バイク免許って自動車の免許と比べてちょっと複雑ですよね。
とりあえずバイクに乗りたいと思っても、まずどの免許から取ればいいのか、どうやったら取得できるのか、教習はどのくらい受けなければならないのか・・・。
管理人も初めて免許を取る際はかなり迷いました。
というわけで、今回はバイク免許の種類(区分)について簡単に触れ、それぞれの特徴と取り方、取得の際の考え方などをわかりやすくまとめてみたいと思います。
最近は自動車と同じくAT限定免許の人気も高まっているので、その点も要チェック。
バイク免許取得の際はぜひ参考にしてみてください。
バイク免許の種類│原付~小型限定~普通~大型
日本国内におけるバイク免許は、大きく次の4つに分けて考えることができます。
- 原付免許(50cc以下)
- 小型限定普通二輪免許(125cc以下)
- 普通二輪免許(400cc以下)
- 大型二輪免許(400cc超)
更に、原付免許以外にはAT限定免許の設定があります。
- AT小型限定普通二輪免許(125cc以下AT)
- AT限定普通二輪免許(400cc以下AT)
- AT限定大型二輪免許(400cc超AT※2019年12月に排気量上限撤廃)
AT限定免許を含めると、合計で7つの免許区分があることになります。
このうち、2020年現在は大型二輪免許を除く7種類が16歳から、大型二輪免許のみ18歳から取得が可能です。
AT限定免許とは?
ATとはオートマチックトランスミッション(Automatic Transmission)の略で、自動でギアチェンジを行う変速機を指します。
もっと具体的に言うと、AT限定免許で乗ることができるのはライダーがクラッチ操作を行わないバイク。
すなわちスクーターはもちろん、実はDCTなどの電子制御クラッチを搭載したバイクにも乗ることができます(ただしクイックシフター搭載車はクラッチ操作が可能なため乗れません)。
注目したいのは、2019年12月1日にAT限定大型二輪免許に設けられていた「650ccまで」という排気量の上限が撤廃されたこと。
これにより「ホンダ X-ADV」や「ホンダ CRF1100L Africa Twin」、「ヤマハ FJR1300AS」や「ホンダ GOLDWING」といった大排気量のアドベンチャーモデルやツアラーモデルにも乗ることが可能になりました。
AT限定免許が出始めた頃はビッグスクーターブーム全盛期でしたが、現在ではスクーター以外の選択肢も豊富というわけです。
とはいえ、やはりMTバイクに乗れないのはAT限定免許のデメリットと言わざるを得ません。
ではAT限定免許を選択するメリットは何かと言うと、免許取得にかかる費用が安いうえに教習に必要な時間も短くて済むということ(この点は次項で詳しく解説します)。
加えて複雑なクラッチ操作を覚える必要がないため、技能面でも免許取得のハードルが低いことが挙げられます。
もともと乗りたいバイクがクラッチ操作不要であれば、最短ルートでそこまでたどり着くことが可能なAT限定免許は十分に検討の価値があると言っていいでしょう。
もっと言えば、今後はバイクにも電動化の波が押し寄せて、気軽に乗れるATモデルがどんどん増える可能性もあります。
実際、小型限定普通二輪免許については、ここ10年ほどでAT限定を選ぶ人が増え、今やMT免許よりもAT限定免許の方が取得者が多いようです。
バイク免許の技能教習、学科教習の必要時間(最短教習時限数)
二輪免許の取り方は大きく分けて2つ。
- 指定教習所(合宿含む)で各種教習及び卒業検定を受け、免許センター等で学科試験を受ける
- 教習所等に通わず、免許センター等で技能試験と学科試験を受ける(一発試験)
※取得済みの免許がある場合はいずれも学科試験が免除されます。
