最新の高性能バイクのトレンドとなりつつある「クイックシフター」。
クイックシフターとは、クラッチ操作をせずにシフトチェンジが行える機能です。
この恩恵は非常に大きく、サーキットでのタイムアップはもちろん、利便性や快適性の向上も期待できます。
また、シフト操作ミスによるリスクからも解放されるため、結果的に安全性も向上します。
しかもクラッチレバーを用いた従来のシフトチェンジも可能ですから、目立ったデメリットもありません(もちろん搭載によってコストアップはしますが)。
そんな夢のような装備が国内メーカーのバイクにも続々と採用され始めています。
そこで、今回は「クイックシフターが標準装備された国内メーカーのバイク」を一挙にまとめてみました。
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アイキャッチ画像引用元:デザイン | CB1000R | Honda
クイックシフターのメリットとは?
一口にクイックシフターと言っても、実はシフトアップにのみ対応するものと、シフトアップ・ダウン両方向に対応するものの2種類が存在します。
シフトダウンにも対応するとなると、自動車における2ペダルMTのようなものですね。
シフトアップの際は「アクセルオンのまま」シフトペダルを操作してOK。
実はクイックシフターがないバイクでも「クラッチレバーを握らないシフトアップ」自体は比較的容易なのですが、クイックシフターの場合は「アクセルオンのままで良い」というのが最大のポイントです。
シフトダウンの際もコンピュータが勝手にブリッピング(エンジン回転数の調整)を行ってくれるので、どんなシチュエーションでもシンプルに減速に集中できます。
(この機構は「オートブリッパー」と呼ばれることもあります)
加えて通常よりも素早いシフトチェンジが可能なので、スポーツ走行においてはクイックシフターを利用するだけでタイムを縮めることができます。
クイックシフターは一定回転数以上で機能するものが一般的ですが、中高回転域を維持するスポーツ走行に限って言えば、発進さえしてしまえばもうクラッチを握る必要はほとんどありません。
加えてシフトミスのリスクが減る点は、スポーツ走行のみならず街中においても大きなメリットとなります。
乱暴にシフトダウンをしてもタイヤがロック(シフトロック)する心配がないですからね。
スムーズなシフトチェンジによって駆動系にも負担がかかりません。
もちろんクラッチレバーを操作することも可能なため、万が一トラブルに見舞われてもマニュアル操作で対処できるのでご心配なく。
クラッチレバーを握った“ニュートラル走行”も可能なので、右手で「ヤエー」することも可能。
まとめると、クイックシフターによるメリットは次の通り。
- 素早いシフトチェンジが可能
- シフトミスによるリスク(シフトロック等)を防止できる
- 駆動系に優しい
- 操作が簡単になる分、他の動作に集中できる
- 疲労が軽減される
- シフトレバーを用いた操作も可能(楽しさが損なわれない)
- コストアップ以外の目立ったデメリットがない
このようにクイックシフターはメリット盛りだくさんの夢のような装備ですが、強いて欠点を挙げるとすれば、その制御がとても繊細だということが一つ。
実はクイックシフターは社外キットで後付けすることも可能ですが、シフトチェンジの際の点火カット時間をはじめ、セットアップを適切に行うにはそれなりの知識と技術、場合によっては専用の機材が必要です。
こういったことを考えると、もともとメーカーによって最適な調整がなされた「クイックシフター標準装備のバイク」はとても魅力的。
というわけで、国内メーカーのどの車種にクイックシフターが標準装備されているのか、早速チェックしてみましょう。
まずは一覧↓
外観 | |||||||||||||||||||||
メーカー及び車名 | ホンダ CBR1000RR SP | ホンダ CBR1000RR-R SP(未確定) | ホンダ CB1000R | ヤマハ MT-09 | ヤマハ MT-09 SP | ヤマハ MT-10 | ヤマハ MT-10 SP | ヤマハ NIKEN | ヤマハ NIKEN GT | ヤマハ TRACER900 GT | ヤマハ YZF-R1(未確定) | スズキ GSX-R1000R | カワサキ Ninja H2 CARBON | カワサキ Ninja H2 H2 SX SE | カワサキ Ninja H2 SX SE+ | カワサキ Ninja ZX-10RR | カワサキ Ninja ZX-10R | カワサキ Ninja ZX-10R SE | カワサキ VERSYS 1000 SE | カワサキ Ninja ZX-6R | カワサキ Ninja ZX-25R(未確定) |
