タックインとは?メカニズムと危険性を把握して有効活用しよう!

タックイン コーナリング

車の駆動方式のうち、FFや4WDの車でスポーツ走行を行う場合、そのコーナリングにおいて注意したいのがアンダーステアの発生です。

そしてアンダーステアが発生した場合の対象方法として有効なのが、”タックイン”という現象を利用するテクニックです。

 

今回はそのタックインについて、簡単にお話ししたいと思います。

 

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タックインの存在

タックインとは、高速コーナリング中に一瞬アクセルを戻すことで、フロントがコーナー内側を向く現象です。

特に前輪が駆動と操舵(旋回)の両方の役割を持つFF車や4WD車において発生しやすく、高速域であればあるほど車体の挙動がクイックになりますので、存在を知らずにこの現象に直面すると大変危険です。

 

タックインの発生メカニズム

タックインがどのように発生するのか考えてみましょう。

実は「アクセルを抜くことでフロントに荷重がかかり、前輪のグリップが増す」と言うのは正しくありません。

 

ではどういうメカニズムで発生するのでしょうか。

アクセルを戻すとトラクションが抜け、駆動力がタイヤに伝わらなくなりますよね。

繰り返しになりますが、FF車や4WD車のコーナリングでは、前輪が”駆動”と”操舵(旋回)”の両方の仕事をしているということがポイントになります。

 

極端な例になりますが、例えばタイヤのグリップを駆動に50%、旋回に50%消費し、合計で100%、つまりタイヤのグリップ限界のコーナリングをしている場合について考えてみましょう(以降、数字はあくまでイメージしやすくするためのものです)。

駆動50:旋回50が車が思い描いたラインをトレースできるニュートラルステアの状態であれば、アクセルを踏み込むとその比率が駆動60:旋回40へと変化し、車は曲がれなくなります。

これがアンダーステアです。

 

さて、アクセルを戻すというのはこの逆ですね。

アクセルを戻すと、駆動に使われていたグリップが旋回に消費されることになるため、先ほどとは逆に駆動40:旋回60と配分が変化し、その分旋回力を上げることができます。

つまりグリップを旋回に専念させることができるというわけです。

 

※2018.1.22追記 知人より「アクセルを戻した際もエンジンブレーキによって縦方向のグリップ消費が生じるのではないか」との指摘がありました。
確かにエンジンブレーキでも縦方向のグリップ消費はされるはずですが、それは加速時(もしくは定速走行時)と同じだけ大きなものになるのでしょうか。
またアクセルオフの際に縦方向のグリップ消費量が一切変化しないということはあり得るのでしょうか。
逆にエンジンブレーキをかけすぎればタイヤはロックするのですから、やはり縦方向のグリップ消費は流動的なように思えます。
仮に“アクセルオンの駆動力とエンジンブレーキの抵抗が常に同じ大きさ”であれば、縦方向のグリップ変化は生じないこととなり、この項で説明しているメカニズムには矛盾が生じます。
しかし、実際はアクセルオン時のグリップ消費は踏み込む量(発生トルク等)に左右されますし、逆にアクセルオフ時のグリップ消費はエンジンブレーキの強さに左右されます(フライホイールの重さ等によってエンジンブレーキの効きは変わります)。
次の項で「タックインの効果が生じるのはアクセルを抜いたその一瞬のみ」と書きましたが、これは「旋回に一時的に使用した横方向のグリップが、エンジンブレーキによって再び縦方向のグリップ消費に換えられるため」だと考えています。
また、この発生メカニズム(きっかけ)によって車体が内側を向き、前輪が後輪よりもコーナーイン側を通過した場合、結果的に前輪が軸となり後輪が旋回Gによりアウト側に流れると考えられます(後述)。
更に“エンジンブレーキによって前輪にかかる抵抗”と“進行方向に進もうとする慣性”の2つの力から、車の重心周りにヨー(鉛直軸周りの回転)が生じるという意見もあり、これについては否定する材料はありません(特に高速旋回中のモーメントの和は内側に切れ込む向きとなります)。

 

タックインの有効活用

すでに触れていますが、最大のメリットはアンダーステアを解消できるという点にあります。

 

ただし、タックインの効果が生じるのはアクセルを抜いたその一瞬のみ。

オーバースピードであればまたすぐにアンダーステアに見舞われることになります。

 

