ミドルクラスのネオレトロバイクを比較│CB650R-SV650X-XSR700

ヤマハ XSR700 06 タイプ別バイク比較

2019年3月には「ホンダ CB650R」の発売もあり、ミドルクラスにおいても「ネオレトロ」を感じさせる丸目ネイキッドは注目のジャンルと言っていいでしょう。

オールディーな雰囲気と最先端の技術を融合させたネオレトロ、見た目だけでなく、ミドルクラスともなるとその性能は十二分に走りを楽しめるものに仕上がっています。

当然リッターバイクより気軽に乗れてコントロール性にも優れますが、車種が増えると選択も難しくなるというもの。

しかし、実際は現行3車種はそれほど共通点が多いわけではありません。

外観もスペックも走りの特徴もそれぞれ個性的なので、「何を求めるか」によって自分にあった1台を見つけることができます。

ここでは自分に合ったネオレトロ系バイクを選ぶべく、各車の特徴を見つめ直し、比較の材料にしてみたいと思います。

アイキャッチ画像引用元:XSR700 – バイク・スクーター│ヤマハ発動機株式会社

 

ミドルクラスのネオレトロバイク3選!特徴を比較!

ここで言うミドルクラスとは排気量600cc~800cc程度のクラスを指します。

今選択肢を挙げるなら下記の3車種が当てはまりますね。

  • ホンダ CB650R
  • スズキ SV650X
  • ヤマハ XSR700

 

それぞれのスペックの比較はこちら↓

メーカー車名排気量最高出力最大トルク車両重量全長×全幅×全高軸間距離シート高定地燃費値(60km/h 2名乗車時)燃料タンク容量メーカー希望小売価格外観
ヤマハXSR700688(㏄)54[73]/9,000(kW[PS]/rpm)68[6.9]/6,500(N・m[kgf・m]/rpm)186(kg)2,075×820×1,130(mm)1,405(mm)835(mm)38.4(km/L)13(L)899,640~(円)ヤマハ XSR700
ホンダCB650R648(㏄)70[95]/12,000(kW[PS]/rpm)64[6.5]/8,000(N・m[kgf・m]/rpm)202(kg)2,130×780×1,075(mm)1,450(mm)810(mm)31.5(km/L)15(L)961,200~(円)ホンダ CB650R 320x240
スズキSV650X645(㏄)56[76.1]/8,500(kW[PS]/rpm)64[6.5]/8,100(N・m[kgf・m]/rpm)197(kg)2,140×730×1,090(mm)1,450(mm)790(mm)37.5(km/L)14(L)781,920~(円)スズキ SV650X

 

お次は各車の特徴を再確認し、どんな用途に向いているか、ライバルに対してどんなアドバンテージを持っているのかをチェックしてみたいと思います。

 

ホンダ CB650R

ホンダ CB650R 10

引用元:デザイン│CB650R│Honda

マスの集中化とショートテールによるコンパクトかつダイナミックな外観が特徴的なCB650R。

フェンダーレスキットに換装したら一気に印象が変わりそうですね。

CB650Rは四気筒エンジンを搭載しており、高回転型かつ高出力な点が特徴的。

フルカウルスポーツ「CBR650F」より更にスポーティーに進化した「CBR650R」とベースを共有するだけあって、走りのポテンシャルは高めです。

まさに「ネオスポーツカフェ」というシリーズコンセプト通りの1台。

今回挙げるモデルの中では唯一四気筒エンジンを搭載しているだけあって、車重は202kgとやや重く、3台の中では燃費も悪い方ですが、代わりに最高出力は「70kW[95PS]/12,000rpm」と断トツの好数値。

最高出力の発生回転数は高いですが、最大トルクは「64N・m[6.5kgf・m]/8,000rpm」と後述の「SV650X」と同等。

さすがに低中回転のトルク感はVツイン搭載の「SV650X」に一歩劣ると思われますが、回せば回すだけスポーティーな走りが楽しめそう。

ちなみに四気筒エンジンは高回転まで気持ちよく吹け上がるので、特にVツイン搭載の「SV650X」とは対照的な高めの排気音となりそうですね。

この辺りは好みの問題ですが。

 