クイックシフター | シフトダウン対応 | シフトダウン対応 | シフトダウン対応 | シフトアップのみ | シフトアップのみ | シフトアップのみ | シフトアップのみ | シフトアップのみ | シフトアップのみ | シフトアップのみ | シフトダウン対応 | シフトダウン対応 | シフトダウン対応 | シフトダウン対応 | シフトダウン対応 | シフトダウン対応 | シフトダウン対応 | シフトダウン対応 | シフトダウン対応 | シフトアップのみ | シフトダウン対応 |
排気量 | 999(cc) | 999.9(cc) | 998(cc) | 845(cc) | 845(cc) | 997(cc) | 997(cc) | 845(cc) | 845(cc) | 845(cc) | 998(cc) | 999(cc) | 998(cc) | 998(cc) | 998(cc) | 998(cc) | 998(cc) | 998(cc) | 1,043(cc) | 636(cc) | 249(cc) |
最高出力 | 141[192]/13,000 (kW[PS]/rpm) | 160[217.5]/14,500 (kW[PS]/rpm) | 107[145]/10,500 (kW[PS]/rpm) | 85[116]/10,000 (kW[PS]/rpm) | 85[116]/10,000 (kW[PS]/rpm) | 118[160]/11,500 (kW[PS]/rpm) | 118[160]/11,500 (kW[PS]/rpm) | 85[116]/10,000 (kW[PS]/rpm) | 85[116]/10,000 (kW[PS]/rpm) | 85[116]/10,000 (kW[PS]/rpm) | 147.1[200]/13,500 (kW[PS]/rpm) | 145[197]/13,200 (kW[PS]/rpm) | 170[231]/11,500 (kW[PS]/rpm) | 147[200]/11,000 (kW[PS]/rpm) | 147[200]/11,000 (kW[PS]/rpm) | 150.0[204]/13,500 (kW[PS]/rpm) | 149[203]/13,500 (kW[PS]/rpm) | 149[203]/13,500 (kW[PS]/rpm) | 88[120]/9,000 (kW[PS]/rpm) | 93[126]/13,500 (kW[PS]/rpm) | - |
最大トルク | 114[11.6]/11,000 (N・m[kgf・m]/rpm) | 113[11.5]/12,500 (N・m[kgf・m]/rpm) | 104[10.6]/8,250 (N・m[kgf・m]/rpm) | 87[8.9]/8,500 (N・m[kgf・m]/rpm) | 87[8.9]/8,500 (N・m[kgf・m]/rpm) | 111[11.3]/9,000 (N・m[kgf・m]/rpm) | 111[11.3]/9,000 (N・m[kgf・m]/rpm) | 87[8.9]/8,500 (N・m[kgf・m]/rpm) | 87[8.9]/8,500 (N・m[kgf・m]/rpm) | 87[8.9]/8,500 (N・m[kgf・m]/rpm) | 112.4[11.5]/11,500 (N・m[kgf・m]/rpm) | 117[11.9]/10,800 (N・m[kgf・m]/rpm) | 141[14.4]/11,000 (N・m[kgf・m]/rpm) | 137[14.0]/9,500 (N・m[kgf・m]/rpm) | 137[14.0]/9,500 (N・m[kgf・m]/rpm) | 115[11.7]/11,200 (N・m[kgf・m]/rpm) | 114[11.6]/11,200 (N・m[kgf・m]/rpm) | 114[11.6]/11,200 (N・m[kgf・m]/rpm) | 102[10.4]/7,500 (N・m[kgf・m]/rpm) | 70[7.1]/11,000 (N・m[kgf・m]/rpm) | - |
