベースが短くなったことと座面が高くなったことで、操作性、旋回性が更に向上していると思われます。

 

フォルツァと言えば先進的な装備が充実している点も魅力の一つ。

今回新たに搭載された“Honda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)”は、「後輪のスリップを検知した際に燃料噴射量を制御し、エンジントルクを最適化することで後輪の駆動力を抑制して状況に応じた走行を可能にする」という代物。

少し難しいですが、要するに「後輪が滑ったらトルクを最適化して走行を安定させる」ということですね。

スクーターはいずれも鋭い発進加速が得られるのが特徴の一つですが、この“HSTC”のおかげで路面状況が悪くてもその性能を無駄なく発揮できそうです。

 

また個人的に注目したのは、フロントスクリーンを無段階で調整することが可能な“電動式可動スクリーン”の採用!

ホンダ フォルツァ 電動式可動スクリーン

引用元:走行性能│FORZA│Honda

フロントスクリーンって大型のものは街中ではほとんど不要ですし、外観のバランスも好みが分かれるところですよね。

ところが、いざ高速走行をするとなれば、やはり大型スクリーンがあるのとないのとでは感じ方や疲労が大きく異なります。

見た目を取るか、快適さを取るか・・・。

こんな悩みが不要になるわけです!

何より、可変とか可動って男(の子)心をくすぐりますよね(笑

“電動式可動スクリーン”はこれまで「ヤマハ FJR1300AS/A」や「スズキ スカイウェイブ650LX」などの一部の大型車種にも採用されてきましたが、可動範囲はそれぞれ130mmと95mm。

新型フォルツァは可動範囲140mmと、これらを上回っています。

 

外観はこれまでと比べるとだいぶエッジの効いたデザインになった感じ。

ライトの形状も“カッコ良さ”を前面に出しているような。

ホンダ フォルツァ 03

引用元:デザイン│FORZA│Honda

 

メーターはデジタル+アナログの複合メーター。

ホンダ フォルツァ メーター

引用元:主要装備│FORZA│Honda

そんじょそこらの250㏄ロードスポーツよりスポーティーな印象を受けますね。

どうやら電圧計、外気温計、平均燃費や瞬間燃費、航続可能距離、イグニッションONからの経過時間まで表示できるようです。

 

【250cc】ヤマハ XMAX

ヤマハ XMAX 01

引用元:XMAX – バイク・スクーター│ヤマハ発動機株式会社

もう一台の250㏄、「ヤマハ XMAX」。

個人的に特筆したいのはそのスタイリングです。

“X”をモチーフとした造形がフロント、リアともに取り入れられており、エッジの効いたシャープなデザインがめちゃくちゃかっこいい!

ヤマハ XMAX 02

引用元:特徴紹介:XMAX – バイク・スクーター│ヤマハ発動機株式会社

「XMAX」はスポーツスクーターの代名詞、“TMAX”の血筋を受け継いだ250㏄ビッグスクーターで、これまでの欧州での販売実績を引っ提げて、日本市場向けに新規設計、投入されたモデルです。

その見た目は現行の「TMAX 530」より更にエッジが効いていて、よりスポーティーな印象を受ける人も多いのではないでしょうか。

 

XMAXのメーターもデジタル+アナログの複合メーター。

ヤマハ XMAX メーター

引用元:特徴紹介:XMAX – バイク・スクーター│ヤマハ発動機株式会社

「フォルツァ」のメーターと比べるとややシンプルな印象を受けるかもしれませんが、燃料メーター、冷却水温、オド・トリップメーター、平均燃費、 瞬間燃費、バッテリー電圧、平均スピード、外気温、時計、Vベルトトリップ、オイルトリップ、タイムトリップと、実に多様な情報を表示させることが可能です(表示は右ハンドルスイッチで切り替え)。

 

XMAXもウインドシールドの高さを変えることができますが、こちらは手動。

スクリーンステーの取り付けボルトの位置を変更することで約50mm位置をずらすことができます。

加えてハンドルポジションの変更も可能で、ハンドルホルダーと取り付けボルトの位置を変更することで、後方に約20mm移動することができます。

 

