同じジャンル、同じ排気量のバイクを比較するとき、あなたならまずどこをチェックしますか?
私はついつい最高出力、すなわち「馬力」をチェックしてしまいます。
レトロなバイクだろうがスクーターだろうが、気付くとライバル車種と比較していたり・・・。
250ccクラスにおいては最近フルカウルスポーツの人気が高く、4ストエンジンが主流になって以降、初めて各メーカーが純粋なスペックで優劣を競っているようにも見えます。
実際に現行の250㏄フルカウルスポーツは、ほんの10年ほど前とは比べ物にならないほど高スペック。
特にこういったジャンルでは馬力を無視して語ることはなかなか難しいですよね。
もちろんバイクは馬力がすべてではありませんが、一つの指標となることは間違いありません。
というわけで、今回は国内の現行250ccバイクの馬力をランキング形式でチェックしてみたいと思います。
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現行250ccバイクの馬力ランキング!
2019年現在の現行250ccバイクを馬力の高い順に並べると次の通り。
ホンダ CBR250RR | 28[38]/12,500(kW[PS]/rpm) | |
カワサキ Ninja250 | 27[37]/12,500(kW[PS]/rpm) | |
カワサキ Z250 | 27[37]/12,500(kW[PS]/rpm) | |
ヤマハ YZF-R25 | 26[35]/12,000(kW[PS]/rpm) | |
ヤマハ MT-25 | 26[35]/12,000(kW[PS]/rpm) | |
カワサキ VERSYS-X 250 | 24[33]/11,500(kW[PS]/rpm) | |
ホンダ CB250R | 20[27]/9,000(kW[PS]/rpm) | |
ホンダ レブル250 | 19[26]/9,500(kW[PS]/rpm) | |
スズキ GSX250R | 18[24]/8,000(kW[PS]/rpm) | |
スズキ Vストローム250 | 18[24]/8,000(kW[PS]/rpm) | |
ホンダ CRF250L | 18[24]/8,500(kW[PS]/rpm) | |
ホンダ CRF250M | 18[24]/8,500(kW[PS]/rpm) | |
ホンダ CRF250 RALLY | 18[24]/8,500(kW[PS]/rpm) | |
ヤマハ XMAX | 17[23]/7,000(kW[PS]/rpm) | |
ホンダ フォルツァ | 17[23]/7,500(kW[PS]/rpm) | |
ヤマハ セロー250 | 14[20]/7,500(kW[PS]/rpm) | |
ヤマハ トリッカー | 14[20]/7,500(kW[PS]/rpm) | |
カワサキ KLX230 | 14[19]/7,600(kW[PS]/rpm) | |
スズキ バーグマン200 | 13[18]/8,000(kW[PS]/rpm) | |
ヤマハ マジェスティS | 11[15]/7,500(kW[PS]/rpm) | |
ヤマハ NMAX155 | 11[15]/8,000(kW[PS]/rpm) | |
ヤマハ トリシティ155 | 11[15]/8,000 | |
ホンダ PCX150 | 11[15]/8,500(kW[PS]/rpm) | |
スズキ ジクサー | 10[14]/8,000(kW[PS]/rpm) |
やはり上位はフルカウルスポーツとストリートファイターモデル(カウルレス)の独壇場ですね。
250ccクラスにおけるフルカウルスポーツは、2008年のNinja250Rの登場以降、実にここ10年以上に渡って人気のジャンルです。
しかし当初の250ccのフルカウルスポーツは、どちらかといえばツアラー的な要素や見た目重視の面が強く、ここまで高出力ではありませんでした。
きっかけは、やはり2014年の先代YZF-R25の登場でしょう。
先行して高い人気を誇っていたNinja250を一気に5馬力も上回る36馬力というハイスペックで話題を集めました(現行モデルは35馬力)。