車両重量 | 195(kg) | 201.3(kg) | 212(kg) | 193(kg) | 193(kg) | 210(kg) | 212(kg) | 263(kg) | 267(kg) | 215(kg) | 200(kg) | 203(kg) | 238(kg) | 260(kg) | 262(kg) | 206(kg) | 206(kg) | 208(kg) | 257(kg) | 197(kg) | - |
全長×全幅×全高 | 2,065×720×1,125(mm) | 2,099×762.4×1,136(mm) | 2,120×790×1,090(mm) | 2,075×815×1,120(mm) | 2,075×815×1,120(mm) | 2,095×800×1,110(mm) | 2,095×800×1,110(mm) | 2,150×885×1,250(mm) | 2,150×885×1,425(mm) | 2,160×850×1,375(mm) | 2,055×690×1,150(mm) | 2,075×705×1,145(mm) | 2,085×770×1,125(mm) | 2,135×775×1,260(mm) | 2,135×775×1,260(mm) | 2,085×740×1,145(mm) | 2,085×740×1,145(mm) | 2,085×740×1,145(mm) | 2,270×950×1,490(1,530)(mm) | 2,025×710×1,100(mm) | - |
軸間距離 | 1,405(mm) | 1,455(mm) | 1,455(mm) | 1,440(mm) | 1,440(mm) | 1,400(mm) | 1,400(mm) | 1,510(mm) | 1,510(mm) | 1,500(mm) | 1,405(mm) | 1,420(mm) | 1,455(mm) | 1,480(mm) | 1,480(mm) | 1,440(mm) | 1,440(mm) | 1,440(mm) | 1,520(mm) | 1,400(mm) | - |
シート高 | 820(mm) | 831(mm) | 830(mm) | 820(mm) | 820(mm) | 825(mm) | 825(mm) | 820(mm) | 835(mm) | 850~865(mm) | 855(mm) | 825(mm) | 825(mm) | 820(mm) | 820(mm) | 835(mm) | 835(mm) | 835(mm) | 820(mm) | 830(mm) | - |
定地燃費値60km/h | 25.0(km/L)(1名乗車時) | - | 22.5(km/L)(2名乗車時) | 29.4(km/L)(2名乗車時) | 29.4(km/L)(2名乗車時) | 23.4(km/L)(2名乗車時) | 23.4(km/L)(2名乗車時) | 26.2(km/L)(2名乗車時) | 26.2(km/L)(2名乗車時) | 28.4(km/L)(2名乗車時) | - | 22.1(km/L)(2名乗車時) | 20.5(km/L)(1名乗車時) | 27.0(km/L)(2名乗車時) | 27.0(km/L)(2名乗車時) | 21.0(km/L)(1名乗車時) | 21.0(km/L)(2名乗車時) | 21.0(km/L)(2名乗車時) | 25.0(km/L)(2名乗車時) | 26.0(km/L)(2名乗車時) | - |
燃料タンク容量 | 16(L) | 16.1(L) | 16(L) | 14(L) | 14(L) | 17(L) | 17(L) | 18(L) | 18(L) | 18(L) | 17(L) | 16(L) | 17(L) | 17(L) | 17(L) | 17(L) | 17(L) | 17(L) | 21(L) | 17(L) | - |