もちろん、見た目に負けないくらい走りも進化しています。

「マジェスティ」と比べて9kgも軽く、新型フォルツァと比べても5kg軽量です。

ピークの回転数はやや上がったものの、最高出力も最大トルクも向上。

シート高は795mmと、「マジェスティ」と比べて95mm(約10cm!)も高くなっており、身長が低い人は足つきが不安になるかもしれませんが、重心が高い分走行時の操作性が向上していて、よりアグレッシブな走りが可能に。

先にも触れましたが、この高い座面は現行ビッグスクーターのトレンドと言えます。

 

XMAXにもフォルツァに搭載された「HSTC」と同様、「発進や加速時に後輪のスピン傾向を検知すると点火時期、燃料噴射量、スロットルバルブ開度を統合制御して滑らかな発進性・走行性を支援」する“トラクションコントロールシステム(TCS)”が搭載されています。

 

シート下ラゲッジスペースの容量は約60Lから約45Lへと減少してしまいましたが、それでもヘルメット2個、もしくはヘルメット1個+A4サイズのビジネス鞄が入るだけのスペースがあります。

155㏄の「NMAX155」などと比べればかなりの大容量ですし、多くの人にとっては十分なレベルでしょう(当たり前ですがマグザムと比べればかなり使い勝手が良さそう)。

 

攻撃的なルックスと性能、必要十分な利便性を兼ね備えたXMAXは、スクーターでありながら街乗りから遠出まで“楽しく乗れる”良い相棒になりそうですね。

 

【200cc】スズキ バーグマン

スズキ バーグマン200 03

引用元:バーグマン200│スズキ バイク

唯一“200㏄”というちょっと特殊な排気量でラインナップされているのが「スズキ バーグマン」。

動力性能はもちろん、ボディサイズから価格まで150㏄と250㏄の中間といった感じです。

見た目からは一世代前といった印象を受ける人もいるかもしれませんが、その分150㏄を含めた現行ビッグスクーターの中では最もシートが低く、背が低い人でも安心して乗ることができます。

 

250㏄との違い、150㏄との違いをどう捉えるかによって、バーグマンの評価は大きく変わるかもしれません。

250㏄と比べると車重が小さくホイールベースが短いため、街乗りでより軽快に走れるであろう点は大きなメリットと言えます。

価格が10万円以上安いのも大きな魅力ですね。

一方、150㏄と比べるとやはりやや高額に感じますが、高速道路等を安心して走れるだけの動力性能を得られる点は比較するに十分な材料となります。

発生回転数は高いものの、最高出力はかつての「マジェスティ」と大差ないんですよね。

そのため、普段から速度域の高い道路を走る、よくタンデム走行をするという人にとっては、150㏄より良い選択肢になるはずです。

 

【150cc】ホンダ PCX150

ホンダ PCX150 01

引用元:デザイン│PCX│Honda

「ホンダ PCX150」と言えば、125㏄クラスで絶大な人気を誇る「PCX」及び「PCX HYBRID」の兄弟モデルです。

3台を比較するとこんな感じ↓

外観ホンダ PCX150ホンダ PCX(2018)ホンダ PCX HYBRID(2018)
メーカー及び車名ホンダ PCX150ホンダ PCXホンダ PCX HYBRID
排気量149(cc)124(cc)124(cc)
最高出力11[15]/8,500
(kW[PS]/rpm)
9.0[12]/8,500
(kW[PS]/rpm)
9.0[12]/8,500
+1.4[1.9]/3,000
(kW[PS]/rpm)
最大トルク14[1.4]/6,500
12[1.2]/5,000
(N・m[kgf・m]/rpm)
12[1.2]/5,000
+4.3[0.44]/3,000
(N・m[kgf・m]/rpm)
車両重量131(kg)130(kg)135(kg)
全長×全幅×全高1,925×745×1,1051,925×745×1,105
(mm)
1,925×745×1,105
(mm)
ホイールベース1,315
(mm)
1,315
(mm)
1,315
(mm)
シート高764
(mm)
764
(mm)
764
(mm)
定地燃費値(60km/h 2名乗車時)52.9(km/L)54.6(km/L)55.0(km/L)
燃料タンク容量8.0(L)8.0(L)8.0(L)
メーカー希望小売価格
 