タックインを過信するのではなく、基本に乗っ取った走りと「アクセルオンのタイミング」に注意することを心がけましょう。

 

タックインの危険性

FF車の場合、エンジンブレーキは駆動輪である前輪のみにかかります。

(極端に言えば後輪は転がってただついてくるだけ)

そのため内側に入ったフロントタイヤがコマの軸となり、後輪が外側にスライドをすることもあります。

 

つまり、コーナーで曲がれないと感じて焦ってアクセルを戻すと、今度は内側に突っ込んでしまう危険性があるということです。

そうなると場合によってはカウンターステアも必要になります。

 

また旋回のためにグリップが消費されるということは、より強い遠心力に耐えられる、つまりより強い遠心力がかかるということでもあります。

そのため、重心の高い車でタックインさせると、遠心力で内側のタイヤが浮いて横転してしまう可能性もあります。

 

先ほども述べたように、タックインの存在を知っておくということが重要になってきます。

 

まとめ

タックインはその挙動をしっかりと理解していればコーナーを上手くクリアするためのテクニックにもなります。

特にFF車でスポーツ走行をする場合は是非覚えておきたい現象です。

 

もちろん、アンダーステアもタックインも、街中を走る上では意識する必要はほとんどないでしょう。

唯一気を付けたいのは高速道路の出入り口でしょうか。

料金所と本線の間に、よく”R”のきついコーナーがありますよね。

高速道路との接続でスピードも出やすいので、気を抜くとヒヤっとすることもあるかもしれません。

まぁ制限時速を守れば問題ないはずですが・・・。

 

終わり。

コメント

  1. とっぴん より:

    私の、タックインに関するメカニズムへの見解は少し違います。
    以前私は、カローラFX GTという典型的なFF車に乗っていました。
    前が重く後ろが軽い、典型的なFF車です。
    アクセルONの状態からシフトダウンすると、エンジンブレーキがかかります。
    後輪は慣性力で回転を維持しようとし、前輪は回転を落とそうとするので、前後輪でわずかな回転差が生まれます。
    ハンドルを切りながらこの操作を行うと、後輪がコーナーの外側に振り出されることになります。
    これがタックインだと思います。
    ブレーキングは車を前荷重にダイブさせ、前輪のグリップを強く・後輪のグリップを弱くすることで、より大きく後輪を振り出すことができるわけです。
    もちろんアクセルOFFだけでもエンジンブレーキがかかるのでタックインできますが、シフトダウンすることでより簡単にタックインできます。
    タックインの良いところは、スピードを落とす操作なので、制御がしやすい事にほかなりません。
    後輪をズルズル滑らすだけがタックインではありません。
    ほとんど滑っているのが判らなくても、充分タックインは効いています。

    • 管理人 より:

      おっしゃる通り、エンジンブレーキによって前輪の回転が抑制されれば慣性で回る後輪との間にギャップが生じることは間違いありませんが、アクセルオフ(減速)の瞬間はわずかでも必然的にリアの荷重は減少しますし、更に慣性のみで回転する後輪には当然トラクションもかからないわけで、「この前後輪の回転差(すなわちリアの慣性回転)のみによってリアがアウト側へ押し出される」というのは少し考えにくい、というか、リアが流れる理由としてはやや不足しているような気がします。

      とは言え、FF車でも旋回中にリアが振り出されることは実際にあり得ます。
      私が思うに、重要なのは「前輪がイン側にあるかどうか」ということです。
      旋回中に前輪が後輪よりもコーナーのイン側を通過したとき(俗に言う内輪差とは逆の状態では)、エンジンブレーキにより回転が抑制される前輪を軸に(コマのように)、結果的にリアがアウト側に流れるのではないでしょうか。
      これは特にタックイン等により“車体がコーナー内側を向いた後の話”で、タックインの結果として「FFならではの挙動」と言えると考えています。

      ただ、ここまで来ると“どこからどこまでをタックインと呼ぶか”という話で、恐らく実際の走行時の挙動(結果)という意味ではとっぴんさんとの間に認識の差異はほとんどないのではないかと思いますが・・・。

      ちなみに「後輪をズルズル滑らせる」のがタックインとは考えておらず、文中にもある通り、前輪が旋回方向にグリップすることがタックインのキッカケと考えています。