当時は「ホンダ CBR250R」や「スズキ GSR250F」といった単気筒モデルの人気も高く、二気筒のNinja250(31馬力)でも比較的馬力の高い方だったので、これは結構インパクトが大きかったですね(当時V型二気筒のVTR250が30馬力)。
ちなみに、今では最高馬力で見劣りする単気筒スポーツはほとんど姿を消してしまい、特にフルカウルスポーツは二気筒以上であることが前提になりつつあるように感じます。
具体的にどんな順位なのか、どんな特徴を持ったバイクが上位に来ているのか、上位モデルのみ簡単に解説していきたいと思います。
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1位 ホンダ CBR250RR(38馬力)
1位は高級250ccフルカウルスポーツの「ホンダ CBR250RR」。
最高出力は28kW[38PS]/12,500rpm。
2017年にデビューしたCBR250RRは、ご存知の通りスペックが高いことだけが特徴ではありません。
同クラスで世界初となる「スロットルバイワイヤシステム(電子制御式スロットル)」の採用やそれによる多彩なライディングモードの搭載、倒立式フロントフォークやアルミ製スイングアームの採用によるマスの最適化など、隅から隅までこだわられた高級感あふれる1台に仕上がっています。
現時点の250ccクラスにおいて、スペック的には間違いなく最上級のマシンです。
2位 カワサキ Ninja250(37馬力)
引用元:Ninja 250・Ninja 250 KRT EDITION | 株式会社カワサキモータースジャパン
ハイエンドなCBR250RRに対して、わずか1馬力差に迫るのが「カワサキ Ninja250」。
最高出力は27kW[37PS]/12,500rpm。
フルカウルを取り払ったストリートファイターモデル、Z250も併売されています。
CBR250RRよりも後発(2018年発売)ですが、最高出力等のスペックでCBR250RRに並ぶことはありませんでした。
それでも先代のNinja250と比べれば6馬力もパワーアップしています。
従来比で約20%もの出力向上ですから、これは十分称賛できるスペックと言えると思います。
逆にCBR250RRとの出力差は3%未満ですからね。
Ninja250は高級路線に振り切ったCBR250RRとは対極的に、スイングアームに角材を採用するなどしてコストダウンが図られています。
高スペックマシンをお手頃な値段で所有したい人にとって、Ninja250はCBR250RRを超える選択肢となるはずです。
3位 ヤマハ YZF-R25(35馬力)
引用元:フォトライブラリー:YZF-R3/YZF-R25 – バイク・スクーター | ヤマハ発動機
これに続くのが、250ccに再びスペック戦争の火種を持ち込んだ「ヤマハ YZF-R25」。
現行モデルの最高出力は26kW[35PS]/12,000rpm。
2019年に新型が発売されてデザインや装備が刷新されましたが、エンジンスペックは従来通り。
数値的にはライバルモデルに一歩譲る形となってしまいましたが、倒立式フロントフォークの採用や剛性バランスの向上、よりアグレッシブなライディングポジションへの変更など、スペックには見えないところでしっかりとスポーツ性能を進化させています。
兄弟車のMT-25もエンジンスペックは同一です。
4位 カワサキ VERSYS-X 250(33馬力)
引用元:VERSYS-X 250 TOURER・VERSYS-X 250 | 株式会社カワサキモータースジャパン
フルカウルスポーツに迫る高馬力を叩きだすのが「カワサキ VERSYS-X(ヴェルシスX)」。
最高出力は24kW[33PS]/11,500rpm。
それもそのはず、心臓部は先代Ninja250譲りの二気筒エンジンで、なおかつ高出力仕様にリセッティングされています(先代ninja250の最高出力は23kW[31PS]/11,000rpm)。
ヴェルシスXのライバルといえば、真っ先に思い浮かぶのが同じくアドベンチャー要素のある「スズキ Vストローム250」や「ホンダ CRF250 RALLY」ですね。
