1000cc!現行リッターSS(スーパースポーツ)バイクの比較!2019

タイプ別バイク比較

「リッターSS(スーパースポーツ)」・・・スポーツ走行に興味があれば、1度は憧れたことがあるのではないでしょうか。

リッターSSといったら各社の「ハイエンドモデル」、「フラッグシップモデル」という位置付けなのが一般的。

複雑なシステムや電子制御も山盛りで、それだけに他のバイクとはちょっと違うというか、初心者にはやや近寄りがたい雰囲気も感じられます。

「次元が高すぎて違いがよくわからない」という人も多いかもしれませんね。

 

そこで、今回はバイク初心者にも現行リッターSSの魅力が伝わるよう、思い切って国内4大メーカーが誇る次の現行リッターSSについてまとめてみました。

  • ホンダ CBR1000RR/SP
  • スズキ GSX-R1000R
  • ヤマハ YZF-R1/R1M
  • カワサキ Ninja ZX-10R/-10R SE/-10RR

このうち国内正規ディーラーで購入できるのはホンダとスズキのモデルだけですが、ヤマハのモデルは「プレストコーポレーション」から、カワサキのモデルは「ブライト」から、逆輸入車として入手することが可能です。

トータルの優劣についてはあまり言及しませんが、それぞれの個性が伝わるようにまとめたつもりですので、購入を検討する際は是非比較検討の材料としてください。

 

スーパースポーツとは? 現行リッターSSバイクのスペック一覧と比較

ヤマハ YZF-R1M 07

引用元:2019 Yamaha YZF-R1M Supersport Motorcycle – Model Home

リッターSSの“リッター”とは、排気量がおよそ「1,000㏄=1リットル」であることを表します。

スーパースポーツとは、簡単に言えば「レースでの使用も視野に入れてスポーツ性能を追求した市販車」のこと。

同じく大パワーを誇る「メガスポーツ」や、高い走行性能を誇る「レーサーレプリカ」との違いはページ下部にまとめておきます。

 

まずはスペックを一覧で比較してみましょう。

外観ホンダ CBR 1000RRホンダ CBR 1000RR SPホンダ CBR1000RR-R 240-1スズキ GSX-R1000RNinja ZX-10R KRT EDITION 240Ninja ZX-10R SE 240Ninja ZX-10RR 240ヤマハ YZF-R1(逆輸入)ヤマハ YZF-R1M(逆輸入)
メーカー及び車名ホンダ CBR 1000RRホンダ CBR 1000RR SPホンダ CBR 1000RR-R SP(未確定)スズキ GSX-R1000Rカワサキ Ninja ZX-10R(2019)カワサキ Ninja ZX-10R SE(2019)カワサキ Ninja ZX-10RR(2019)ヤマハ YZF-R1(逆輸入)ヤマハ YZF-R1M(逆輸入)
最高出力141[192]/13,000
(kW[PS]/rpm)
141[192]/13,000
(kW[PS]/rpm)
160[217.5]/14,500
(kW[PS]/rpm)
145[197]/13,200
(kW[PS]/rpm)
149[203]/13,500
(kW[PS]/rpm)
149[203]/13,500
(kW[PS]/rpm)
150.0[204]/13,500
(kW[PS]/rpm)
147.1[200]/13,500
(kW[PS]/rpm)
147.1[200]/13,500
(kW[PS]/rpm)
最大トルク114[11.6]/11,000
(N・m[kgf・m]/rpm)
114[11.6]/11,000
(N・m[kgf・m]/rpm)
113[11.5]/12,500
(N・m[kgf・m]/rpm)
117[11.9]/10,800
(N・m[kgf・m]/rpm)
114[11.6]/11,200
(N・m[kgf・m]/rpm)
114[11.6]/11,200
(N・m[kgf・m]/rpm)
115[11.7]/11,200
(N・m[kgf・m]/rpm)
112.4[11.5]/11,500
(N・m[kgf・m]/rpm)
112.4[11.5]/11,500
(N・m[kgf・m]/rpm)
車両重量196(kg)195(kg)201.3(kg)203(kg)206(kg)208(kg)206(kg)200(kg)201(kg)
全長×全幅×全高2,065×720×1,125(mm)2,065×720×1,125(mm)2,099×762.4×1,136(mm)2,075×705×1,145(mm)2,085×740×1,145(mm)2,085×740×1,145(mm)2,085×740×1,145(mm)2,055×690×1,150(mm)2,055×690×1,150(mm)
軸間距離1,405(mm)1,405(mm)1,455(mm)1,420(mm)1,440(mm)1,440(mm)1,440(mm)1,405(mm)1,405(mm)
シート高820(mm)820(mm)831(mm)825(mm)835(mm)835(mm)835(mm)855(mm)860(mm)
定地燃費値
(60km/h 2名乗車時)
25.0(km/L)25.0(km/L)(1名乗車時)-22.1(km/L)21.0(km/L)21.0(km/L)21.0(km/L)(1名乗車時)--
燃料タンク容量16(L)16(L)16.1(L)16(L)17(L)17(L)17(L)17(L)17(L)
メーカー希望小売価格2,084,500~(円)2,541,000~(円)-2,156,000~(円)2,101,000~(円)2,706,000~(円)2,532,600~(円)2,268,000~(円)(プレストコーポレーション3,078,000~(円)(プレストコーポレーション