※原付免許は学科試験のみ。詳しくは後述。
指定教習所(合宿含む)を利用する最大のメリットは、技能教習を受けることで技能試験が免除されるという点。
指定教習所(合宿含む)で受けられる教習には実技教習と学科教習の2種類があり、それぞれ各免許を取得するために必要な教習時間(最短教習時限数)が決まっています。
最短教習時限数は通いでも合宿でも変わりませんが、取得済みの免許によって変化します。
教習車種 | 取得済み免許 | 技能教習 | 学科教習 |
---|---|---|---|
大型二輪 | AT限定大型二輪免許 +普通二輪免許 or小型限定普通二輪免許 | 5 | 0 |
AT限定大型二輪免許 | 8 | 0 | |
普通二輪免許 | 12 | 0 | |
AT限定普通二輪免許 | 16 | 0 | |
小型限定普通二輪免許 | 20 | 0 | |
AT小型限定普通二輪免許 | 24 | 0 | |
普通自動車免許 | 31 | 1 | |
なし(原付のみ) | 36 | 26 | |
AT限定大型二輪 | 普通二輪免許 | 9 | 0 |
AT限定普通二輪免許 | 10 | 0 | |
小型限定普通二輪免許 | 17 | 0 | |
AT小型限定普通二輪免許 | 17 | 0 | |
普通自動車免許 | 24 | 1 | |
なし(原付のみ) | 29 | 26 | |
普通二輪 | AT限定普通二輪 +小型限定普通二輪免許 | 3 | 0 |
AT限定普通二輪 | 5 | 0 | |
小型限定普通二輪 | 5 | 0 | |
AT小型限定普通二輪 | 8 | 0 | |
普通自動車免許 | 17 | 1 | |
なし(原付のみ) | 19 | 26 | |
AT限定普通二輪 | 小型限定普通二輪 | 3 | 0 |
AT小型限定普通二輪 | 5 | 0 | |
普通自動車免許 | 13 | 1 | |
なし(原付のみ) | 15 | 26 | |
小型限定普通二輪 | AT小型限定普通二輪 | 4 | 0 |
普通自動車免許 | 10 | 1 | |
なし(原付のみ) | 12 | 26 | |
AT小型限定普通二輪 | 普通自動車免許 | 8 | 1 |
なし(原付のみ) | 9 | 26 | |
原付(試験のみ) | なし | 0 | 0 |
※ 取得済み免許の一部(大型特殊免許等)を省略してまとめています。
※ 1教習時限:50分
ちなみに二輪免許は自動車免許と異なり、「仮免許」や路上教習がありません。
教習所内ですべての技能教習を受けることになります。
普通自動車免許と二輪免許はどちらを先に取るべき?
結論から言うと、どちらを先に取得しても大幅に損をすることはありません。
確かに、普通自動車免許を取得済みであれば、どのバイク免許を取る際も学科教習は1時限と大幅に少なくなります。
となると「先に普通自動車免許を持っていないと損をするのか」と思うかもしれませんが、決してそんなことはありません。
逆に、先にいずれかの二輪免許(原付免許を除く)を取得していれば、あとから普通自動車免許を取得する際に学科教習が大幅に免除されます。
最終的にどちらも取るのであれば、順番はほとんど関係ないというわけです(連続して、あるいは同時に教習を進めたい場合は、どちらを優先した方が厳密には得なのか、事前に教習所に相談してみることをおすすめします)。
強いて言うならバイクに乗りたいと思った時が免許を取るタイミング。
先述の通りほとんどのバイク免許は16歳から取得可能なので、普通自動車免許が取れる18歳を待つより2年も早く行動範囲を広げることが可能です。
バイクに乗りたいのであれば、条例や校則、保護者等が許す限り積極的にチャレンジしたいですね。
一発試験ってどうなの?
