250cc現行バイクと2stレーサーレプリカや4st四気筒ネイキッドを比較

ホンダ NSR250R(1990) タイプ別バイク比較

「速い250ccバイクに乗りたい!」という人にとって、現行のフルカウルスポーツを選ぶか、少し前の4スト四気筒ネイキッドを選ぶか、かつて栄華を極めた2ストレーサーレプリカを選ぶかは、かなり難しく悩ましい問題です。

信頼性や環境性能、扱いやすさ等で比べれば現行モデルの独壇場ですが、「馬力」や純粋な「速さ」で比較するとどうでしょうか。

もちろん、現行の250ccフルカウルスポーツもなかなか侮れないスペックを誇ります。

数値的にもほんの10年ほど前のモデルとは比べものにならないほど。

しかし、一方で「2ストが主流だったころや四気筒モデルが現役だったころには遠く及ばない」という話もよく聞きます。

実際問題、現行モデルとかつてのレーサーレプリカや250ccマルチとの間にはどの程度の差があるのでしょうか。

アイキャッチ画像引用元:Honda | 軽快で高い運動性能を発揮する2サイクル・スーパースポーツバイク「ホンダ NSR250R」を発売

 

250cc現行フルカウルスポーツと2ストレーサーレプリカの比較

ホンダ CBR250RR(MC51)(2018)

引用元:Honda | 軽二輪スーパースポーツモデル「CBR250RR」のカラーリングを変更し発売

現行のフルカウルスポーツは、一昔前には想像できなかったほど高いスペックを誇ります。

  1. ホンダ CBR250RR 28kW[38PS]/12,500rpm
  2. カワサキ Ninja250 27kW[37PS]/12,500rpm
  3. ヤマハ YZF-R25  26kW[35PS]/12,000rpm

まさか4スト二気筒のまま38馬力を叩き出すマシンが出てくるなんて、ほんの10年前にどれほど多くの人が想像できたでしょうか。

しかし、現行モデルが史上最高スペックかというと、残念ながらそうではありません。

排気量で比較されがちな二輪車においては、規制前の古いバイクの方が高性能なのが当たり前。

 

排ガス規制で消えたエンジン形態の一つに、2ストローク(2スト)エンジン(2-cycle engine)というものがあります。

この2ストエンジンは高い最高出力(馬力)を得ることが可能で、80年代には「レーサーレプリカ」と呼ばれるスポーツバイクが全盛期を迎えることになります。

ホンダ NSR250R(1990)

引用元:Honda | 軽快で高い運動性能を発揮する2サイクル・スーパースポーツバイク「ホンダ NSR250R」を発売 

画像は「ホンダ NSR250R」。

「レーサーレプリカ」という名の通り・・・といった外観です。

さすがに現行フルカウルスポーツの方が洗練された印象を受けますが、今となっては目を引くこのデザインこそが速さの証です。

当時の2ストレーサーレプリカの代表車種と最高出力は以下の通り。

  • スズキ RG250ガンマ 45PS/8,500rpm
  • ヤマハ TZR250    45PS/9,500rpm
  • ホンダ NSR250R    45PS/9,500rpm
  • カワサキ KR250   45PS/10,000rpm

これらはいずれも2スト二気筒エンジンを搭載しています。

最高出力45馬力は、現代における400cc相当のスペックですね(現行のホンダ CBR400Rが46PS/9,000rpm)

実はこの45馬力という数値は、当時の250ccクラスにおけるメーカー自主規制値で、1992年以降のモデルは自主規制強化によって40馬力に統一されることになります。

つまり、もともと限界まで挑戦して45馬力だったわけではなく、エンジン的にはまだまだ余裕があったわけです(実測で60馬力を超えるモデルもあったとか)

加えてレーサーレプリカという名の通り、軽量かつ当時の最先端技術が惜しみなく導入されており、純粋な速さは現行モデルをはるかに凌駕します。

排ガス規制の影響で姿を消してしまいましたが、実はその前段階として、スペック競争の果てに高額になり過ぎたこともブーム終焉の一端を担ったと言われています。

そのくらいぶっ飛んだカテゴリーだったわけですね。

 

4スト四気筒レーサーレプリカの登場と250ccの実力

ホンダ CBR250RR(MC22)(1990)

引用元:Honda | 軽快で素直な運動性能を発揮する直列4気筒エンジン搭載のスーパースポーツバイク「ホンダCBR250RR(ダブルアール)」を発売

レーサーレプリカ全盛期、2ストエンジンとは違ったアプローチで作られたマシンが存在しました。

それが4スト四気筒レーサーレプリカです。

ここで問題となるのが、4ストは2ストよりエンジン出力が稼げないということ。

2スト(2-cycle engine)ならたった2つの工程でエンジンを1回転させられますが、4スト(4-cycle engine)になるとその倍の4つの工程を必要とします。

このため、4ストは2ストのおよそ半分の出力しか出せません。

4ストで高出力を叩き出すには、どうにかしてエンジンを高回転まで回す必要があります。

 

この打開策が多気筒化でした。

すでに国内メーカーには「CB750FOUR」以降の四気筒バイクに関する豊富な実績がありましたから、その技術を250㏄クラスに転用した形ですね。

こうして生まれた4スト四気筒レーサーレプリカの代表車種と最高出力がこちら。

  • ヤマハ FZR250    45PS/14,500rpm
  • スズキ GSX-R250R 45PS/15,000rpm
  • カワサキ ZXR250   45PS/15,000rpm
  • ホンダ CBR250RR  45PS/15,000rpm