いずれも最高出力は200PS前後、最大トルクは11.5kgf・m前後、これに対して車重は200kg程度と、他ジャンルのバイクと比べるとずば抜けて高いスペックを持っています。

サーキット走行やレースでの使用を想定されて開発されており、4輪車に例えれば「日産 GT-R」や「ホンダ NSX」のような存在。

価格も200万円オーバーとぶっ飛んでいますが・・・。

でもモノは考えようで、4輪で考えたら200万円で買えるスーパーカーなんてないんですよね。

最近流行りの軽ハイトールワゴンの一番高いグレードが200万円前後といったところ。

しかし、2輪であれば各メーカーが誇るハイエンドマシンが手に入るわけです。

現行の「日産 GT-R」や「ホンダ NSX」などを所有するよりよっぽどお得感があると思いませんか?え?思わない?

 

リッターSSは高度な電子制御デバイス等が満載なことでも知られています。

そこで、今主流の各システム・装備についてざっくりと確認できる一覧表を作成してみました↓

メーカーメーカー&車名ABS(アンチロックブレーキシステム)電子制御スロットル(スロットルバイワイヤーなど)IMU(車体姿勢推定システム)TCS(トラクションコントロールシステム)電子制御サスペンション(ERSなど)クイックシフター(QSSなど)新車価格
ホンダCBR 1000RR××2,046,600~(円)
ホンダCBR 1000RR SP2,494,800~(円)
ホンダCBR 1000RR SP23,056,400~(円)
スズキGSX-R1000R2,041,200~(円)
カワサキNinja ZX-10R(2019)×2,208,600~(円)
カワサキNinja ZX-10R SE(2019)2,856,600~(円)
カワサキNinja ZX-10RR(2019)×2,532,600~(円)
ヤマハYZF-R1×2,268,000~(円)
ヤマハYZF-R1M3,078,000~(円)

※ヤマハのモデルは「プレストコーポレーション」、カワサキのモデルは「ブライト」の参考価格です。

これらの詳細に加え、他にどんな特徴があるのか、またグレードによってどんな違いがあるのか、各マシンを少しだけ詳しく見ていきたいと思います。

 

ホンダのリッターSS「CBR1000RR」

ホンダ CBR1000RR 06

引用元:デザイン│CBR1000RR│Honda

まずはホンダの「CBR1000RR」。

国内向けのバリエーションは次の3種類です。

  • CBR1000RR
  • CBR1000RR SP
  • CBR1000RR SP2

 

