最近はYouTubeやSNS等の影響もあって「ヤエー」というライダー特有のあいさつがごく一般的になりました。
しかし、そもそもこの「ヤエー」とはいったい何なのでしょうか。意味は?
特にバイクに乗りたての人は、突然対向車に手を振られても「何が起こったのか」と困惑することもあるかもしれませんね。
実際、管理人もバイクに乗り出した最初の1~2年は「ヤエー」の存在そのものを知りませんでした(当時はヤエーとは言われていませんでしたが)。
この「ヤエー」、いったいどんな意味があるのでしょうか。
どんな人がやっていて、やられたらどうすればいいのでしょうか。
見知らぬ人にやられても返さないといけないのでしょうか。
今回は「ヤエー」の謎に迫ります。
ヤエーの意味とは?ライダー同士のピースサインが原型?
ヤエーはツーリングにおけるライダー同士のあいさつのようなもので、実はその語源は英語の「Yeah」です。
「Yeah」は普通「ヤー」、「イェアー」あるいは「イエーイ」などと読まれ、日本でも喜びを表す言葉として一般的ですよね。
ところが「Y E A H」を「Y A E H」と間違える人が現れました。
そのまま読むと「ヤエー」。
そして、冒頭の通りYouTubeや各種SNSなどで拡散され、ここ数年で一気に一般的なライダー用語となったわけです。
ですから、もともとの意味合いや使う際のテンションは「イエーイ」とほぼ同じ。
ヤエーが登場する前、ライダーたちの間ではピースサインを出すのが一般的でした。
これがヤエーの原型ですが、このピースサインには、もともと“お互いの安全なツーリングを祈願する気持ち”や、“地元のライダーがツーリング集団を歓迎するような温かい気持ち”が込められています。
「お互い事故には気を付けてバイクを楽しもうな!」といったところでしょうか。
もちろん、「イエーイ、元気?」みたいな軽いノリでも全然OKです。
ヤエーってどんなときにするの?
先述の通り、ヤエーは主にツーリングの団体同士がすれ違う際に行われます。
単体で走っていると、道によってはツーリングかどうかの判断がつかないためか、ヤエーをされる頻度はグッと下がるように感じますね。
しかし、ヤエーをする相手は必ずしも対向車である必要はなく、例えば停車している集団に対してだったり、速いバイクを先に行かせる際に親指を立てて、「気を付けて(グッドラック)」のようなニュアンスで使うこともあります(もちろん追い越しの邪魔にならないように注意)。
中にはスーパーカーやオープンカーなど、趣味性の高そうな車に対してヤエーをするライダーもおり、ごく稀に返してもらえるようです。
車に乗っていてバイクのヤエーに返すことができたら楽しいかもしれませんね。
ヤエーはバイクのジャンルを問わずやり取り(?)されますが、個人的にはオフ車やアドベンチャー系のバイクに乗っている人は積極的な気がしますね。
これらの車種は比較的アップライトなライディングポジションを取るため手を離しやすく、かつツーリングをしている台数も多いのでそう感じるのかもしれませんね。
ヤエーはコミュニケーションの1つですので、やられたらやり返すのが一般的です。
もちろん誰からも強制されることはありませんが、可能であれば相手が手を上げたらこちらも手を上げてそれに応えてあげましょう。
詳しいやり方や注意点は次の通り。
ヤエーのやり方、返し方、注意点
やり方は自由です。
相手に「おーい」や「イエーイ」のようなノリが伝わればOK。
基本的には左右どちらかの手を上げますが、個人的には左手を上げた方が安全でベターだと考えています。
対向車線は右手側にあるのでつい右手を上げたくなりますが、アクセルを離すことになるのでエンジンブレーキが効いてしまうというデメリットがあります。
かといってクラッチレバーを握ると車体の直進安定性が低下するのが悩みどころ。
また前輪ブレーキから手が離れるのも不安ですよね。
その点、左手なら速度に影響することなく上げ下げが可能です。
その間クラッチ操作はできませんが、そもそもクラッチ操作が必要な場面で片手を上げるのは危険ですし、ブレーキ操作ができないよりは何倍もマシ。
左手だと相手に見えにくいという意見もありますが、個人的には右も左も視認性は大差ないように感じます。
注意したいのは右手だけでハンドルを保持することになるため、アクセル開度が不安定になりがちな点。
しっかりとニーグリップで車体を安定させ、一定速度、あるいは一定加速度となるようにアクセルコントロールしたいところです。
気持ち高めのギヤで走行しているとアクセルコントロールの影響を受けにくく、やりやすく感じるはずです。
ポーズについては、よく見かけるのは次の5パターン
- ピースサイン
- 手を上げる
- 手を振る
- サムズアップ(親指を立てる)
- ガッツポーズ
中には親指、人差し指、中指の3本を立てて“K”に見立てたカワサキ乗り特有のサインもあるのだとか・・・。カワサキ乗りじゃないせいか見たことないけど・・・。
基本的にどんな方法でも構いませんし、返す際も同じ方法を選択する必要はありません(指を1本だけ立てるような紛らわしいポーズは控えた方が良いかもしれませんが)。
ただし、もちろん安全には十分注意する必要があります。
たまに両手をぶんぶん振るような激しいヤエーに遭遇することがありますが、正直対向車としてシンプルに怖いので控えてほしい・・・笑
コーナリング中や減速中など、手を離すと危険と感じるシーンではヤエーしない方が無難です。
「ヤエーされたけど手を離せない!」というときは、軽く会釈(お辞儀ヤエー)をして返しましょう。
ほとんどのライダーはそれで察してくれるはず。
ヤエーは自分からするべき?されたら返さないといけないの?