メーカー希望小売価格 | 2,541,000~(円) | - | 1,670,900~(円) | 1,023,000~(円) | 1,133,000~(円) | 1,705,000~(円) | 2,035,000~(円) | 1,815,000~(円) | 1,980,000~(円) | 1,221,000~(円) | 2,268,000~(円) (プレストコーポレーション) | 2,156,000~(円) | 3,630,000~(円) | 2,442,000~(円) | 2,827,000~(円) | 2,532,600~(円) | 2,101,000~(円) | 2,706,000~(円) | 1,903,000~(円) | 1,353,000~(円) | - |
以降はメーカー別、車種別に簡単な解説を交えて紹介してみたいと思います。
ホンダのクイックシフター搭載バイク一覧
ホンダのバイクでクイックシフターを搭載する車種は次の通り。
- CBR1000RR SP(生産終了)
- CBR1000RR-R FIREBLADE SP
- CB1000R
- CRF1100L Africa Twin(オプション)
- CB1300 SF/SB(オプション)
- CBR250RR(オプション)
なお、ホンダにはDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を搭載した車種がいくつかありますが、DCTの場合はクラッチ操作はおろかシフト操作も不要なので、操作面ではATそのもの。
クイックシフターとはやや勝手が異なるため、ここでは除外して考えます。
ホンダ CBR1000RR SP(生産終了)
CBR1000RRは上位グレードの「SP」にクイックシフターが標準装備されます。
CBR1000RR SPの装備の豪華さはこれだけに留まらず、足回りには「ÖHLINS(オーリンズ) Smart ECシステム」という電子制御式サスペンションや「ブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパー」を採用。
加えて「チタン製フューエルタンク」の採用により約1,300gの軽量化、軽量の「リチウムイオンバッテリー」の採用で約2,000gもの軽量化を達成しています。
2020年に、次に紹介する後継機「CBR1000RR-R」にバトンタッチをして生産を終了しています。
ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE SP
CBR1000RR-RにもSPモデル(FIREBLADE SP)が用意され、SPにのみクイックシフターが標準装備されます。
CBR1000RR-R SPはフロントにオーリンズの電子制御式フロントフォークとブレンボを搭載。
CBR1000RR-Rには新型のフレームに新開発エンジンが搭載され、最高出力は160kW[217.5PS]/14,500rpm。
これはいわゆるSS(スーパースポーツ)としては国内最高の数値です。
ホンダ CB1000R
ホンダのクイックシフター搭載車種でもっとも注目したいのが、このCB1000R。
シフトアップ、シフトダウンの両方に対応したクイックシフターを標準装備しています。
CB1000Rはリッタークラスにしては軽量コンパクトな車体にCBR1000RRのエンジンを踏襲した本格派スポーツバイク。
見た目にからはネオクラシックな雰囲気すら感じられますが、実は中身は超実力派です。
昨今はXSR900やXSR700、Z900RS、W800などのネオクラシック風なライバルモデルも多く発売されていますが、そんな中でもおしゃれでありながら快適さとスポーツ性能を両立したCB1000Rは、かなり完成度の高いネイキッドバイクと言えるのではないでしょうか。
ヤマハのクイックシフター搭載バイク一覧
ヤマハのクイックシフターは「QSS(クイック・シフト・システム)」という名称。
QSSを搭載する車種は次の通り。
- MT-09 / MT-09 SP
- MT-10 / MT-10 SP
- NIKEN / NIKEN GT(シフトアップのみ)
- TRACER9 GT
- YZF-R1M / YZF-R1
なお、ヤマハの「FJR1300AS」は「YCC-S(ヤマハ電子制御シフト)」というシステムを搭載しています。
