以前から噂のあったカワサキの250cc四気筒モデル「Ninja ZX-25R」が2019年の東京モーターショーで公開されました。
250ccの四気筒モデルは2007年にホーネット250やバリオスⅡなどが生産終了になって以来、実に12年以上も姿を消していたことになります。
そんな250cc四気筒が復活するだけですごいことなのですが、「ZX-25R」がすごいのは四気筒エンジンを搭載しているところだけではありませんでした。
その仕様はまさにスーパースポーツそのものといった感じで、今後250ccクラスが更なる盛り上がりを見せることを期待させてくれます。
その前に絶対乗ったら楽しいやつ!
ZX-25Rのどんなところがすごいのか、早速チェックしてみましょう!
そもそも250ccバイクで四気筒って何がすごいの?マルチってなに?
250ccの四気筒バイクには、250ccマルチ、マルチクォーターなどの呼び名があります。
四気筒というのは、エンジンの気筒数(シリンダーの数)が4つあるということ。
要するにガソリンを爆発させる部屋が何個に分かれているか、という話です。
比較対象として二気筒や単気筒が挙げられます。
同じ排気量の場合、基本的には気筒数が少ない方が1つの爆発が大きいので低回転から力強さ(トルク)を出しやすく、逆に気筒数が多くなると爆発による振動が減って高回転まで回しやすくなり、より高いパフォーマンスを発揮できます。
表にするとこんな感じ↓
重量 | 単気筒<二気筒<四気筒 |
最高回転数 | 単気筒<二気筒<四気筒 |
最高速 | 単気筒<二気筒<四気筒 |
低回転トルク | 四気筒<二気筒<単気筒 |
振動(鼓動感) | 四気筒<二気筒<単気筒 |
整備性 | 四気筒<二気筒<単気筒 |
価格 | 単気筒<二気筒<四気筒 |
ざっくりいえば、多気筒エンジンの方が高回転型でポテンシャルが高くなります。
単気筒エンジンは回さなくてもキビキビと走れる点と独特の鼓動感がメリットですね。
ちなみに、マルチとはエンジンの気筒数が複数あることを意味しますが、一般的に二気筒エンジンの場合はマルチとは呼ばれず、バイク関連においてマルチというと四気筒エンジンを指すのが一般的です。
クォーターは1/4という意味で、1リットルの1/4の250ccを表しています。
スポーツ走行を前提とするなら、四気筒エンジンには高回転まで回せるという大きなアドバンテージがあります。
しかしこの10年超の間、排ガス規制の壁によって250cc四気筒モデルが販売されることはありませんでした。
一時はもう250ccの四気筒は出てこないとまで言われましたが、ついに今、カワサキがその壁をぶち破ろうとしています。
こうなると現役最強モデル「ホンダ CBR250RR」(こちらは二気筒)との関係性も気になるところですね。
次の項ではCBR250RRにはない装備にも着目しつつ、改めて「Ninja ZX-25R」の特徴を整理してみたいと思います。
250cc四気筒バイク「Ninja ZX-25R」の装備や仕様がスーパースポーツそのもの!