ホンダ CB650R 01

引用元:デザイン│CB650R│Honda

足回りにもスポーティーな走行が意識されていて、例えば「倒立フロントフォーク」の採用によってバネ下重量を低減。

これは今回取り上げるライバル勢の中では唯一の装備で、ハンドリングの軽快さに貢献しています。

リアには「ピロボール式サスペンション」を採用。

ピロボール式はブッシュ式と比べて細かな振動を吸収しきれないというデメリットがありますが、路面追従性等に優れ、サスから得られる様々な情報のフィードバックをダイレクトに感じやすいというメリットを持ちます。

加えてクラッチ操作の補助やシフトロックによる後輪のホッピングなどを軽減する「アシストスリッパークラッチ」も搭載。

というわけで、実は見た目の割に結構本格的に“走れる”バイクであり、かつスポーツ走行ビギナーにもやさしい1台と言えそうですね。

2019年3月15日発売。

 

スズキ SV650X

スズキ SV650X 01

引用元:SV650X ABS│スズキ バイク

お次は見るからにやんちゃな雰囲気満載のSV650X。

SV650Xには「SV650」というベースモデルが存在します。

ベースのSV650も丸目ヘッドライトを採用しており、十二分に伝統を感じさせるスポーツネイキッドらしいバイクと言えますが、それでもSV650Xの方が格段にネオレトロ系な雰囲気を持っています。

SV650Xはいわば「SV650」の“カフェレーサー仕様”。

「ロケットカウル“風”ヘッドライトカウル」や「タックロール仕立てのシート」、「セパレートハンドル」など、見るからに「カフェレーサースタイル」を意識したデザインが与えられていますね。

 

スズキ SV650X 04

引用元:SV650X ABS│スズキ バイク

外観以外の大きな特徴は「Vツインエンジン」を搭載していること。

Vツインエンジンは中速トルクが太く、高回転時は振動が少ないという特徴を持ち、扱いやすく、かつ乗っていて気持ちの良いエンジンです。

またSV650Xは「ローRPMアシスト」という機能を持ち、これによって“発進時のエンジン回転の落ち込みを緩和”してくれるというおまけつき。

Vツインゆえにボディがスリムなことと、加えてシート高が785mmと低いことから取り回しの良さも上々。

初心者はもちろん、背の低い人や見た目の割に女性にも優しい一台です。

ただし、ハンドルに“セパハン”を採用しているのでやや前傾姿勢。

 

スズキ SV650X セパレートハンドル

引用元:SV650X ABS│スズキ バイク

セパハンを装備することでベースの「SV650」とは異なる乗り味を手に入れています。

大げさにキツくはありませんが、アグレッシブなライディングポジションにより、ワインディングを走るとついその気になってしまうかも。

フロントフォークには「プリロードアジャスター」が装備されており、好みでサスペンションセッティングを変更できる点もうれしいですね。

 

また、SV650Xといえば価格の安さも魅力の一つ。

今回取り上げた中では次に安い「XSR700」と比べても117,720円も安く、同クラスで比較的安い「ヤマハ MT-07」と比べてもたったの+4,320円と、圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。

 

ヤマハ XSR700

ヤマハ XSR700 01

引用元:XSR700 – バイク・スクーター│ヤマハ発動機株式会社

XSR700は「ヤマハ MT-07」のネオレトロ版とでも言うべき存在です。

スタイルこそまるっきし異なるものの、実はエンジンやシャシーのほとんどが共通。

こちらは「SV650X」とは逆のアプローチで、元々前衛的だった「MT-07」のハンドルを高くすることでアップライトでゆとりのあるポジションを実現しています。

それでもシート高も835mmと30mmも高くなっていて、ついでに車幅も75mm大きいため、またがるとXSR700の方が一回り大きい印象。

しかし、一般的にシートが高いと操作性が向上して機敏なコーナリングが可能になる傾向にありますので、見た目以上にワインディング走行などにもマッチする器用さを持っている1台と言えるでしょう。

「MT-07」と比べると122,040円も高いので、この2台で悩んだ場合は難しい選択となりそうですが・・・。

 

ヤマハ XSR700

引用元:XSR700 – バイク・スクーター│ヤマハ発動機株式会社

ライバル2台と比較したときに目立つのはその軽量さ。

ベースの「MT-07」は183kgで、同ジャンルではクラス最軽量なのですが、XSR700もこれには一歩及ばないものの、たった3kg差の186kgという軽量さを誇ります。

ライバルの「SV650X」が197kg(+11kg)、「CB650R」は四気筒とはいえ202kg(+16kg)と、それなりに差がありますから、十分にメリットと言えそうです。

