コーナリングにおける繊細なアクセルワークの重要性とは

繊細なアクセルワーク アクセルワーク

車の性能を表すバロメーターとして用いられる「走る、曲がる、止まる」という基本性能。

これらをドライビングで限界まで引き出すためには、「アクセルワーク、ステアリング、ブレーキング」を上達させる必要があります。

 

さて、「走る」という性能、つまり加速性能を引き出すためのアクセルワークについては次の過去記事の中でお話ししました。

【繊細なアクセルワークを身に付けるための5つの練習方法!】

しかし、その中でも少し触れましたが、アクセルワークの上達がもたらす最大の恩恵は加速性能を引き出すことではありません。

実は、アクセルワークが真価を発揮するのはコーナリングなのです。

 

コーナリング中のアクセルワークを考える

前置きが長くなりましたが、アクセルワークがコーナリングにおいても重要とはどういうことでしょうか。

ポイントとなるのはアンダーステアオーバーステアです。

例えば、前輪駆動車や4輪駆動車の場合、コーナリングにおいてアンダーステアが生じやすい傾向にあります。

対して、後輪駆動車の場合はオーバーステアが生じやすい傾向にあります。

アンダーステアがひどければ車は曲がり切れませんし、オーバーステアがひどければスピンしてしまいますよね。

ラフなアクセルワークでは、その車本来のステアリング特性に沿って、そういった状況に陥りやすいと言えます。

これらの発生条件は厳密には様々ですが、これらを抑えようとしたときに最も有効な手段となるのが“適切なアクセルワーク”なのです。

具体的に、それぞれのステアリング特性を抑制しながら速く走る方法をおさらいしてみましょう。

 

アクセルワークによるアンダーステアとその抑制

特に前輪駆動車や4輪駆動車においてスムーズにコーナリングするためには、アンダーステアの抑制は必須条件と言えます。

そこで気を付けたいアクセルワークのポイントは次の2つ。

  1. 車が向きを変えるまでアクセルを踏み込まないこと
  2. 少しずつアクセルを踏み込むことで急激な荷重移動を抑制すること

 

まずはアクセルを踏み込むタイミング。

特にコーナー脱出時はアンダーステアが起こらないよう、注意する必要があります。

車体が十分に向きを変える前にアクセルを踏み込んでしまうと、フロントの荷重が抜けて曲がるためのグリップが不足してしまうからです。

アウトに膨らんでも曲がり切れるという地点まで我慢し、そこから徐々にアクセルを踏むようにしましょう。

 

もう一つ重要なのが、アクセルを踏み込む量。

アクセルワークによってどの程度荷重移動するか、それによってどの程度アウトに膨らむかはその車や路面等の環境により異なります。

そのため、コーナーを攻める際は余計に「まずは徐々にアクセルを踏んでいく」ということが大切になります。

 

既にアンダーステアが生じて曲がり切れないと感じたら、アクセルを一気に戻してみましょう。

すると前輪が加速に消費していた分のグリップが操舵に回り、一瞬旋回性能が高まります。

これを俗にタックインと言います。

 

アクセルワークによるオーバーステアとその抑制

特に後輪駆動車の場合はアクセルの踏み込みによって発生するオーバーステアに注意しなければなりません。

 

後輪駆動車でコーナー脱出時にアクセルを踏み込むと、テールスライドが生じます。

このテールスライド、実際のメカニズムは少し複雑ですが、簡単に説明すると「アクセルを踏み込むことで後輪に急激なトラクションがかかり、コーナリングの遠心力と相まってタイヤのグリップが不足すること」が原因です。

つまり、タイヤのグリップの限界を超えない範囲での加速であれば、テールスライドは起こらないということ。

このため、ここでも慎重で繊細なアクセルワークが求められるというわけです。

 

後輪駆動車のコーナリング脱出時は、車がコーナー出口を向くまでアクセルを踏み込むのは我慢しなくてはいけません。

それまでは、アクセルを微調整しながらタイヤのグリップの限界をギリギリ超えない範囲で加速します(多少はスリップしてもOK)

 

また、もしテールスライドにより車が内側を向いてしまったら、カウンターステアを当てないままアクセルを戻すのは危険を伴います。

なぜならアクセルを戻すことでタイヤのグリップが回復し、そのとき車が向いている方向に進んでしまう恐れがあるからです。

ケースバイケースですが、万が一テールスライドが起こったらアクセルを戻さないでいっそスピンさせてしまう勇気が必要になるケースもあります。

 

パーシャルスロットルを身に付けて更に上のステージへ

「パーシャルスロットル」とは、コーナリング中にアクセルを微調整することで加速も減速もない等速運動を再現するテクニックです。

通常コーナリング中はアクセルを踏むことによる加速状態か、エンジンブレーキによる減速状態にあります。

このとき、基本的に加速状態では荷重はリア寄りに、減速状態では荷重はフロント寄りとなりますよね。

つまり、加速状態では車速は上がるもののフロントの荷重が抜けて曲がりにくくなりますし、減速状態ではフロント寄りの荷重で旋回しやすくなる代わりに車速が落ちる、というわけです。

加速を取るか旋回性を取るか・・・。

このちょうどいい妥協点となるのが“パーシャルスロットル”と言えばわかりやすいでしょうか。

エンジンブレーキによる減速分だけを相殺する高精度のアクセル操作によって旋回速度を一定に保つことができれば、減速しないうえにフロント荷重も残るので旋回性も悪化しません。

 

このパーシャルスロット、やってみるとものすごく難しいことがわかりますが、特にアンダーステアの出やすいFFや4WDにおいては大きな武器となるテクニックと言えます。

まずはローパワーの車でRの大きいコーナーを走ることができれば感覚がつかみやすいかもしれません。

 

あとがき│コーナリングにおいても繊細なアクセルワークは必須

今回はアクセルワークの中でもコーナリング性能に影響するポイントだけをまとめてみました。

繊細なアクセルワークはアンダーステアオーバーステアを抑制するための大きな武器となります。

是非コーナリングにおいても繊細なアクセルワークを意識し、タイムアップにつなげてください。

 

ちなみに普段の運転の中でも繊細なアクセルワークを身に付ける練習をすることは可能です。

詳細は是非こちらをご覧ください↓