現行のCBR1000RRがデビューしたのは2017年3月17日。

先代と比べると軽量化とパワーアップは果たしましたが、ベースとなるフレームはエンジンに変更はありませんでした。

それでも全体の68%にも及びパーツの見直しがなされたとのこと。

200kgを切る軽量さはクラス随一。

加えて電子制御はかなり進化し、車体姿勢推定システム「IMU(Inertial Measurement Unit)」からの情報は「ABS」や「Hondaセレクタブルトルクコントロール」と組み合わせられ、走行シチュエーションに応じたフィードバックを得ることが可能です。

「Hondaセレクタブルトルクコントロール」とは後輪のスリップや前輪の浮き上がりを緩和するシステムで、ライダーの好みに応じて9段階のレベル切り替えとOFFが可能。

 

SP/SP2とスタンダードなCBR1000RRの主な違いは次の通り。

モデル足回り(フロント)足回り(リア)フロントブレーキフューエルタンク軽量リチウムイオンバッテリークイックシフター
CBR 1000RRφ43mm倒立 テレスコピック式ビッグ・ピストン・フロントフォークユニットプロリンクサスペンション+バランス・フリー・リアクッション対向ピストン4ポットキャリパー鋼板製オプションオプション
CBR 1000RR SPφ43mm倒立フォーク電子制御サスペンション電子制御サスペンションブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパーチタン製標準装備標準装備
CBR 1000RR SP2(受注終了)φ43mm倒立フォーク電子制御サスペンション電子制御サスペンションブレンボ製のモノブロック4ピストンキャリパーチタン製標準装備標準装備

 

ホンダ CBR1000RR SP 電子制御サスペンション オーリンズスマートECシステム

引用元:シャシー│走行性能│CBR1000RR│Honda

SP/SP2の足回りには、前後ともに「ÖHLINS(オーリンズ) Smart ECシステム」という「電子制御サスペンションを採用しています。

※フロント:φ43mm倒立フォーク NIX30 EC、リア:TTX36 EC、コンピューター:サスペンションコントロールユニット〈SCU〉

先述のIMUからの情報を基に走行状況に合わせて圧側、伸び側の減衰力を設定することで、サーキットから市街地までフレキシブルに対応し、「走行シチュエーションに応じた操る楽しさを追求している」とのこと。

 

ホンダ CBR1000RR SP ブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパー

引用元:シャシー│走行性能│CBR1000RR│Honda

ブレーキはいずれもダブルディスク。

先代に引き続き、SP/SP2は「ブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパー」を採用しています。

 

ホンダ CBR1000RR SP チタン製フューエルタンク

引用元:主要装備│CBR1000RR│Honda

SP/SP2は更なる軽量化に力が入れられており、「チタン製フューエルタンク」の採用により約1,300gの軽量化、軽量の「リチウムイオンバッテリー」の採用で約2,000gもの軽量化を達成しています(リチウムイオンバッテリーはCBR1000RRにもオプション装備が可能)

 

ホンダ CBR1000RR SP クイックシフター

引用元:パワーユニット│走行性能│CBR1000RR│Honda

またSP/SP2は「クイックシフター」を標準装備。

クイックシフターとは、簡単に言えばシフトチェンジの際にクラッチ操作とスロットル操作が不要になる装備のこと。

もちろん自動で“ブリッピング”もしてくれます。

クラッチ操作とスロットル操作が不要ということは、それだけブレーキ操作に集中できるということで、特にサーキット走行時、レース時に得られる恩恵は計り知れません。

 

SP2は全世界で500台、日本国内では35台限定発売という、市販車としてはちょっとレアな車両です(ちなみに国内の購入希望者は1,000人を超えたんだとか)

SP2の特徴は次の通り。

レーシングマシンへのモディファイを前提に、シリンダーヘッド、ピストンなどを専用設計したほか、より軽量なマルケジーニ製の前後ホイールを採用するなど、サーキット走行やレース使用時のポテンシャル向上を図った特別な仕様

引用元:Honda│大型スーパースポーツモデル「CBR1000RR SP2」を発売

ホンダ CBR1000RR SP2 専用マルケジーニ製ホイール

引用元:CBR1000RR SP2│CBR1000RR│Honda

商談受付期間は2017年6月5日から同26日と、もうとっくに受注は終了していますが、一応現行CBR1000RRのいちバリエーションということで併記。

 