これはそもそもクラッチレバーがなく、左足のシフトペダルと左ハンドルスイッチにあるハンドシフトレバーのどちらでも変速が可能なもの。
クラッチレバーの有無をはじめとする構造上の違いはありますが、先のホンダのDCTよりはシフト操作がある分、使い勝手の面では上下対応のクイックシフターに近いと言えます。
ヤマハ MT-09 / MT-09 SP
引用元:カラー&スタイリング:MT-09 – バイク・スクーター | ヤマハ発動機
MT-09は刺激的な走りとコストパフォーマンスの高さもあって、近年のヤマハの大型バイクの中で1、2を争うほどの人気を誇ります。
そのアグレッシブな外観からイメージされる通り、車重が軽くコンパクトでコントロール性がよく、それでいてはじき出されるような加速が魅力的。
更にクイックシフターがその強烈な加速をアシストします。
軽快でキビキビとした刺激的な走りを求めるなら、このMT-09はかなりおすすめな1台です。
SPは専用のサスペンションを装備し、減衰力調整機構とスプリングプリロードアジャスターによって前後共に細かな調整が可能です。
2021年のモデルチェンジで馬力、トルク共にアップしながら燃費が向上して環境規制にも対応。
さらにIMU(慣性計測ユニット)搭載によって電子制御もりもり。
そしてそして、ついにクイックシフターが上下対応となりました。めちゃくちゃ進化したな。
ヤマハ MT-10 / MT-10 SP
引用元:カラー&スタイリング:MT-10 – バイク・スクーター | ヤマハ発動機
MT-10はCB1000Rと同様、SS(YZF-R1)をベースとする高性能スポーツネイキッド。
R1と同じエンジンとはいえ、もちろんマイルドな特性にセッティングされています。
CB1000Rと比べてもやや大柄で安定感があり、ポジションもアップライトなので街中をゆったりと走るのにも向いていますし、長距離ツーリングでも疲れにくいはず。
MT-09と比べた場合、トータルで見るともちろんMT-10の方が速いのですが、重量が大きいためか出足やレスポンスの鋭さはMT-09の方が過激で刺激的な印象。
気筒数の違いも影響しているのかな。
MT-10はもっと穏やかで余裕があるイメージです(が、速い)。
MT-10 SPには「オーリンズ製電子制御サスペンション」をはじめとする専用装備がなされています。
MT-09を追いかけ、MT-10も2022年のモデルチェンジでスペックが向上しました。
各種電子制御も追加され、クイックシフターもシフトダウンに対応。
ヤマハ NIKEN / NIKEN GT(シフトアップのみ)
引用元:フォトライブラリー:NIKEN – バイク・スクーター | ヤマハ発動機
3輪スポーツバイクとしてインパクト十分な「NIKEN」にもクイックシフターが搭載されています。
NIKENは前輪2輪による安定感ゆえの優れたコーナリング性能と、長距離ツーリングにおけるクルージングの快適性を両立させたスポーツタイプのLMW。
LMWとはLeaning Multi Wheelの略で、モーターサイクルのようにリーン(傾斜)して旋回する3輪以上の車両の総称。
コーナー進入時にふらつきにくく、旋回中にブレーキを操作しても挙動が穏やか。
路面状況が悪くても優れた走破性を発揮し、乗れば終始車体の安定感の高さを実感できます。
エンジンはMT-09譲りで、同じように走行モード切替システム(D-MODE)を搭載。
NIKEN GTには疲労軽減につながる「ハイスクリーン」や「グリップウォーマー」、「12V DCジャック」や「専用シート」といった快適装備が追加されます。
ヤマハ TRACER9 GT
引用元:カラー&スタイリング:TRACER9 GT – バイク・スクーター | ヤマハ発動機
TRACERといえばかつてはMT-09の派生モデル(MT-09 TRACER)でしたが、2018年3月のマイナーチェンジでTRACER900として独立、2021年にTRACER9と名前を変え、現在に至ります。
リアには専用のスイングアームが設けられ、ホイールベースはMT-09より70mmも長い1,500mm。
よりツアラー色の濃い1台として独自の進化を遂げています。
車重は220kgと31kgも重いためMT-09ほどの過激さはありませんが、鋭くムラのないスロットルレスポンスは健在。