※ここにあるCBR250RRはMC22というモデルで、現行のCBR250RRとは全くの別物です。

数値的にはメーカー自主規制の45馬力に達するエンジン性能を実現しています(後に40馬力に統一)

注目したいのは最高出力を発生する回転数で、2ストモデルのおよそ1.5倍とかなりの高回転。

この高回転ならではの乗り味とレーシーなサウンドは多くのファンを魅了しました。

とはいえ、純粋な速さはさすがに同排気量の2ストモデルには敵いませんでした。

2スト250ccと4スト四気筒400ccが同等と言われることもあるくらいですからね。

 

では同じく4ストの現行250ccフルカウルスポーツと比べた場合はどうでしょうか。

例えば上記のCBR250RR(MC22)は最終的にメーカー自主規制で40馬力です。

対する現行のCBR250RR(MC51)は38馬力を叩き出しますから、その差はわずか2馬力。

数値だけ比べてみると意外と差が小さいようにも感じられますね。

しかし、実際の速さにはそれ以上の開きがあります。

先述の通り40馬力という数値がメーカー自主基準によって制限されたものであることも一つですが、ポイントはやはり四気筒モデルの方が圧倒的に高回転だということ。

一般的に気筒数の少ない二気筒の方がトルクフルで加速に優れるというイメージを持たれがちですが、実は全開加速も四気筒にアドバンテージがあります(あくまで現行フルカウルスポーツと当時の四気筒を比べた場合)

同排気量で回転数と最高出力、パワーバンドに差があるのですから、当然と言えば当然ですね。

ただし、二気筒がトルクフルというイメージ自体は間違ってはいません。

実際に現行のフルカウルスポーツには変速のシビアさがありませんし、扱いやすさにも定評があります。

四気筒モデルはどうしても高回転を維持しないと速く走れないため、回転数の管理がシビアで挙動もピーキーですが、二気筒であればある程度ラフに走ってもエンジンが許容してくれるイメージ。

まぁ四気筒エンジンはその荒々しさが楽しいところでもあるんですけどね。

 

250ccバイクにおける4スト四気筒ネイキッドの台頭

ホンダ ホーネット250

引用元:Honda | 軽二輪スポーツバイク「ホーネット」のカラーリングを変更して発売

90年代に入るとレーサーレプリカの人気は徐々に衰えを見せ、4スト四気筒ネイキッドが台頭する時代がやってきます。

この時代の代表車種と最高出力は以下の通り。

  • ホンダ ホーネット250  40PS/14,000rpm
  • カワサキ バリオス2    40PS/14,000rpm
  • スズキ バンディット250 40PS/14,000rpm
  • ヤマハ ZeaL        40PS/12,000rpm

これらが搭載するのはいずれも4スト四気筒エンジン。

先の4スト四気筒レーサーレプリカと比べてやや回転数が抑えられてはいるものの、今の感覚で見ると十分すぎるほどハイスペックですね。

しかしこの時代のスポーツネイキッドはこれが当たり前だったので、管理人なんかは当時32馬力だった「ホンダ VTR250」のことを「スポーツネイキッドのくせに非力だ」なんて考えていました。

そんなVTRも今では愛車なわけで、時の流れを感じずにはいられません・・・笑

 

これらの250ccマルチも生産終了からかなり時間が経過しており、タマ数が少なくなっています。

ホーネット250とバリオス2の2台ならまだかろうじて選べるかな、といった程度。

しかも人気が高いため、それなりの相場で動いているのが特徴的です。

 

今後の250ccスーパースポーツはどこまで進化するのか

ヤマハ YZF-R25 2019 ヤマハのレースマシンYZR-M1をイメージしたハンドルクラウン

引用元:特長紹介:YZF-R3/YZF-R25 – バイク・スクーター | ヤマハ発動機

現行250ccフルカウルスポーツが敵わない4スト四気筒レーサーレプリカ、その4スト四気筒モデルが太刀打ちできないのが2ストレーサーレプリカです。

いかに2ストレーサーレプリカがぶっ飛んだマシンだったかがわかりますよね。

しかし、確かに2ストエンジンは高出力を叩き出すのに適していましたが、その排ガスはお世辞にもきれいと言えるものではありませんでした。

また高回転型の四気筒エンジンも排ガス規制には勝てず、レーサーレプリカの時代は20世紀と共に終わりを迎えます。

四気筒に関しては高額な点が市場のニーズと合わなくなったということもあるのかもしれません。

同じ排気量で比べる限り、今後も4ストエンジンを搭載する250ccバイクがかつての2ストレーサーレプリカを超える日は来ないでしょう。

それこそリッターSSなら時代と共に性能も進化しているんですけどね。

一方で2ストモデルなんかは今後いくら待っても新しく出てくることはないため、乗りたいと思ったら少しでも早く入手した方が良いと言えそうです。

 

しかし、4スト四気筒モデルであればまだ望みがあります。

というのも、実はカワサキが新たに250ccクラスの四気筒バイクを開発しているというウワサがあり、これが現実となればかつての4スト四気筒レーサーレプリカと同等かそれ以上のハイスペックマシンになる可能性もあります。

例えば、馬力的にはかつての四気筒レーサーレプリカが自主規制で45馬力だったことを考えれば、実質50馬力オーバーも狙えるのではないでしょうか。

いずれにせよ、250ccフルカウルスポーツの進化はまだまだ続きそうですね♪

 

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