CBR1000RRの次期型のウワサ・・・

ホンダ CBR1000RR 01

引用元:デザイン│CBR1000RR│Honda

現行CBR1000RR(SC77型)は5代目。

2017年に日本で発売されたばかりですが、フレームやエンジンは3代目、4代目のSC59型をベースに改良したものに留まります。

そんなCBR1000RRですが、2020年には新型が発売される見通しと一部メディアで報じられています。

発売時期も詳細スペックもまだ全然わかっていませんが、フレームからエンジンまで新設計となる可能性が高いみたい。

SC59型が日本で発売されたのは2008年7月ですから、2020年にフルモデルチェンジが実施されれば実に12年ぶりの完全新作となるかたちです。

期待が高まりますね。

 

2020年発売予定の新型!「ホンダ CBR1000RR-R」の情報まとめ!

CBR1000RR-R FIREBLADE 04

引用元:CBR1000RR-R | Honda

2019年11月5日、ついに時期型「CBR1000RR-R」が発表されました!

R何個つける気なんですか(笑

イタリア・ミラノで開催されるEICMA 2019にてお披露目されます。

東京モーターショーでワールドプレミアとならないところに時代が感じられて悲しくもありますが、日本国内でも販売される予定とのこと!

今回もSPモデルが用意されるようです。

SPはフロントにオーリンズの電子制御式フロントフォークとブレンボを搭載。

クイックシフターはまたSPのみ標準装備される模様。

CBR1000RR-R FIREBLADE 03

引用元:CBR1000RR-R | Honda

既出の情報通り、CBR1000RR-Rには新型のフレームと新開発エンジンが搭載されます。

最高出力は160kW[217.5PS]/14,500rpmとなる見込み。

従来モデルが141kW[192PS]/13,000rpmですから、かなりのパワーアップですね。

後述の「Ninja ZX-10RR」(150kW[204PS]/13,500rpm)と比べても6~7%も高い出力です。

一応ドゥカティの「PANIGALE V4R」などは162kW[221PS]/15,250rpmと更に高い出力を誇りますが、ここまで来るともはや大きな差はないように感じられますね。

もちろん国内SSモデルでは断トツのスペック。

 

ただ噂にあった可変バルタイ(VTEC)の搭載は見送られたようです。

とはいえホンダがライバルモデルへの勝算なしに新型を出すとは思えないので、恐らくはVTECなしでも十分と考えた結果なんでしょう。

しかし今後SP2が発表されてそちらには・・・なんてことはないかな・・・。

 

CBR1000RR-R FIREBLADE 05

引用元:CBR1000RR-R | Honda

機能美あふれるエアロカウルを装着。

二輪においてはバイクを傾けないと高速でコーナーを抜けることができないため、レーシングカーのような派手なウイングをつけることはできません。

しかし、このように空洞の中にフィンを設けることで、車体を傾けるときに抵抗になりにくいんですって。

また鋭く小ぶりなライトがカウルに隠れるように配置されており、よりレーシーな印象を受けますね。

 

CBR1000RR-R FIREBLADE

引用元:Honda | EICMA 2019(ミラノショー)出展概要

ブラックに統一されたカラーも用意される模様。

こんなのが後ろから迫ってきたら恐怖ですね(笑

 

スズキのリッターSS「GSX-R1000R」

スズキ GSX-R1000R 04

引用元:壁紙ダウンロード│スズキ バイク

「GSX-R1000R」は今回取り上げた4モデルの中では唯一の単眼ヘッドライトを有するモデル。

2眼ヘッドライトのライバルたちと比べるとシャープで“マシン感”が強いデザインと言えそうです。

車体やエンジンはMotoGPマシンであるGSX-RRで得られた技術がふんだんにフィードバックされたもの。

ちなみに「GSX-R1000」という兄弟モデルもありますが、現在国内で正規販売されているのはこのGSX-R1000Rだけ。

 