今回は詳しく触れませんが、いわゆる「一発試験」はその難易度の高さからあまりおすすめできません。
一発試験の合格率は小型限定普通二輪免許でも10%を切ると言われており、これに合格するためには、それはそれで多大な努力が必要となります(単純な勉強や操作方法の習熟だけでなく、コースの熟知も必要)。
とにかく間違えてはならないのは、「一発試験は決して楽でもお手軽でもない」ということ。
多少時間やお金がかかっても、教習所を利用した方が“圧倒的”に楽です。
例えるなら、一発試験は防具を装備せずにプレイするモンハンのようなもの。
途中で心が折れてバイク嫌いにならないことを祈るばかりです。
費用を考えれば通いよりも合宿がお得
とはいえ教習所を利用するとお金がかかるのがネックです。
教習所の料金については地域や教習所によってかなりバラツキがあるため、詳しくはお近くの教習所のWEBサイトをチェックしてみてください。
その際、基本的に教習所通いよりも合宿免許の方が安く済むため、少しでも費用を抑えたい場合は合宿免許についてもチェックしておくといいでしょう(そのうえ旅行気分も味わえて思い出にもなるのだから実はかなりお得です)。
ただし、合宿免許はすべての教習所が実施しているわけではありません。
少し調べると合宿免許をまとめたサイトがたくさん出てくるので、それらを参考にしてほしいところ・・・ですが、ほとんどのサイトは普通自動車免許を対象にまとめられているんですよね・・・。
そんな中でも、次の2サイトは二輪免許の合宿についても比較的わかりやすくまとめられているので要チェックです。
各バイク免許で乗れる排気量帯の特徴と取得の流れ
ここから先はより具体的に、バイク免許を次の4種類に分け、各免許で乗れる排気量帯の特徴と、それぞれの免許を取得するための流れをまとめてみたいと思います。
↑クリックするとジャンプします。
1.原付免許(50cc以下)
引用元:フォトライブラリー:ビーノ – バイク・スクーター | ヤマハ発動機
まず知っておきたいのは、50ccまでの原付バイクは普通自動車免許でも運転することが可能だということ。
既に普通自動車免許を持っていれば新たに原付免許を取得する必要はありません。
普通自動車免許を持っていない場合のみ、原付免許を取得することで初めてバイク(50cc以下)を運転することが可能となります。
ちなみに原付免許にはAT限定のくくりがなく、50cc以下という縛りの中であればMTバイクも運転可能です(とはいえ完全なMTの原付バイクは、原付にも関わらず中古でもそこそこのお値段がするので、特別なこだわりがなければ早めに小型限定普通二輪免許以上の取得を検討した方が良いかもしれません)。
原付免許の取得方法は他の二輪免許と異なり、教習なしの一発勝負のみ。
といっても、受けるのは適性検査と学科試験のみで、技能試験はありません。
適性検査とは、視力、色彩識別能力、聴力、運動能力などの検査のこと。
学科試験の合格ラインは50点満点中45点以上(90%以上)、
問題文には免許試験ならではの独特の言い回しも多く出てくるので、基本的にはそれなりに勉強してから臨むことをおすすめします。
昨今は次のようにネット上でも模擬試験を受けられるため、是非有効活用しましょう。
筆記試験に合格すると、3時間程度の「原付講習」を経て免許取得となります。
原付講習とは実技講習のようなものなので、運転に適した服装でないと門前払いを食らう可能性がある点には注意が必要です。
半袖半ズボンやサンダル、ハイヒールなどは避けましょう。
なお原付講習を予約制としている地域も多いので、必要な持ち物も含めて事前にWEBなどでチェックしておきましょう。
原付免許の取得に必要な費用は地域によって若干異なりますが、当日支払うのは試験手数料+交付手数料+原付講習料の合計でおおよそ7,500円前後。
技能試験がないことも含め、かなりお手軽に取得できる免許と言えます。
加えて車両価格もお手頃・・・ではありますが、排ガス規制対応等によって製造コストは年々増加しており、需要の減少も含めて今後の見通しはあまり良くなさそうです。
既にモンキーやエイプといった趣味性の高いバイクは大きな影響を受け、価格が高騰した末に生産終了となってしまいました。
現行車種でも同じように趣味性の高いクロスカブ50などは297,000円からと良いお値段。
一方でホンダの「タクト」や「ジョルノ」、スズキの「レッツ」のような往年の原付スクーターはほとんど価格を上げずに頑張っていますが、2000年代前半までは新車で10万円を切る原付もあったことを考えると、どうしても価格帯が底上げされた印象は否めません(まぁ安かったチョイノリやトゥデイは品質も微妙でしたが)。
加えて30km/h制限や二人乗り不可、二段階右折といった縛りがある点も原付バイクの欠点として有名ですね。
こういった背景があり、実は現在では小型限定普通二輪免許で乗れる「原付二種(~125cc)」と呼ばれるクラスの方が販売台数が多くなっています。
「普通自動車免許で乗れる」というアドバンテージがある限りこのクラスが消滅することはないとは思いますが、積極的に二輪車を楽しみたいのであれば、やはり早い段階で他の免許にチャレンジしたいところ。
なお、原付(原付二種、ミニカー含む)は市町村ごとにデザインの異なる「ご当地ナンバープレート(デザインプレート)」を採用することが増えています。
近隣市町村をチェックしてみるのも面白いかもしれませんね。
2.小型限定普通二輪免許(125cc以下).