この3台の最高出力を比較すると次の通り。
- ヴェルシスX 24kW[33PS]/11,500
- Vストローム 18kW[24PS]/8,000rpm
- CRF250 RALLY 18kW[24PS]/8,500rpm
ヴェルシスXがいかに高回転高出力型であるかがおわかりいただけると思います。
アドベンチャーらしさに加え、その気になればちょっとしたワインディングも楽しめるパワフルさも魅力の1台です。
5位 ホンダ CB250R(27馬力)
5位に食い込んだのは次世代の250ccスタンダードネイキッドの座を築きつつある「ホンダ CB250R」。
オートバイらしいちょっとネオレトロな雰囲気も感じられる1台です。
最高出力は20kW[27PS]/9,000rpm。
ポジション的にはかつての「VTR250」(30馬力)を彷彿とさせる、ホンダが誇る優等生バイクそのもの。
違いはVTR250がV型二気筒エンジンを搭載していたのに対し、CB250Rは単気筒エンジンを搭載していることです。
そのため4位までの二気筒モデルと比べるとやや非力に感じられますが、その分単気筒ならではの低速トルクと加速感がウリで、特に街中においては最上級に扱いやすいバイクと言えます。
さすがに単気筒スポーツモデルとして一部から好まれたNinja250SL(29馬力)ほどのコテコテ感はありませんし、決して高馬力とも言えません。
しかし、見た目以上の軽さも手伝って、意外とスポーティーな走りも楽しめる1台に仕上がっています。
6位 ホンダ レブル(26馬力)
お次はなんとクルーザータイプの「ホンダ レブル」がランクイン。
最高出力は19kW[26PS]/9,500rpm。
2017年に生産終了した「ヤマハ ドラッグスター250」の最終型が20馬力だったことや車重の軽さを考えただけでも、見た目以上に軽快な走りが楽しめる1台であることがわかります。
とはいえ、かつては250ccアメリカンにも27馬力の「ホンダ Vツインマグナ」や35馬力(!)の「カワサキ エリミネーター250V」などがありましたね・・・。
7位 スズキ GSX250R(24馬力)
ここでやっと現れるのが、250ccフルカウルスポーツの残る1台、「スズキ GSX250R」。
最高出力は18kW[24PS]/8,000rpm。
見た目とは裏腹に、最高出力は控えめですが、その分低回転よりのセッティングが施されているので、街中をはじめとする低速域は大得意。
ライバルの3台が本格的なサーキット走行もこなすのに対し、GSX250Rは通勤通学+αといった使い方に適していると言えます(もちろんサーキットを走れないわけじゃありません!)。
実はGSX250Rは二気筒エンジンを搭載しているのですが、二気筒でこれだけ馬力を押さえているのは実は今では珍しいことでもあります。
低速におけるパワフルでスポーティーな乗り味は、毎日に余裕と楽しさをもたらしてくれるはずですよ。
価格もライバルと比べて10万円近く安いのも魅力的です。
現行250ccバイクの馬力ランキングまとめ
最後にランキングをおさらいしてみましょう。
- ホンダ CBR250RR(38馬力)
- カワサキ Ninja250(37馬力)
- ヤマハ YZF-R25(36馬力)
- カワサキ VERSYS-X 250(33馬力)
- ホンダ CB250R(27馬力)
- ホンダ レブル(26馬力)
- スズキ GSX250R(24馬力)
特に4位から7位までの順位には多少意外性も感じられたかもしれませんが、トップ3はやはりフルカウルスポーツ。
CBR250RRとNinja250、YZF-R25は、リッタークラスと同様、各メーカーが互いを意識するライバル関係にあると言えそうです。
そして今も進化は続いているはずですが、ただし、これらのバイクが史上最高スペックかというと、残念ながらそうではありません。
四輪車では考えにくいことですが、排気量でクラス分けされる二輪車においては、規制前の古いバイクの方が高性能ということは決して珍しくないのです(というかそれが当たり前)。
というわけで、次回は2ストや4スト四気筒のレーサーレプリカ、ネイキッドなどについて触れてみたいと思います。
今回はここまで。