スズキ GSX-R1000R モーショントラックTCS(トラクションコントロールシステム)

引用元:GSX-R1000R ABS│スズキ バイク

10段階のレベル調節が可能な「モーショントラックTCS(トラクションコントロールシステム)」は、前後輪の車輪速センサー、スロットルポジションセンサー、クランクポジションセンサー、ギヤポジションセンサーおよび車両の動きや姿勢の情報を0.004秒毎に受け取り、リヤタイヤのスピンを検出した際は速やかにエンジン出力を低減することでスリップを防止します。

足回りは「SHOWA BFF®(Balance Free Frontfork│バランス・フリー・フロントフォーク)」と「SHOWA BFRC® lite(Balance Free Rear Cushion lite)」を搭載。

他にも「クイックシフター(双方向クイックシフトシステム)」や発進時のエンジン回転の落ち込みを緩和する「ローRPMアシスト」、レースにおける効率的なスタートの加速をサポートする「ローンチコントロールシステム」といったリッターSSの上位グレードらしい豪華装備が満載です。

 

スズキ GSX-R1000R スズキレーシングバリアブルバルブタイミング(SR-VVT)

引用元:GSX-R1000R ABS│スズキ バイク

中でも目玉なのは、MotoGPで開発された技術をフィードバックした「スズキレーシングバリアブルバルブタイミング(VVT)」という“可変バルブシステム”。

高回転時に画像の12個のボールが遠心力で外側に移動することでバルブタイミングを遅らせる仕組みで、高回転域でのパワーアップを実現しています。

遠心力でボールが移動すると聞くとその切り替わる瞬間が目立ってギクシャクしそうなものですが、実際は限りなくシームレス(レースシーンで生まれた技術ですから、そんな弱点あるわけないですね)

むしろ構造がシンプルな分、軽量で信頼性も高い仕組みと言えます。

 

これだけの装備や技術が詰め込まれているにもかかわらず、今回紹介する現行リッターSSの中では最安値なのですから、GSX-R1000Rは間違いなくお買い得な一台です。

その操縦性の高さもネット上の様々なレビューで言及されていますね。

 

カワサキのリッターSS「Ninja ZX-10R」

カワサキ Ninja ZX-10R 21

引用元:2019 NINJA®ZX™-10R ABS KRT エディション NINJA®オートバイby Kawasaki

お次は現行リッターSSにおいて世界最速との呼び声も高い、カワサキが誇るSS「ZX-10R」。

市販車ベースで争われるスーパーバイク世界選手権(WSB)で、このZX-10Rをベースとするマシンを駆るカワサキは、2015年から前人未到の5連覇を達成しています。

そんなZX-10Rが2019年から国内でも正規販売されています。

特筆するほどのスペックの向上はなく、見た目も2018年モデルとほぼ変わりませんが、これは「勝つために必要なことだけをやる」というカワサキの方針に従ったもの。

 

Ninja ZX-10R KRT EDITION

引用元:Ninja ZX-10R KRT EDITION・Ninja ZX-10R SE・Ninja ZX-10RR | 株式会社カワサキモータースジャパン

ZX-10Rはもともと高いポテンシャルを持つマシンです。

加えて次の3種類のパワーモードからエンジン特性を設定することが可能。

  • Full(100%)
  • Middle(約80%)
  • Low(約60%)

上手く使えばどのシーンでもギクシャクすることなく走行できます。

 

足回りにはかなり力を入れていて、フロントフォークとリヤサスペンションはショーワとの共同開発された「バランスフリー構造」を採用したもの。

これにより接地感、安定性、乗り心地を大幅に向上させています。

フロントブレーキには「ブレンボ製モノブロックキャリパー」を装着し、ライバルのベースグレードと比較してもかなり豪華な装備に感じられます。

ちなみに2019年モデルからはZX-10Rにも「クイックシフター」が標準装備されています。

 