それでいて、より素直でスムーズなイメージ、と言えば伝わるでしょうか。
もともと人気の髙い車種でしたが、どうやら2019年上半期は本家のMT-09より売れたようです。
TRACER9 GTへとモデルチェンジを遂げ、クイックシフターもダウンシフトに対応しています。
「クルーズコントロールシステム」や「グリップウォーマー」などの快適装備が標準装備されるのも特徴的です。
ヤマハ YZF-R1M / YZF-R1
引用元:YZF-R1 – motorcycles – Yamaha Motor
ヤマハで唯一ダウン方向にも対応したクイックシフターを搭載するのが、フラッグシップモデル「YZF-R1」。
2019年までは逆輸入車のみでしたが、2020年8月20日より国内仕様車が販売されています。
スズキのクイックシフター搭載バイク一覧
スズキのクイックシフターは「クイックシフトシステム」という名称。
クイックシフトシステムを搭載する車種は次の通り。
- GSX-R1000R(生産終了)
- GSX-S1000GT
- KATANA
スズキ GSX-R1000R(生産終了)
スズキで初めてクイックシフターが搭載されたのがGSX-R1000R。
国内のリッターSSとしては高いコスパを誇る1台です。
クイックシフターの他にも10段階のレベル調節が可能な「モーショントラックTCS(トラクションコントロールシステム)」、発進時のエンジン回転の落ち込みを緩和する「ローRPMアシスト」、レースにおける効率的なスタートの加速をサポートする「ローンチコントロールシステム」といったリッターSSの上位グレードらしい豪華装備が満載。
またMotoGPで開発された可変バルブシステム「スズキレーシングバリアブルバルブタイミング (SR-VVT)」などの独自性もあります。
個人的には国内SS唯一の単眼ヘッドライトのフロントフェイスがツボ。
昨今のトレンドには当てはまらないかもしれませんが、流行に左右されないカッコ良さがあります。
2022年、惜しまれつつも生産終了。
カワサキのクイックシフター搭載バイク一覧
カワサキのクイックシフターは「KQS(カワサキクイックシフター)」という名称。
KQSを搭載する車種は次の通り。
- Ninja H2 CARBON / H2 SX SE / H2 SX SE+
- Ninja ZX-10RR / Ninja ZX-10R / ZX-10R SE
- VERSYS 1000 SE
- Ninja ZX-6R(シフトアップのみ)
- Ninja ZX-25R SE
- Ninja ZX-25R(オプション)
カワサキ Ninja H2 CARBON / SX SE / SX SE+
引用元:Ninja H2 SX SE・Ninja H2 SX SE+ | 株式会社カワサキモータースジャパン
Ninja H2シリーズはカワサキのフラッグシップモデルと呼ぶにふさわしい高性能スポーツツアラーです。
最大の特徴はスーパーチャージャーの搭載による圧倒的加速力。
クイックシフターの素早いシフトチェンジもこの加速に好影響をもたらします。
最高出力は147kW(200PS)/11,000rpm、走行風によるラムエア加圧時は154kW(210PS)/11,000rpm(H2 SX SE 及び H2 SX SE+)。
なお、「H2 SX SE」と「H2 SX SE+」の主な違いはサスペンションとフロントブレーキ、スマートフォン接続機能の有無など。
「H2 SX SE+」は電子制御式サスペンションKECS(カワサキエレクトロニックコントロールサスペンション)や、上位モデルの「CARBON」と同じブレンボ社製のストリート用モノブロックキャリパーの最新最上級モデル「Stylema」を採用しています。
更に高性能な「CARBON」や、「H2R」というサーキット専用車両もあり、これらもクイックシフターを搭載しています(H2Rは公道走行不可)。
カワサキ Ninja ZX -10RR / -10R / -10R SE
引用元:Ninja ZX-10R KRT EDITION・Ninja ZX-10R SE・Ninja ZX-10RR | 株式会社カワサキモータースジャパン
Ninja ZX-10RR及びZX-10R、ZX-10R SEは、日本を代表するリッターSS(スーパースポーツ)です。