このヤエー、どちらから(誰から)するというルールは特にありません。
「自分からやるのは緊張する」、「無視されたらショックを受けそう」といった場合は、自発的にやらなくてもOK。
やられたときに返せるように、対向車線にバイクが見えたらスタンバっておきましょう(笑
でも最近はほんの数年前と比べてもかなりの高確率で返してもらえるようになったような気がします。
さて、ヤエーは必ず返さないといけないというものではありません。
特に、初心者でバイクの運転そのものに不慣れな人にとって、運転しながら片手を離すという行為はなかなか勇気のいるものですし、決して推奨されるものでもありません。
当然、初心者でなくても安全への配慮は絶対に必要ですし、先述の通り減速中やコーナリング中にハンドルから手を離すのは避けた方が無難。
そんなシチュエーションもあるわけですから、ヤエーの優先順位を高くしすぎないことも重要です。
もともとお互いの安全を祈願するあいさつですから、そのために安全運転がおろそかになっては本末転倒ですよね。
また気分が乗らないときも、個人的には返さなくても良いと考えています。
「知らない人と馴れ馴れしく“ヤエー”だなんて気持ち悪い」と感じる人がいても、それは自由です(口に出せば議論の火種となりかねませんが 笑)。
「こっちはあいさつしたのに向こうは返さない」なんていう意見は、ハッキリ言って一方的なエゴにすぎません。
ですから、ヤエーをする側も、相手が返してくれなかったからと気分を悪くすることがないように、おおらかな気持ちを持ちたいですね。
しかし、一度ヤエーをして対向車との一瞬のコミュニケーションを取ると、想像以上の爽快感や楽しさ、喜びを感じるという人も少なくないはずです。
たった一瞬ですが、確かに芽生える仲間意識がそこにはあります。
例えば街中で全く知らない人とすれ違った際に、相手がペコっと頭を下げてきたら「いったい何事?」と困惑する人も多いですよね。
ところがハイキングや登山ではどうでしょう。
不思議とみんな頭を下げたり、「こんにちは」と声を掛け合ったりします。
あいさつをするのは「それが登山におけるマナーだから」という人もいるかもしれませんが、管理人の考えはちょっと違います。
もっと単純な、気持ちの問題だと思うんですよね。
同じときに同じことをして楽しんでいる人に対して持つ“仲間意識”が、自然とそうさせるような気がするのです。
これと同じで、ヤエーもツーリングを楽しむ者同士、あるいはバイクを楽しむ者同士のあいさつと捉えれば、自然と返したくなりませんか?
まとめ│ヤエーはツーリングにおけるあいさつ。でもマナーではない。
ヤエーは「Yeah」を語源とした、主にツーリングライダー同士のあいさつで、本来は「お互いの安全なツーリングを祈願する気持ち」や、「地元のライダーがツーリング集団を歓迎するような温かい気持ち」が込められています。
ただし、必ずしもやらなければいけないというものではありません。
安全に配慮することはもちろんですが、そういった馴れ馴れしい雰囲気が苦手というのであれば、無理に付き合うことはありません。
ヤエーはバイクの楽しみ方の一つであって、マナーではないんですよね。
相手が返さないからと怒るのはお門違いなので、自発的にヤエーする人はその点に注意すること。
しかし、ヤエーには気軽な気持ちで他のライダーとコミュニケーションを取ることができ、同じようにツーリングやバイクを楽しんでいる人と仲間意識を持てるという楽しさがあります。
一度やったらクセになるという人も多いのでは。
あまりツーリングをしないという人も、是非ツーリング集団とすれ違った際はヤエーにチャレンジしてみてください。
きっとバイクの新しい楽しみ方が発見できるはずですよ♪