Ninja ZX-10R SE

引用元:Ninja ZX-10R KRT EDITION・Ninja ZX-10R SE・Ninja ZX-10RR | 株式会社カワサキモータースジャパン

ZX-10R SE(以下SE)は、いわばZX-10Rの上位グレード。

SE最大の目玉は「電子制御サスペンション(KECS│Kawasaki Electronic Control Suspension│カワサキ・エレクトロニック・コントロール・サスペンション)」を搭載していること。

車速やサスペンションのストロークスピードに合わせて自動で減衰力を調整することが可能で、その味付けはマニュアル、ロード、トラックの3種類から選択が可能。

街乗りからスポーツ走行まで幅広いシーンで扱いやすくなっています。

カワサキ Ninja ZX-10R SE 12

引用元:2018 NINJA®ZX™-10R SE NINJA® Motorcycleby Kawasaki

 

ちなみに前後サスペンションのストローク量やストロークスピードを検知する「ストロークセンサー」は、量産車としては初めての搭載(前後サスペンションに内蔵)

後述のZX-10RRとは異なり、より快適性を追求したベクトルに進化したモデルと言えそうですね。

 

また、SEは「デュアルディレクションKQS(カワサキクイックシフター)」を搭載しており、クラッチ操作なしでシフトアップとシフトダウンが可能。

これにより、サーキット走行時、レース時はブレーキ操作に集中できるというメリットが得られます。

 

ホイールは「マルケジーニ製専用アルミ鍛造ホイール」を採用。

この専用ホイールはハブ部分に重量を集中させる設計で慣性モーメントの低減を狙っており、単純な軽量化以上の効果が期待できます。

 

Ninja ZX-10RR

引用元:Ninja ZX-10R KRT EDITION・Ninja ZX-10R SE・Ninja ZX-10RR | 株式会社カワサキモータースジャパン

ZX-10RRは更に細部に手を加えることでパフォーマンスを向上させています。

例えば、エンジン内部のタペットには「DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティング」が施され、チューニングアップ時の耐久性向上とフリクションロスの低減が図られています。

クランクケースの高剛性化によって信頼性の向上と更なる高出力化にも対応。

更にZX-10RRのラインナップはシングルシートのみ。

一人乗り専用となったことでサスペンションもサーキット走行を想定した専用セッティングに変更されています。

ホイールはSEと同じくマルケジーニ製専用アルミ鍛造ホイールを装備し、タイヤはピレリの「ディアブロ・スーパーコルサSP」を採用。

そのまま存分にレースを楽しめるタイヤです。

もちろんクイックシフターも完備。

まさにサーキットでの速さを追求した1台です。

 

ヤマハのリッターSS「YZF-R1」

ヤマハ YZF-R1 02

引用元:2019 Yamaha YZF-R1 Supersport Motorcycle – Model Home

ヤマハの「YZF-R1」も国内正規販売はありません。

その外観はめちゃくちゃ独特ですよね。

デザインのコンセプトは「The Speed Racer」。

バイクに詳しくない人でも、YZF-R1だけはパッと見で「こいつはヤバい(速い)やつだ」って感じるはず。

 

ヘッドライトがないかのようなそのデザインは、MotoGPマシンの「YZR-M1」↓を意識したもの。

ヤマハ YZR-M1(2017)

YZR-M1(2017) 引用元:YZR-M1│東京モーターショー2017 – イベント│ヤマハ発動機株式会社

 

むしろ純粋なカッコ良さなら「YZF-R1の方が上」と感じる人も多いはず。

鋭い“目”のように見えるライン状のLEDライトはポジションライトの役割を持っていて、本当のヘッドライトはこの位置↓

ヤマハ YZF-R1 13

引用元:2019 Yamaha YZF-R1 Supersport Motorcycle – Model Home

ロービーム時は片側のみで、ハイビーム時に両方点灯する仕様です。

 

最高出力200PSを超えるエンジンは、二輪市販車としては世界で初めて「FSチタンコンロッド」を搭載し、軽量化によりパワーロスを低減しています。

FSとはFracture Split、破断分割式のコンロッドであることを表しています。

通常コンロッドは小端部、大端部の二つを別々に作りますが、FS式の場合は一つの部品として作ってから、それを“破断分割”して二つに分けて使います。

こうすることで、一体となった際の精度が向上するのだとか。

ヤマハ YZF-R1 破断分割式コンロッド

引用元:破断分割式 – ヤマハ バイク ブログ│ヤマハ発動機株式会社

 