特にZX-10RRはスーパーバイク世界選手権5連覇のベースマシンで、チタニウム製コネクティングロッド、サスペンション専用セッティング、マルケジーニ社製鍛造ホイールといった専用装備が採用されています。
シングルシートモデルで世界500台限定生産。
ZX-10RとZX-10R SEとの主な違いは、電子制御式サスペンションKECS(カワサキエレクトロニックコントロールサスペンション)やマルケジーニ社製鍛造ホイールの装備。
メーカー公式ページに“サーキットにおいて誰が乗っても扱いやすく乗りやすいということを追求していけば、結果として速いマシンが出来上がる”というコメントがありますが、クイックシフターの採用もこれに一役買っていることは間違いありません。
カワサキ VERSYS 1000 SE
引用元:VERSYS 1000 SE | 株式会社カワサキモータースジャパン
どちらかというとスポーツライディングを楽しむというよりはロングツーリングなどを楽しむツアラー的な要素が強いVERSYS 1000 SEですが、実は見た目に似合わず(?)クイックシフターを搭載しており、中高回転域を使ったアグレッシブなライディングも楽しめます。
ちなみにSEはVERSYS 1000の上位グレードにあたり、国内販売されているのはこのSEのみ。
ライディングポジションはアップライトですが、レスポンス重視のエンジンに電子制御サスペンションも採用しており、上質で快適な走りを体験できます。
コンセプトは「ANY ROAD ANY TIME」。どんな道でも、どんな時でも。
まさにオールラウンダーと呼ぶにふさわしい1台と言えそうです。
カワサキ Ninja ZX-6R(シフトアップのみ)
引用元:Ninja ZX-6R・Ninja ZX-6R KRT EDITION | 株式会社カワサキモータースジャパン
ワインディングとストリートに合わせて最適化されたミドルクラススーパースポーツ、それがNinja ZX-6Rです。
街乗りからサーキットまで爽快な乗り味が楽しめる1台で、クイックシフターの搭載によりその爽快感が倍増されています。
もともとこのクラスでクイックシフターを搭載している時点でかなりレアなのですが、しかし次に紹介するZX-25Rが250ccクラスでありながらシフトダウンにも対応したクイックシフターを搭載すると言われており、そうなるとZX-6Rのクイックシフターも遠くない未来にアップデートされそうな気がしますね。
カワサキ Ninja ZX-25R
カワサキにはクイックシフター搭載車が多い印象を受けますが、何と言っても最大のトピックは東京モーターショー2019で参考出展されたZX-25R。
クラス初のクイックシフターの搭載車となります。
しかも、シフトアップだけでなくシフトダウンにも対応するとのこと。
10年以上ぶりとなる250cc四気筒というだけでも十二分に注目の的なのに、250ccクラスにクイックシフターを持ち込むとなれば他メーカーの動きも気になるところ。
うーん、また250ccクラスで戦争が起こりそうな予感。
→ホンダ CBR250RRも2020年モデルから上下クイックシフターがオプション設定されることになりました!
クイックシフターは次世代バイクのトレンドとなりそう
クイックシフターはもともと速さを追及するための装備でした。
そのためスーパースポーツを中心に採用が広まりましたが、その恩恵はスポーツ性能の向上だけではありません。
快適性の向上や操作ミスのリスク削減といった安全性の向上にもつながるので、既にジャンルの枠を超えて多様なバイクに採用され始めています。
トラクションコントロールや可変バルタイなどのような限定的なシチェーションでのみ実感できる装備とは異なり、クイックシフターは操作と動作が直結しているので、その恩恵を体感しやすい装備と言えます。
例えば最近は低排気量のバイクでもスロットルバイワイヤの採用によってパワーモードが搭載されることが増えていますが、これも操作と変化を体感しやすい装備ですよね。
こういった体感しやすい機能はYoutubeなどのレビュー動画でも言及しやすく、ジャンルを問わず評価されやすい傾向にあるので、クイックシフターは次世代のトレンドになるのではないかと注目しています。
今後も要チェックですね。