小型限定普通二輪免許では、通称「原付二種」と呼ばれる125ccまでのバイクを運転することが可能です。
このクラスから30km/h制限や二段階右折などの縛りがなくなり、二人乗りも可能となります(ただし二人乗りは免許取得から1年が経過するまで不可)。
車両自体の性能も大幅に向上し、60km/h制限の大きな道路も安心して走れるようになるため、人によっては格段に行動範囲が広くなることを実感できるはずです。
日常使いだけでなく、ワインディングを走ってみたりツーリングに出かけてみたりと、用途の幅も広がります。
免許そのものに関して言うと、このクラスでもっとも注目すべき特徴はここ10年ほどでAT限定免許を選ぶ人が急増したということ。
もともとAT車両(スクーター)が多いクラスではありますが、2010年3月の「ホンダ PCX」のデビュー以降、一段と日常の足としてのパフォーマンスの高さが評価されている印象を受けます。
今や原付二種は原付一種(50cc以下)よりも販売台数が多いという事実もありますし、AT小型限定普通二輪免許は新時代のスタンダードと言っても過言ではないかもしれません。
なお、AT限定なら最短教習時限数は次の通り。
- 免許なし:技能教習10時限+学科教習26時限+卒業検定+学科試験
- 普通自動車免許あり:技能教習8時限+学科教習1時限+卒業検定
普通自動車免許がない場合も、合宿免許であれば最短4泊5日程度で取れるので要チェックです。
ちなみに、原付二種のうち50cc超~90cc以下には黄色、90㏄超~125cc以下にはピンク色のナンバープレートが与えられますが、その他は軽自動車税がわずかに400円異なるのみ(黄色ナンバーは2,000円、ピンクナンバーは2,400円)。
記事執筆時点では国内現行車種で黄色ナンバーに該当する車種はなく、原付二種はほとんどピンクナンバーというのが現状です。
いずれも50ccクラスと同じくご当地ナンバープレートの採用が増えていますが、バイク購入時に申し出れば普通のナンバープレートも選択できるようです。
とにかく要注目の排気量区分&免許なので、別記事にも詳しくまとめています↓
3.普通二輪免許(400cc以下)
お次は普通二輪免許、通称「中免」と呼ばれるもっともスタンダードなバイク免許について見てみましょう。
まず、普通二輪免許で乗れるバイクは、大きく次の3つのクラスに分けて考えることが可能です。
- 150ccクラス
- 250㏄クラス
- 400㏄クラス
このうち150㏄クラスは法的な扱いは250ccクラスと同一ですが、インドをはじめとする海外での需要が高く、その影響で国内でもスクーターを中心にラインナップが増えつつあります。
125ccクラスと比べて特別パワフルなわけではありませんが、「いざというときに高速道路に乗れる」という点はメリット。
250ccクラスと比べた場合は車両価格が低い点が魅力的です。
次に250ccクラスですが、こちらは車検の要らない最大排気量として、古くから国内で高い人気を誇ります。
このクラスになると街中を走るには十分なパワーがあり、それなりに距離を走るツーリングにもチャレンジしやすくなります。
これまでレーサーレプリカブーム、ストリートトラッカーブーム、ビッグスクーターブームなど数々のブームがありましたが、近年のトレンドはフルカウルスポーツ。
CBR250RRやYZF-R25、Ninja250など、本格的なスポーツモデルが人気を集めています。
400ccクラスは普通二輪免許で乗れる最大排気量。
ここから先は車検を受ける必要が出てきますが、250ccクラスと比べるとさらにパワーに余裕が出てきます。
CB400SFはもちろん、SR400のように走行性能を重視しない車種であっても、街中で大きな不満を感じるようなことはないでしょう。
車検があるという点で大型と比べられて中途半端な評価をされることも多いですが、実際はパワーと取りまわしのバランスに非常に優れています。