これ以外にも同じく“二輪市販車初”の「マグネシウム鋳造ホイール」を採用しているほか、「アルミ製燃料タンク」や「軽量アシスト&スリッパークラッチ」などによって、総重量は200kgジャストまでダイエット(YZF-R1)。

 

今やリッターSSでは標準装備となりつつある「IMU(Inertial Measurement Unit)」を二輪市販車として世界で初めて搭載したのもこのYZF-R1。

こうやって見ると“初めてづくし”なんですよね。

既出ですが、IMUとはピッチ方向・ロール方向・ヨー方向の動きを検出する「ジャイロセンサー」と、前後方向・上下方向・左右方向の加速度を検出する「Gセンサー」によって車体の動き(後輪の横すべりや前後荷重、バンク角など)を検出するシステムです。

この検出された情報は瞬時に「TCS(Traction Control System│トラクションコントロールシステム)」や「ERS(Electronic Racing Suspension│電子制御サスペンション)」などの制御デバイス(YRC(Yamaha Ride Control│ヤマハライドコントロール))に送信され、車体を最適な状態に保つために有効活用されます。

他にも発進時にホイールスピンやウィリーを抑えることで俊敏なスタートダッシュをサポートする「LCS(Launch control system)」や加速時の前輪の浮き上がりを駆動力により制御し加速ロスを低減する「LIF(Lift control system)」、後輪の横滑り時に駆動力を制御する「SCS(Slide control system)」など、様々な電子制御技術がてんこ盛り。

YZF-R1/R1Mは、まさにリッターSSクラスにおいて電子制御の先駆けとなった1台と言えます。

 

ヤマハ YZF-R1M 09

引用元:2019 Yamaha YZF-R1M Supersport Motorcycle – Model Home

YZF-R1Mは更にレーシーなモデル。

足回りには前後共にオーリンズ製の「電子制御式サスペンション」を採用しており、これにより走行状況に合わせた減衰力の自動調整が可能に。

リアタイヤもR1の「190/55ZR17」から、R1Mは「200/55ZR17」と大型化。

これに伴ってシート高は5mmほど高くなっています。

 

ヤマハ YZF-R1M 26

引用元:2019 Yamaha YZF-R1M Supersport Motorcycle – Model Home

外装は「専用カーボンカウル」を採用しており、電子制御式サスペンションの採用やリアタイヤの大型化をしたにもかかわらず、重量増をわずか1kgに抑えているのはすごいですね(R1:200kg→R1M:201kg)。

カーボンカウルにより見た目もよりレーシーなものに進化。

 

ヤマハ YZF-R1M 23

引用元:2019 Yamaha YZF-R1M Supersport Motorcycle – Model Home

またR1Mは回転数やギアポジション、燃料消費や車速、ABSやTCSなどの動作を記録できる「CCU(コミュニケーションコントロールユニット)」を標準装備しています。

これによって、車両状況やログのチェックの他、連動したスマホ上でモード設定やサス設定まで行うことが可能なんです。

こうやって見てみると、なんだか4輪より先に「サイバーフォーミュラ」の世界がやってきそう・・・。

 

スーパースポーツとメガスポーツの違い

スズキ 隼 05

引用元:壁紙ダウンロード│スズキ バイク

メガスポーツといえば、スズキの「隼」や、カワサキの「ZX-14R(輸入車)」が有名どころ。

メガスポーツとは、SSとツアラーの間に位置する「スポーツツアラー」のうち、特に大出力を誇るバイクを指すジャンル。

現行車種では「カワサキ Ninja H2シリーズ」も該当しそう。

これらのメガスポーツはSSに匹敵する(あるいはSSを上回る)エンジン性能を誇りますが、コーナリング性能より最高速や直進安定性などが重視されており、スポーツ性と快適性を高い次元で両立しているのが特徴です。

