オートバイのタイプやジャンルをまとめてみた!-オンロード派生編-

いろいろなジャンルのバイク タイプ別バイク比較

バイクと言えば趣味の乗り物というイメージが強いと思いますが、実は漠然とでも「バイクに乗りたいなー」と考えたことがあるという人は意外と多いのではないでしょうか。

しかし、バイクには多くのジャンルやタイプ分けがあって、「どんなバイクを選べば良いのか」というところからかなり難しいんですよね。

いったいどのようなジャンルやタイプ分けがあり、それらは具体的にどういったバイクを指すのでしょうか。

 

バイクのジャンル・スタイル一覧【オンロード派生編】

バイクのタイプは大きく2つに分けて考えることができます。

一つは塗装路の走行を主眼に置いた「オンロードタイプ」。

もう一つは非塗装路の走行も可能な(路面を選ばない)「オフロードタイプ」。

オンロードタイプの中にも比較的オフロード走行が得意なモデルがあったり、オフロードタイプの中にもオンロードでの走行をメインに想定したモデルがあったりと、実に様々なジャンルが存在します。

 

これら全てを1つの記事にまとめるとすごいボリュームになってしまうので、今回はオンロードタイプから進化・派生した、“オンロード派生”のジャンルに絞ってまとめてみたいと思います。

ちなみに、オンロード派生のバイクは「ロードスポーツ」「ロードバイク」などの総称で呼ばれる場合があります(自転車と混同しそうですが・・・)

 

ネイキッド

CB400 SUPER FOUR

引用元:タイプ・価格│CB400│Honda

最もスタンダードでオーソドックスなオートバイと考えられることが多く、日本でも教習車なんかに多く用いられていますね。

かつて国内でカウル付きのバイクがブームになった際、呼び分けるために“裸”や“剥き出し”を意味する“ネイキッド”という単語を使い出したのが始まりと言われていますが、この形状のバイク自体はオートバイ誕生の頃からずっと存在していました。

一口にネイキッドと言っても実に多様な車種がありますが、後に紹介するスーパースポーツやクルーザーのような極端な乗車姿勢ではなく、それらの中間的なライディングポジションを取るものと広く認知されています。

後に紹介する“アメリカン”との対比で“ヨーロピアン”と呼ばれることもあります。

 

ストリート(ストリートトラッカー)

グラストラッカー

引用元:グラストラッカー ビッグボーイ/グラストラッカー│スズキ バイク

ストリートは、特に取り回しの良い小排気量車を指して呼ばれることが多いジャンルです。

有名どころで言うと「スズキ グラストラッカー」や「ホンダ FTR」、「ヤマハ SR400」などが分類されます。

その名の通り街中に特化したバイクで、必要十分なパワーと取り回しの良さ、そしておしゃれな外観が特徴と言えるでしょう。

比較的構造が単純な単気筒のモデルが多いため、「お手軽にカスタムできるのもストリートならでは」と言えるかもしれません。

排気量が小さいことは条件ではなく、例えば後ほど紹介する“スクランブラー”などは、今やストリートバイクの一種とされる場合もあります。

 

ストリートは“オフロード派生”にあたる“トラッカー”と区別するのが難しく、「ヤマハ TW200/225」に始まった“ストリートトラッカー”ブームの際に更にその境界があやふやになったような気がします。

オンロードベース、オフロードベースという大別を無視することになりますが、先のスクランブラーの例と同様、「“ストリート”という大きな枠組みの中にトラッカーというジャンルが存在する」と考えて良いかもしれません。

 

ストリートファイター

MT-10

引用元:カラー&スタイリング:MT-10 – バイク・スクーター│ヤマハ発動機株式会社

ネイキッドの中でも、後ほど紹介する“スーパースポーツ”からカウルを取り払ったモデル、またはそれに近しい形態のバイクのことを特にこう呼びます。

一般的なネイキッドモデルよりもやや攻撃的なスタイルで、スーパースポーツ由来の高い運動性能や操作性を持ち、丸目ではない“異形ヘッドライト”が用いられていることが多いのも特徴です。

ネイキッドでありながらスポーツ性能に重きを置いているという点は、後ほど紹介する“カフェレーサー”と近いものがありますが、ストリートファイターはカフェレーサーとは逆に元々前衛的なスーパースポーツをネイキッド化したものなので、比較的アップハンドル気味にチューンされており、バーハンドルなどが用いられるのが一般的です(もちろんその後のカスタムでセパレートハンドルに交換されることは多々あります)。

特に大排気量車の場合は、より街乗りに適するように低回転のトルクを太くするなどの調整が施されるのが一般的です。

 

オールドルック(クラシック,ネオレトロ,ネオクラシック,モダンクラシック)