まずは外観をサクッとチェック。
フルカウルバイクなので目立ちませんが、アンダーカウルの中にはしっかりと四本のエキゾーストパイプが隠れています。
ちなみにこちらが二気筒モデルのNinja250↓
引用元:Ninja 250・Ninja 250 KRT EDITION | 株式会社カワサキモータースジャパン
新型四気筒モデルのZX-R25↓
最初観たときはあまり違いがわかりませんでしたが、改めて注意深く見比べると結構違いますね。
特にZX-25Rはヘッドライトの上に設けられたエアダクトが印象的で、どちらかといえばやはり同じZXの名を冠するZX-6R寄り。
こちらがZR-6R↓
引用元:Ninja ZX-6R・Ninja ZX-6R KRT EDITION | 株式会社カワサキモータースジャパン
ショートマフラーの採用によってマスの集中化が意識されたZX-25Rの方が、より本格的に見えてしまうほど。
もちろんZX-25Rを語る上で真に重要なのは見た目ではありません。
ZXとはカワサキのスーパースポーツに与えられる名称。
先のショートマフラー然り、当然ZX-25Rも走りへのこだわりがハンパじゃありません。
こちらが東京モーターショー2019にて公開されていた仕様です。
注目すべきは250ccらしからぬ電子制御の豊富さ。
250ccでトラクションコントロールやクイックシフターが採用されるとは・・・。
これらは現役最強のCBR250RRですら装備していない機能です。
トラクションコントロールとは、発進や加速時のタイヤの空転を防止する仕組みのこと。
タイヤが空転しないよう、最適な駆動力が伝わるように電子制御されます。
路面状況が悪くても誰でも安定した発進が可能となるというわけ。
これがあれば、雨の日でも発進の際にリアタイヤが滑って怖い思いをする、なんてことはありません。
またZX-6Rなどと同じようにモードセレクトができれば、「ある程度の空転を許容させて最大効率の加速(トラクション)を得る」という使い方も期待できます。
クイックシフターの搭載もクラス初。
クイックシフターとは、クラッチ操作をせずにシフトチェンジが行える機能です。
自動車における2ペダルMTやパドルシフトのようなものですね。
しかも、ZX-25Rに搭載されるクイックシフターはシフトアップだけでなくシフトダウンにも対応するとのこと。
あれ、ZX-6Rですらまだシフトアップにしか対応していなかったような・・・。
シフトダウンの際はコンピュータが勝手にブリッピング(エンジン回転数の調整)を行ってくれるので、特別なアクセル操作も必要なく、どんなシチュエーションでもシンプルに減速に集中できます。
加えて通常よりも素早いシフトチェンジが可能なので、スポーツ走行においてはこれだけでタイムを縮めることができます。
クイックシフターは一定回転数以上で機能するのが一般的ですが、発進さえしてしまえばもうクラッチを握る必要はほとんどありません。
街中においても、シフトミスのリスクが減るのは大きなメリットと言えます。
・・・しかし250ccでクイックシフターとは、改めて時代が進んでいることを実感しますね。
またここには書かれていませんが、当たり前のように「スロットル・バイ・ワイヤ」も搭載。
これはCBR250RRがクラス初採用したことでも話題を集めましたが、わかりやすく言うと「アクセル操作を電気信号に変換してスロットル制御をする機構」のこと。
アクセルとスロットルバルブが機械的につながっておらず、これにより操作と動作の間に電子制御が介入できるようになります。
「パワーモード」が変更できるのもスロットルバイワイヤのおかげ。
また、アクセルを開けすぎてしまった際のリスクを軽減できたり、燃費面での高効率化が期待できたりといったメリットもあります。
足回りもZXの名に恥じぬ仕様で、フロントはSFF-BP倒立フォークにブレーキはラジアルマウントモノブロックキャリパーを搭載し、リアはホリゾンタルバックリンクを採用。
250ccでありながら、まさに「SS(スーパースポーツ)」を名乗るに相応しい仕様です。
250ccSS四気筒「ZX-25R」の諸言(スペック)はどうなる?ライバルは?