380,600
【ABS:402,600】(~円)
348,700(~円)440,000(~円)

先述の通り、125㏄の「PCX」と150㏄の「PCX150」は共通の車体を持ちます。

PCXは125㏄が342,360円、150㏄のABSなしが373,680円、ABSあり395,280円と、価格自体はそれほど大きな差がありませんが、納車費用(整備費や登録料)で更に差が付く可能性もあります。

ABSが設定されているのは「PCX150」と「PCX HYBRID」だけという点も要チェック。

 

車体サイズはかなりコンパクトで、250㏄と比べると一周り小さい印象を受けます。

コンパクトな車体は特に街中を走るのに最適ですが、当然メットインスペースも小さく、PCXの場合は28L程度。

旧モデルと同様、フルフェイスだとモノによっては収まらない可能性がある点に注意が必要です(ジェットなら概ね問題ない模様)。

排気量が小さい分、当然最高出力も最大トルクも250㏄には及びませんが、車重が小さいためスタートダッシュは十分。

125㏄のPCXですら十分な加速をするので当然と言えば当然なのですが。

 

同じ150㏄前後のライバル「NMAX155」とスペックを見比べると、PCX150の方が1.4Lも燃料タンクの容量が大きいことに気が付きます。

燃費もPCX150の方が上で、スペック通りに満タン時の航続可能距離を算出すると、PCX150が約368km、NMAX155が約275kmとかなりの差が。

実燃費は各種条件によって大きく変わる可能性がありますが、少しでも給油回数を減らせるということは日常使いをするにあたってうれしいポイントです。

ちなみに125ccのPCXも燃料タンクは同じく8Lですが、燃費が50.7km/Lと良いため航続可能距離は400km(!)を超えます。すごい。

 

【150cc】ホンダ ADV150

ホンダ ADV150

引用元:デザイン | ADV150 | Honda

2020年2月14日に発売。

150ccという特殊な排気量にも関わらず、発売前に年間販売計画台数3,000台を上回る約4,000台の受注を受け、大変好調なスタートダッシュを決めました。

その人気の理由はやはりデザインでしょう。

街中に溶け込むスマートなデザインのPCXに対し、ADV150はアドベンチャー要素、アウトドア要素を思わせるアクティブなデザインを採用しています。

エッジの効いたデザインでかっこいいですよね。

それでいて中身はPCX150をベースにしているため、その走りの良さは折り紙付き。

加えてストロークの長いサスペンションを採用することで、あらゆる路面状況で上質な乗り心地を実現しているとのこと。

ホンダ ADV150(2020)リアキャリア

引用元:Honda | バイク | Honda二輪純正アクセサリー | ADV150

純正アクセサリーで耐荷重8.0kgの大きめなリアキャリアが用意されているので、キャンプ用途などで検討する場合は要チェックです。

 

【155cc】ヤマハ NMAX155

ヤマハ NMAX155 01

引用元:NMAX155 – バイク・スクーター│ヤマハ発動機株式会社

ホンダのPCX兄弟と同様、「ヤマハ NMAX155」も125㏄モデルの「NMAX」と共通の車体を持ちます。

2台を比較するとこんな感じ↓

外観ヤマハ NMAX155ヤマハ NMAX
メーカー及び車名ヤマハ NMAX155ヤマハ NMAX
排気量155(cc)124(cc)
最高出力11[15]/8,000
(kW[PS]/rpm)
9.0[12]/7,500
(kW[PS]/rpm)
最大トルク14[1.4]/6,000
(N・m[kgf・m]/rpm)
12[1.2]/7,250
(N・m[kgf・m]/rpm)
車両重量128(kg)127(kg)
全長×全幅×全高1,955×740×1,115
(mm)
1,955×740×1,115
(mm)
ホイールベース1,350(mm)1,350(mm)
シート高765(mm)765(mm)
定地燃費値(60km/h 2名乗車時)49.9(km/L)
50.5(km/L)
燃料タンク容量6.6(L)6.6(L)
メーカー希望小売価格385,000(~円)357,500(~円)