いずれにしろ、普通二輪免許があると一気に趣味性の高いバイクを選べるようになります。
バイクを趣味にしたいならここまでは早めに取っておきたいですね。
免許取得に関しては、やはり一発試験は合格率が低くおすすめできません。
普通自動車免許を持っていれば17時限の技能教習と1時限の学科教習で卒業できるので、週末だけでも1か月ちょっとしかかかりません。
とはいえ、バイクの免許は自動車以上に技能の取得が重要なので、通いなら習ったことを忘れないよう、できるだけ間を空けずに通うようにしたいですね。
所有済みの免許がない場合は技能19時限、学科26時限の受講が必要なのでまとまった時間が作れるのであれば合宿免許で一気に取ってしまうのもアリ。
なお、先に小型限定普通二輪免許を取得していれば技能教習の時間が2時限少なくなるうえに操作が簡単な125ccの車両で教習を受けられるため、多少楽になります。
とはいえ、普通二輪免許まではそこまで難易度が高くないので、よほど非力だったり身長が低いなどの問題がない限り、この段階ではステップを踏む必要性はほとんどありません。
4.大型二輪免許(400cc超)
引用元:CB1100 | Honda
大型二輪免許を取れば排気量の上限はなくなり、実質すべてのバイクに乗れるようになります。
しかし排気量が大きくなると車重も大きくなり、それに伴って扱いも難しくなる点には注意が必要です。
一口に大型バイクといっても排気量や車格はピンキリですが、いずれも400ccまでと比べれば非走行時の取り回しも難しい傾向にあり、中には「駐車場から出すのが面倒で全然乗らなくなってしまった」なんていう話も聞きます。
実際、管理人の周りにも「大型免許を持っているけど一周回って250ccに落ち着いた」なんて言うライダーもいますし。
大型バイクならすべてに優れるというわけではなく、少なくとも取り回しや気軽に乗れるという点では小排気量車に劣るということは覚えておきたいですね(125ccや250ccにセカンドバイクとしての需要があるのもこのため)。
とはいえ、それを補って余りある性能の高さはやはり魅力的。
ジャンルにもよりますが、一般的には排気量が大きくなればなるほどゆとりのある走行が可能となり、超長距離ツーリングも苦ではなくなります。
免許の取得に関しては、法的に他の区分と異なるような特別なルールはありませんが、実際は「先に普通二輪免許を取っておかないとダメ」という教習所(地域)も少なくありません。
それだけ、大型バイクの取り扱いは難しいということですね。
確かにこれまでバイクに触ったこともない人が突然200kgを超えるような大型バイクにまたがるとしたら・・・
想像するだけでちょっと怖いかも。
教える側の気持ちを考えると納得です。
2段階で免許を取得する必要があるというのは、取る側からすると二度手間っぽくてやや面倒に感じられるかもしれませんが、実はそうでもありません。
というのも、教習所で大型二輪免許を取るために必要な技能教習は、免許なしで36時限、普通自動車免許ありで31時限ですが、普通二輪免許を取得していれば12時限と一気に少なくなります。
実は普通二輪免許→大型二輪免許とステップアップした方がトータルの教習時間が少なくて済むんです(普通二輪免許を取る時点で必要な教習時間は免許なしで19時限、普通自動車免許ありで17時限。つまり、もともと免許なしの場合はいきなり大型だと36時限必要なのに、普通二輪→大型二輪だと19+12=31時限と5時限も少なく済む。同様に普通自動車免許ありの場合は2時限短縮可能。普通二輪免許の前に小型限定普通二輪免許を取得しておくと、それぞれさらに2時限の短縮が可能)。
しかも「大型二輪免許19時限分以上の技能教習を400ccの教習車で進められる」という見方もできます。
当然750ccの教習車より400ccの教習車の方が扱いが楽ですから、免許取得の(というか教習を進める)難易度は大きく下がります。
段階を踏んでも最終的には大型で12時限の技能教習を受けることになるので、技能不足に陥る心配もありません。