CLASSIC MILITARY 500 EFI (EURO3)

引用元:CLASSIC MILITARY 500 EFI (EURO3)│MOTORCYCLE│Royal Enfield – ロイヤルエンフィールド日本語公式サイト

カウルがなく、昔ながらの見た目や雰囲気を持ったバイクは一般的に“オールドルック”や“クラシック”と呼ばれます。

厳密な定義を求めるのは難しいのですが、空冷エンジンだったりスポークホイールだったりといった「昔を感じさせる要素」が何か一つでもあるのが条件と言えるかもしれません。

例えば「カワサキ W800」などはあえてドラムブレーキを採用していたり、「ヤマハ SR400」のように“キック”が必要だったりといった“味”にこだわるジャンルとも言えます。

ちなみに「オールドルックは実際のオールドバイクとは異なる」と言う意見もあり、この違いを更に顕著に表す呼び方として、クラシックな見た目とは裏腹に最新の性能を持つバイクのことを“ネオレトロ”や“ネオクラシック”、“モダンクラシック”などと呼ぶこともあります。

ただこの辺りの使い分けは各メーカーによって異なりますし、かなりあいまいです。

そもそも「どこから先がオールドなのか」については人によって意見が分かれるところで、最近の車種だと「カワサキ Z900RS」辺りはかなり微妙なラインかもしれません。

 

カフェレーサー(ストリートレーサー,スポーツクラシック)

Thruxton 1200 R

引用元:Thruxton 1200 R│Triumph Motorcycls

元々はネイキッドバイクのカスタムスタイルの一つで、今ではオールドルックの派生モデルとしても考えることが可能です。

カフェレーサーとはロンドンのエースカフェという24時間営業のカフェを拠点として夜な夜な改造バイクでレースをする若者たちのことを指す言葉でしたが、それが転じて彼らのようなカスタムスタイルを施したバイクを“カフェレーサー”と呼ぶようになったそうです。

レーサーと名がつく通り走行性能を優先したスタイルで、例えばセパレートハンドルやバックステップへの交換により前衛的なライディングポジションを可能としたり、細身のタンクやシングルシートへの交換(シートカウルの取り付け)が施されたり、またロケットカウル(ビキニカウル)等が取り付けられる場合もあります。

時代を問わず根強い人気を誇り、画像のような状態で市販される、まさに“ファクトリーカフェレーサー(ワークスカフェレーサー)”と呼ぶにふさわしいマシンも存在します。

 

スクランブラー

Street Scrambler

引用元:Street Scrambler│Triumph Motorcycles

“スクランブラー”とは、元々は改造したオンロードバイクで行われたオフロードレース、「スクランブルレース」に用いられた車両を指す言葉でした。

「スクランブル」と言えば戦闘機などの緊急発進でよく使われますが、レーススタート時に横一列に並んだマシンが一斉にスタートする様子からこう呼ばれるようになったようです。

つまり、現代のスクランブラーとは、「オンロードバイクをベースとしたオフロードレースが可能なバイク」を起源とするスタイル・ジャンルということになります。

こう考えると、元々がオフロードバイクで塗装路ように改良された“モタード”や“アドベンチャー”とは似て非なるものと言えそうですね。

 

外観的には、車体やマフラー位置が高かったり、アンダーガードを装着していたりといったオフロード走行を意識した造りや、全体的に漂うクラシカルな雰囲気などが特徴として挙げられます。

しかしほとんどの道がアスファルト等で舗装された現在、その見た目に機能的な必然性はほとんどありません。

そういった意味では先の“ストリート”に大別することが可能です。

管理人が感じる、今もっとも熱い“おしゃれジャンル”の一つです。

 

クルーザー(アメリカン)

LOW RIDER

引用元:バイク│ハーレーダビッドソンジャパン│Harley-Davidson Japan

“クルーザー”は、キャスター角が大きくホイールベースが長い点、また低く長い車体と脚を前に投げ出すような乗車姿勢が特徴的なバイクです。

乗車時の姿勢が楽で、アメリカの田舎道のようなまっすぐな道をのんびり走るような用途に向いています。

一般的に車体が重いので、直進安定性には優れますが、ワインディングなどにおけるスポーツ走行は苦手です。

見た目通り小回りは得意ではないものの、足付きが良いので人によっては取り回しも楽に感じるようです。

カーブの少ない緩やかな道をのんびりとツーリングするのには向いていますが、風防がなくライダーが風をもろに浴びることになるため、長距離になるとやや疲れてしまうかもしれません(高速走行や長距離走行は後ほど紹介する“ツアラー”の方が圧倒的に楽です)。