こちらは排気量の違いが30㏄ありますが、「NMAX155」とライバル関係にある「PCX150」の間にはそこまで大きな性能差はありません。

強いて挙げるなら、NMAX155の方が最高出力も最大トルクもほんの少し低回転で発揮できるという点が比較の材料になるでしょうか。

メットインスペースは約24Lとやや小さいものの、どちらも“フルフェイスが入らない”となれば誤差とも取れます。

個人的には航続可能距離さえ気にならなければ外観で決めるのもありだと思います。

 

125ccのNMAXとNMAX155を比較した場合、やはりポイントとなるのは「自動車専用道路を走れるかどうか」。

変速比が異なるため加速に関してはNMAXもNMAX155も実質大きな違いはないようですが、その分速度が上がると差を感じるかもしれません(125㏄は高速道路を走る機会がないのでデメリットにはなりませんが)。

ちなみにNMAX(125cc)はPCX(125cc)と異なりABSが標準装備されています。

NMAX兄弟は155㏄をベースに開発された車両らしく、トータルバランス、完成度では155㏄の方が上と言われていますね。

 

【155cc】ヤマハ マジェスティS

ヤマハ マジェスティS 01

引用元:マジェスティS – バイク・スクーター│ヤマハ発動機株式会社

かつての帝王「マジェスティ」の名を冠した現行ビッグスクーターです。

新型はヘッドライトの形状がよりエッジの効いたデザインへと変わり、個人的には外観のバランスがとても良くなったと感じています。

150㏄クラスでは一番カッコいいと思う。

ヤマハ マジェスティS ヘッドランプインナー

引用元:Yamaha Motor Life│ヤマハ発動機株式会社

特に「ホワイト」と「マットダークグレー」(右側2台)におけるブルーの“ヘッドランプインナー”は、ホイールの色ともマッチしていておしゃれですよね。

 

走行性能だってライバルに負けていません。

「NMAX155」と比べて17kgも重いのは気になるところですが、「PCX150」を含めた3台の中では同じ最高出力、最大トルクを最も低い回転数で発揮するのがこの「マジェスティS」です。

しかも、少なくとも先代マジェスティSは足回りも少し硬めな印象を受けました。

このため、ホイールベースが長めでも十分にキビキビと走ることが可能です。

ただし、その分燃費は悪めですね。

航続可能距離は約277.5kmと「NMAX155」と同程度ですが・・・。

やはりこの点は「PCX150」がずば抜けて優れています。

 

ライバルと比べて大きなメリットとなり得るのが、大容量のメットインスペースを持っていること。

その容量は約32Lにも及び、フルフェイスのヘルメットも余裕で収納することが可能です。

個人的にはこれだけで「PCX150」や「NMAX155」ではなく「マジェスティS」を選ぶ価値があると思います。

125㏄クラスでも、同社の「アクシスZ」やホンダの「リード125」などはメットが2つ入るほどの大きなメットインスペースを持っていますが、ビッグスクータースタイルにこだわる人にとっては良い選択肢と言えますね。

また、「マジェスティS」はフットスペースが横方向にフラットなのも特徴的です。

このため大きく足を上げて跨ぐ必要がなく、またレジ袋をぶら下げられる“コンビニフック”も設けられており、日常の使い勝手が良さそうです。

 

逆に気になるのは新型にも関わらずABSが採用されなかった点。

新型PCX150がABSモデルを打ち出してきたことで、マジェスティSだけ孤立することとなってしまいました。

これは少し残念。

 