費用の面では最初から大型二輪を取りに行った方がわずかにお得ですが、堅実にステップアップするという面でも、普通二輪免許から取得するのは意外とおすすめなんです。
もう一つ忘れてはならないのが、冒頭に触れたAT限定大型二輪免許の上限排気量の撤廃。
これにより2019年12月以降はゴールドウイングをはじめとする大排気量車のDCT(Dual Clutch Transmission)搭載モデルをAT限定免許で運転することが可能となりました。
DCT搭載モデルはそのモデルの最上位グレードに位置することも多く、こうなるとAT限定免許だからと馬鹿にされる時代は終わりを迎えたと言っても過言ではないでしょう。
昨今は自動車においても高性能スポーツカー(スーパーカー)はATを採用するのが当たり前ですし、時代の流れを感じますね・・・。
ちなみにAT限定大型二輪免許は大型バイクも対象となりますが、400cc以下、125cc以下であってもMTバイクを運転することはできません。
ちょっとだけ雑学。
この問題、普通二輪免許があれば400cc以下のMTバイクに乗れるので、一見すると新たに普通二輪免許を取得すれば良さそうですよね。
となるとどの程度教習時間が短縮されるのか気になりますが、実はこれには答えがありません。
というのも、AT限定免許所持の状態からMTバイクに乗れるようにするために必要なのは「限定解除」が基本。
AT限定大型二輪免許の限定解除をした状態は大型二輪免許となるので、AT限定大型二輪免許→普通二輪免許という流れはあり得ないわけです。
ちなみにAT限定大型二輪免許の限定解除に必要な技能教習はわずか8時限。
正直たった8時限で大型MTバイクを扱いこなせるようになるのかやや疑問ですが、その他の時間をATバイクで進められるという点はメリット・・・かも?
もちろん8時限でMTバイクの運転を習熟して卒業できるだけのセンスがあれば、ですが。
いや、そのセンスがあればATバイクで教習を進められるのもメリットとは言えないな・・・。
まとめ│二輪免許は乗りたいバイクに合わせて効率よく取得するべし!
今回のポイントをまとめると次の通り。
- 一発試験は楽じゃない
- 可能なら教習所通いより合宿免許の方がおすすめ
- 所有済みの免許で教習時間は大きく変わる
- 普通免許より先に二輪免許を取っても損はしない
- 近年は小型限定普通二輪の方が原付より人気
- 特にAT小型限定普通二輪の人気が高い
- 普通二輪免許で趣味性の高いバイクの選択肢が増える
- 大型バイクは取り回しが億劫にならないか要チェック
- 大型二輪を目指す場合は普通二輪経由の方が楽
- AT限定大型二輪免許で大排気量DCT車に乗れる
重要なのは「乗りたいバイクに乗ること」と「乗りたいバイクに乗れる免許を取ること」。
まずは乗りたいバイクが明確になれば最短距離で突き進むことが可能です。
ATだろうが小排気量だろうが、自分が良いと思ったバイクが最良です。
このとき他のバイクと比較検討するのは全然アリですが、決して他人とは比べないこと。
排気量やスペックで優劣を決めたらキリがありませんし、少なくともAT限定免許だからと馬鹿にされるのは明らかに時代錯誤なので、MT免許ってだけでマウントを取ろうとしてくる人がいたら無視してOK。
「あなたにとってそのバイクが魅力的かどうか、あなたが乗りたいかどうか」で選ぶべきで、特に見た目に関しては“自分の”感性(直感・好み)で選ぶのがおすすめ。
とはいえ国内モデルに絞っても数が多いので、一覧系の過去記事をまとめてみました。
是非参考にしてみてください↓
欲しいバイクが決まればこっちのもの。
必要な免許の取得を最短距離で目指す。これだけです。
もし漠然と「バイクに乗りたい」という気持ちだけが強いのであれば、とりあえず普通二輪免許を目指すのが無難ですね。
もちろん、更に距離を縮めたいなら合宿免許もおすすめです。
あなたも二輪免許をゲットして、楽しいバイクライフをスタートさせちゃいましょう♪