英語圏では“クルーザー”と呼ばれますが、日本国内では“アメリカン”と呼ばれるのが一般的です。

このジャンルの歴史も長く、クルーザー自体を“オールドルック”の枠に入れる見方もあります。

例えば「ホンダ レブル250/500」などは、クルーザーでありながらオールドルックと呼んでも違和感はありませんよね。

 

チョッパー

チョッパー

クルーザーのカスタムスタイルの一つに“チョッパー”というものがあります。

これは車重の思いアメリカンの各部を切り落とす(チョップする)ことで軽量、コンパクトを目指したバイクを指します。

フロントフォークの延長とキャスター角の拡大、アップハンドル化が主な特徴で、その他にも低シート化、フェンダー等の取り外しやタンクの小型化などが施されます。

市販そのままでチョッパーらしいチョッパーというのはなかなかレアかもしれません。

 

ボバー

Bonneville Bobber Black

引用元:Bobber-Black│Triumph Motorcycles

ボバーもチョッパーと同じく、主にクルーザーにおけるカスタムスタイルの一つです。

チョッパーと同様、余分なパーツを外してとにかく軽量化を目指すスタイルですが、チョッパーの意味する“切り落とし”とは異なり、こちらは“Bobbed”、つまり“短くする”という表現が名前の由来という説があります。

チョッパーとはフロントフォークの角度などがオーソドックスで、ハンドルも高すぎないという点が異なります。

チョッパーと比べるとやや“速く走るための軽量化”を意識したカスタムだと言えるかもしれません。

比較的まとまりの良いスタイルなので、元からボバースタイルであることをアピールするバイクも少なからず存在します。

 

ハーフカウル

CB400 SUPER BOL D’OR

引用元:タイプ・価格│CB400│Honda

ネイキッドのフロント周りにのみカウルを取り付けたバイクのことをこう呼びます。

ただし、ネイキッドモデルとハーフカウルモデルはライトの形状から異なることも多く、購入後に自由に取り外しができたりはしません。

ネイキッドバイクにロケットカウルなどを後付けした場合もハーフカウルと呼ぶことがあります。

ネイキッドモデルの派生として設定されることが多いためか、ネイキッドの一種という見られることが多いように感じますが、“カウル付きか否か”という観点からネイキッドに含まない場合もあります。

カウルのおかげで風防性が向上し、高速走行や長距離走行の負担が軽減されるという恩恵を得ることが可能です。

 

フルカウル

CBR250RR

引用元:タイプ・価格│CBR250RR│Honda

文字通りカウルをまとったバイクの総称です。

カウルが装着されることで空気抵抗の軽減や走行安定性の向上などのメリットがあり、スポーツ走行やロングツーリング等のいずれかの用途に強い車種が多いのが特徴です。

塗装やカッティングを含めてデザイン性は大きく向上しますが、カウルの脱着によりネイキッドと比べてややメンテナンス性が下がる場合があります。

また転倒時の損傷が激しいのもフルカウルバイクの特徴ですね。

 

「250ccスポーツをスーパースポーツと呼ぶのはちょっと抵抗がある」という人がこの呼び方を使ったりもします。

また先述のストリートファイターの対比として、例えば「MT-25のフルカウル版はYZF-R25」のような使い方をすることもあります。

 

レーサーレプリカ(レプリカ)

ホンダ NSR250R引用元:ホンダ NSR250R│バイクブロス

1980年代にブームを巻き起こした、レース仕様車を模した市販モデルを“レーサーレプリカ”と呼びます。

レースマシン譲りの攻めたライディングポジションとハイパワーが特徴です。

当時は250ccですらかなりの馬力と速さを誇りましたが、排ガス規制の煽りを受け、また各レースのレギュレーションの変更もあり、小排気量スポーツのラインナップ自体が減少したため、ジャンル自体がほぼ消滅してしまいました。

現在ではレース仕様車に近い市販車は次に紹介する“スーパースポーツ”と呼ばれることがほとんどで、新車では狭義のレーサーレプリカに該当する車種は存在しません。

 

スーパースポーツ(スポーツ,フルカウルスポーツ,メガスポーツ)

CBR1000RR SP

引用元:タイプ・価格│CBR1000RR│Honda

レーサーレプリカが姿を消した後の世界で、スポーツ要素の高いバイクを呼ぶための呼称として用いられたのが“スーパースポーツ”でした(よく“SS”と略されます)。

一般的に軽量ボディや前傾ポジションが特徴で、スポーツ走行に優れますが、逆に長距離走行はライダーにかかる負担が大きく得意ではありません。

排気量や純粋な速さをスーパースポーツの定義とするかどうかは意見が分かれるところのようで、“フルカウル”の項でも書きましたが、250ccのフルカウルスポーツをスーパースポーツと呼ぶことに抵抗を感じる人も多いようです。