400cc並みの軽量さなので、大型に慣れていない人でも十分に乗りこなせるはず。

排気量は688ccと上記2台と比べると40ccほど大きいですが、出力は控えめ。

代わりにトルクフルな走りを得意としており、ゆとりのポジションと相まって街中にもマッチします。

総合的に「CB650R」ほどスポーティーではありませんが、他にはない“軽快さ”や、気軽に走りを楽しめるという点が魅力的なバイクです。

 

おまけ│カワサキ W800について

カワサキ W800(欧州仕様)01

引用元:W800 CAFE and STREET 2019

レトロな雰囲気を持つミドルクラスを検討した場合、2019年3月1日に日本国内発売の新型「W800」も比較候補に入るかもしれませんね。

HP上では2019年2月5日以降、スタンダードな「STREET」(画像奥)と文字通りカフェスタイルを意識した「CAFE」(画像左)の2パターンがラインナップされています。

2016年に国内販売を終了したW800、復活がアナウンスされた際は「最後と言うからファイナルエディション(2016)を買ったのに・・・」なんていう声も聞こえました。

カワサキの人に話を聞いたら、「うちも排ガス規制のクリアは難しいと考えていたけど、試験に出したら通ってしまって・・・」みたいなことを言っていました。

本当かどうかはわかりませんが・・・。

 

ただし、W800はネオレトロというよりはレトロそのものに近い、よりオールドルックなスタイルが特徴です。

見た目だけでなく、例えばエンジン出力に目を向けてみると、従来のW800は「35kW[48PS]/6,500rpm)」と、排気量の割にやや(かなり?)控えめな最高出力。

これは欧州向けに35kW制限の「A2ライセンス」で乗れることを意識してのことで、恐らく国内向けの新型も似たようなスペックでデビューすると思われます。

車重も「CAFE」モデルで222kgと、上記3車種と比べればかなりの重量級。

「XSR700」との重量差は実に36kgにも及びます。

高学年の小学生1人を常にタンデムさせているくらいの違いと考えると、その差の大きさが実感しやすいかもしれませんね。

そんなわけで、W800を候補に入れる場合は軽快さやスポーティーな走りを求めないことが肝心です。

しかし、もともと走りの性能にこだわらないなら話は別。

優雅にのんびりと、おしゃれに走りたい人にはもってこいの1台ですね。

 

まとめ│ミドルクラスのネオレトロバイクはどれを選ぶべき?

それぞれの特徴をまとめ、“求めるもの”によっておすすめな選択肢を考えてみました↓

  • よりアグレッシブなスポーツ性能を求めるなら「CB650R」
  • 四気筒の吹け上がりの良さと高回転、エンジン音を求めるなら「CB650R」
  • バランスとコストパフォーマンスの高さを求めるなら「SV650X」
  • 低シート、細身ボディによる跨ぎやすさと取り回しの良さを求めるなら「SV650X」
  • 街中からワインディングまで楽しめる軽快なハンドリングを求めるなら「XSR700」
  • リラックスできるライディングポジションと扱いやすさのどちらも求めるなら「XSR700」

 

ざっくりですがこんなところでしょうか。

あとは見た目が好みかどうか。結局はこれに尽きます。

見た目が好みのバイクは乗らなくても楽しめる・・・、これって意外と重要なんですよね。

特にこの「ネオレトロ」というジャンルは見た目のおしゃれさがウリの一つですから、是非自分の好みを追求してほしいところです。

ちなみに「SV650X」と「XSR700」のヘッドライトはハロゲン。

昨今は「LEDこそ正義」のような風潮がありますが、このジャンルにおいては「丸目ハロゲンヘッドライト」ですら魅力の一つ。

 

ミドルクラスにも比較できるだけの台数が揃ったネオレトロですが、更に上の排気量では「カワサキ Z900RS」や「Z900RS CAFE」、「ヤマハ XSR900」、「ホンダ CB1100(EX/RS)」や「CB1000R」などもライバル関係にあると言えそうですね。

バイクはいつの時代も伝統的なデザインや、そこにモダンなテイストを融合したデザインが強く支持されるように思います。

ようやく各社から同ジャンルのバイクが出揃ってきた感があるので、実は「ネオレトロ系バイクを選ぶなら今」かもしれませんね。

是非参考にしてください。