【155cc】ヤマハ トリシティ155

ヤマハ トリシティ155 2019 02

引用元:フォトライブラリー:トリシティ155 – バイク・スクーター│ヤマハ発動機株式会社

「トリシティ」といえば、貴重な3輪バイクとして有名ですね。

その走破性の高さと安定感は高く評価されていて、125cc版の「トリシティ125」はお巡りさんの足として採用されるケースも増えているようです。

155㏄の「トリシティ155」は、そんな「トリシティ125」の完全上位グレード。

数字で見るとたった31cc、たった3馬力の違いですが、このクラスではたった3馬力も大きな違いです。

なんせ125㏄ベースで考えれば25%のパワー向上ということになります(これらはPCX150やNMAX155についても言えることですが・・・)。

外観ヤマハ トリシティ155 2019 10ヤマハ トリシティ125(ABS)
メーカー及び車名ヤマハ トリシティ155ヤマハ トリシティ125
排気量155(cc)124(cc)
最高出力11[15]/8,000
(kW[PS]/rpm)
9.0[12]/7,500
(kW[PS]/rpm)
最大トルク14[1.4]/6,000
(N・m[kgf・m]/rpm)
12[1.2]/7,250
(N・m[kgf・m]/rpm)
車両重量165(kg)159(ABS:164)(kg)
全長×全幅×全高1,980×750×1,210
(mm)
1,980×750×1,210
(mm)
ホイールベース1,350(mm)1,350(mm)
シート高765(mm)765(mm)
定地燃費値(60km/h 2名乗車時)43.4(km/L)46.2(km/L)
メーカー希望小売価格484,000円(~円)423,500円
【ABS:462,000円】(~円)

※トリシティ155はABSモデルのみ。

また、トリシティは元々前2輪で安定感の高い車種ですが、その恩恵はもちろん高速走行時にも得られます。路面が濡れていようが落ち葉が積もっていようがお構いなし、横風にも強いためスピードを出しても怖さを感じません。

街中から高速まで安心して走ることができます。

反面、普通の2輪車と比べると非乗車時の取り回しはやや悪く感じられるかもしれませんね。

また、構造が複雑な分車体は重く、価格も同排気量のライバルと比べるとやや高めですが、その唯一無二な存在感が気に入れば非常におすすめな1台です。

 

2019年には初のマイナーチェンジが実施され、シート高が15mm低い765mmに(2019年3月20日発売)

シートも新設計のものへと変更され、足つき性が向上したようです。

わずか15mmと感じるかもしれませんが、765mmはトリシティ125と同じシート高ですから、用途に合わせてより柔軟に選択できるようになったと言えそうです。

 

まとめ│ダウンサイジングの時代、150ccはバカにできない

現状、250㏄は「フォルツァ」と「XMAX」の一騎打ち状態。

フォルツァの可動式電動スクリーンには強く惹かれますが、個人的には軽くてよりスポーティーな印象のXMAXの方が好み。

ただ見た目はかなり個性的なので、この辺りは好みの分かれるところかもしれませんね。

フォルツァはまだ発売されていませんので、実際の走りの比較は少しお預けです。

 

150㏄クラスは悩みますね・・・。

このクラスはかつて「NMAX155」しかABSの設定がなく、「NMAX155」にとっては一つのアドバンテージだったのですが、今回新型「PCX150」がABSモデルをラインナップしたきたことで状況は変わってしまいました。

こうなると「マジェスティS」に未だにABSの設定がない点は正直気になりますが、大容量収納スペースとクラス唯一のフラットフットスペースによる利便性の高さは魅力的。

「PCX150」の燃費と航続可能距離にも惹かれますね。

150㏄クラスはいずれも排気量の割にキビキビと走りますから、「これまでの250㏄ビッグスクーターのようなデカさはもう要らない」という人には打ってつけかもしれません。

このクラスについてはこちらの記事でもまとめているので、お時間が許せばどうぞご覧ください↓

 

2019年現在、250㏄クラスはフルカウルスポーツモデルが大人気ですから、すぐにはかつてほどのビッグスクーターブームとはならないでしょう。

ですが、ビッグスクーターはこれまでも利便性の面で時代の最先端を走ってきたジャンルです。

いずれまたブームが来る時まで、その進化を追い続けたいと思います。

 

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