残念ながらZX-25Rのスペックはほとんどがまだ公表されていません。
あくまで現段階では「参考出品」ってことですね。
しかし、かつて250ccクラスに存在した四気筒レーサーレプリカを参考にすれば、そのスペックをある程度予測することができます。
詳しくはこちらの記事↑にもありますが、かつての4スト四気筒レーサーレプリカは45馬力という高い出力を発揮していました。
しかもこれはメーカー自主規制によるもの!(後に40馬力まで引き下げ)
このため、40馬力はもちろんのこと、Ninja ZX-25Rの回転数が15,000rpmを超えるようであれば、45馬力を超えてくる可能性は大いにあります。
現行の250ccバイクの中では、もっとも高出力なCBR250RRですら38馬力ですから、かなり大きな差ですよね。
仮に40馬力のメーカー自主規制を設けて販売したとしても、高回転まで回る四気筒エンジンにはやはりアドバンテージがあると思われます。
250cc四気筒「ZX-25R」の価格や発売時期に関する情報
気になるのは価格についてはまだ情報がなく不明です。
約80万円のCBR250RRも当時はかなり高級なモデルとして騒がれましたが、恐らくZX-25Rはこんなものじゃ済まないでしょう。
とはいえ、CBR250RRについてはフタを開けてみればなんだかんだで大ヒットしましたから、唯一の250cc四気筒スーパースポーツとなるZX-25Rも人気が出るのは必至。
仮に100万を超えてもそれなりに売れそうな気がします。
発売時期については2019年10月25日に公式からアナウンスがありました。
2020年秋頃の発売となるようです。(国内導入予定モデルのご案内より)
東京モーターショーのちょうど1年後には、明確な発売日が確定しているか、早ければ販売されているかもしれませんね。
250cc四気筒ネイキッド「Z」は登場するのか
この項は管理人の戯言しか書かれていないので読み飛ばし推奨です(笑
さて、Ninjaといえば今やカワサキのフルカウルスポーツの代名詞ですが、その兄弟車も忘れてはいけません。
そう、「Z」シリーズです。
各排気量のNinjaのフルカウルを取り払ったネイキッドモデル(ストリートファイターモデル)として、Zは高い人気を誇ります。
となれば、ZX-25R仕様の新型250ccZを期待するのも自然ですよね。
これを仮にマルチクォーターZと名付けましょう。
ホンダがCBR250RRのネイキッド版を出さないことから、必ずしもマルチクォーターZが出るとは言い切れませんが、仮にマルチクォーターZが出た場合、是非取り入れてほしいデザインがあります。
それが今回の東京モーターショーでZX-25Rと同時出展されていた「Z H2」のデザイン。
「Z H2」はZシリーズのフラッグシップモデルとして、君臨するであろう新型のリッターネイキッドバイクです。
その外観は「Sugomi」デザインの完成形と呼ぶにふさわしいもの↓
お顔の真横に位置するエアインテークが迫力満点。
マルチクォーターZはさすがにスーパーチャージャー搭載とはならないでしょうが、こんな250cc四気筒バイクがあったら是非欲しい!(手が出るかどうかは別ですが 笑)
で、実際にマルチクォーターZが出る可能性ですが、少なくともしばらくはないだろうと思います。
まずはしばらく市場に存在しなかった250cc四気筒の復活第一弾「ZX-25R」が売れるかどうかが重要。
そもそも250ccには既に「Z250」が存在します。
「本格的なスポーツ性能を求めるならネイキッドじゃなくてフルカウルを買おうね」っていう棲み分けは自然ですし、「まったりネイキッドが良ければ二気筒の現行Z250でも十分速いじゃん」っていうね。
残念ながら現時点では具体的な情報もまだ何もありませんし、そもそも出るか出ないかの議論すらまともに交わされていないようです。
まぁまだZX-25Rがお披露目されたばかりですし、これから追加の情報があれば随時取り上げていきたいと思います。
まとめ│250cc唯一となる四気筒 ZX-25Rは正真正銘のSSだった!
確か前回(2017年)の東京モーターショーで現行のNinja250が発表されたんでしたね。懐かしい。
東京モーターショー2017→2019で、もっとも時代の流れを感じられたのがZX-25Rの登場だったかも。
後発でありながら純粋なスペックでCBR250RRを超えることができなかった当時のNinja250ですが、今回ばかりは期待が持てそうです。
というか、スペックがどうあれ250cc四気筒はしばらくZX-25Rのみとなるでしょうから、それだけで選択の価値がありますね。
しかも、純粋な速さだけでなくリッターSS譲りの本格的なライディングアシスト機能まで充実しています。
「ただ四気筒なだけじゃない!」ここにカワサキがかける本気具合がビンビンと伝わってきます。
だって今250cc四気筒を出したら、他が適当でもある程度売れちゃうと思いませんか?笑
いずれにしろ、ついに250ccクラスに四気筒エンジンを搭載したバイクが復活します!
うーん、またまた250ccが熱くなりそうな予感ですね!