ちなみにメガスポーツと同じニュアンスで「メガツアラー」という呼び方が用いられることもありますが、例えば「ヤマハ FJR1300」などの“よりツアラー要素の強いバイク”をメガツアラーと呼び分けることもあります。先のH2シリーズはどちらかというとメガツアラーかも。逆にFJR1300のことをメガスポーツとはあまり呼ばないですね。ややこしい。

 

これに対し、SSは純粋にスポーツ性能を追求したモデルで、高い次元でサーキット走行を楽しむことが可能なバイク。とてもシンプル。

SSはスーパーバイク世界選手権(WSB)や全日本ロードレース選手権(JSB1000)などで走行する車両のベースとなるものでもあり、各メーカーがその威信をかけて注力した車両とも言えます。

JSB1000公式ページにもこのような記載が↓

市販状態に近いマシンにも関わらず、世界レベルのテクニックを持つ全日本のトップライダーたちにかかれば驚異的なラップタイムをマークします。国内最速のライダーたちが大排気量マシンを駆り、繰り広げる迫力のバトルは必見!国内最高峰の迫力がここにあります。

引用元:JSB1000│ハイレベルな戦いが繰り広げられるジャパニーズプレミアクラス│SUPERBIKE.jp

・ビッグパワーを持ちながらあくまで快適な公道走行を目指した“高級車”が「メガスポーツ(メガツアラーと呼ばれることも)
・サーキット走行(レース)を視野にスポーツ性能を高めた“スーパーバイク”が「SS」

 

スーパースポーツとレーサーレプリカの違い

「スーパースポーツとレーサーレプリカって何が違うの?」という疑問は、現代っ子なら一度は通る道ではないでしょうか。

ここではそれぞれの生い立ちから見た“1つの解釈”をご紹介したいと思います。

 

まずシンプルに考えれば、レーサーレプリカはその名の通り「レーサー」の「レプリカ」、つまり「競技用車両を模倣した市販車」という位置付けと考えるのが自然です。

つまり、レーサーレプリカはレース車両ありきの市販車。

こう考えると、MotoGPの競技用車両「RC213V」をベースに一般公道を走行可能とした「ホンダ RC213V-S」なんかも、現代のレーサーレプリカと呼ぶにふさわしいのかもしれません。ちなみに販売価格は21,900,000円。文字通り桁が違う・・・。

ホンダ RC213V-S

引用元:Honda│Honda MotoGP参戦マシン「RC213V」を一般公道で走行可能な「RC213V‐S」として発売予定

 

対するSSはその逆で、まず市販車ありき。

これがSSとレーサーレプリカの唯一の違いです。

ただし、SSも市販車をベースとする車両で行われるレース(先のWSBやJSB1000など)を視野に入れて、極限までハイスペックに作られています。

どちらもスポーツ性能を追求して進化していく様は酷似していますが、誕生の経緯、その生い立ちが全く異なるわけです。

・レース車両ありきで誕生した市販車が「レーサーレプリカ」
・市販車ありきでレースが可能なレベルに仕上げたのが「SS」

 

あとがき│リッターSSはどれも電子制御がてんこ盛り

今回は国内4メーカーが誇るフラッグシップモデルとでもいうべきリッタースーパースポーツをまとめてみましたが、やはりどれもサーキットやレースでの使用を前提とした攻めた姿勢がヒシヒシと伝わってきます。

特にYZF-R1/R1Mの登場以降、今やIMUによる車体情報の管理とトルクの自動最適化は当たり前となり、上位グレードのマシンでは電子制御サスペンションの搭載によって減衰力までシーンに合わせてフルオートで調整されます。

中でも「ローRPMアシスト」や「リフトコントロールシステム」といったトラクションコントロール技術は、サーキットでの速さに貢献するのはもちろん、街中でも多くの場面でライダーの助けとなってくれそうですね。

 

高いスペックに高度な電子制御技術が組み合わさった「リッターSS」、余裕があれば是非1度は所有してみたいですね・・・(遠い目