250ccスポーツ比較!CBR250RR・YZF-R25・Ninja250(2018)

 

特に大排気量で出力や最高速重視のスポーツバイクは“メガスポーツ”と呼ばれることもあります。

 

ツアラー(アドベンチャーツアラー)

FJR1300AS

引用元:カラー&スタイリング:FJR1300AS/A – バイク・スクーター│ヤマハ発動機株式会社

“ツアラー”とは長距離移動を快適にするための様々な工夫がなされているバイクです。

一見するとカウルに覆われたその外観はスーパースポーツと似ていますが、基本的にアップハンドルで楽な乗車姿勢が取れるようになっており、シートも厚く快適な乗り心地となっています。

カウルにより風防性能や直進安定性が高められており、また各種ボックス類の取り付けにより積載能力を向上させるのも容易です。

そのため長距離走行やロングツーリングを楽しみたいといった用途には最適ですが、車重の大きさから俊敏な動きはあまり得意ではなく、一般的にスポーツ走行にはやや不向きです。

 

最近ではオフロード派生の“アドベンチャー”というジャンルの特徴を持つ“アドベンチャーツアラー”なるジャンルも存在し、人気を集めています→ツーリングにおすすめな250ccアドベンチャーツアラーを比較

 

スクーター(原付,ビッグスクーター)

XMAX

引用元:カラー&スタイリング:xmax – バイク・スクーター│ヤマハ発動機株式会社

スクーターは変速機にオートマチック(無段変速機)が採用されており、右手で前輪ブレーキ、左手で後輪ブレーキを操作するのが一般的です。

またステップ状のフロアに足を乗せて運転する点や、シート下にメットインスペース等の大き目の収納スペースを有することが多い点などが特徴です。

特に50ccのスクーターは“原動機付自転車”、通称「原付」と呼ばれ、免許の取得が簡単だったり、維持費が低かったり、自転車用の駐輪場に駐車できたりといった使い勝手の良さから広く普及しています。

ただし、原付の場合は法令により公道では30km/hまでしか出せないため、最近はより幅広い用途に使える150ccあたりのスクーターが人気を集めています。

特に150ccあたりからは「ビッグスクーター」と呼ばれ、かつては「ヤマハ マジェスティ」を筆頭に250ccビッグスクーターのブームが巻き起こったこともあります。

ビッグスクーターは無段変速機とその乗車姿勢から鋭い出足と快適な乗り心地を両立しており、250ccもあれば街乗りからロングツーリングまで多様に使うことが可能ですが、MT操作に慣れ親しんだ人はやや物足りなさを感じることもあるかもしれませんね。

マグザムとの思い出。250ccビッグスクーターは魔法のじゅうたんだった。

 

一般的にカウルに覆われていますが、スクーターは独自のジャンルとして見られる場合がほとんどです。

最近は「ヤマハ トリシティ125/155」などの前輪が2つある3輪スクーターや、電動化されたスクーターも少しずつ増えています。

 

ビジネスベース

スーパーカブ50 プロ

引用元:タイプ・価格│「積む」「運ぶ」「配る」にこだわった、プロ仕様のカブ。スーパーカブ50 プロ / 110 プロ│Honda

ホンダのスーパーカブシリーズ、ジャイロシリーズを筆頭とする商業用ベースのバイクです。

スーパーカブはシフトチェンジにクラッチ操作が不要な特殊な機構を採用しており、より作業性に優れています。

昨今はクロスカブや少し前のリトルカブなど、派生モデルが続々市場に投入されており、そのかわいらしい見た目、おしゃれな色遣いが若者を中心に注目されています。

商業用ベースということもあり、堅牢な造りであることや比較的燃費が良いのも見逃せないポイントです。

 

あとがき

オンロード派生だけを見ても実に多くのジャンルがありますね。

まずは興味のあるジャンルを絞り、そこから具体的な車種に絞っていけば、初心者でもバイク選びに失敗しないと思いますよ♪

 

今回多くのジャンルについてまとめましたが、実のところその全てが明確に定義されているわけではありません。

例えば“スクランブラー”と名の付くバイクは多く、有名どころで言えばドゥカティのスクランブラーシリーズやトライアンフのストリートスクランブラーなどがありますが、少なくともこの2車種はかなりキャラクターの異なるマシンに仕上がっています。

4輪だって“4ドアクーペ”や“SUVクーペ”なんてジャンルもあるくらいですし、もしかしたら“呼んだもの勝ち”なところがあるのかもしれませんね・・・。

そんなわけで、今回紹介した内容は、様々な呼び名に対する「解釈の一例」程度に捉えていただけると幸いです。